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読んだことを忘れたくない あるいは読み返したくなるはずのお話

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活字の海を波乗り中に見つけたお気に入りの記事を残しておく自分用の文集。本棚の片隅に並べて、その背表紙を眺めているだけで申しぶんのない時を過ごせるような小さな出会いの積み重ね。
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記事一覧

第一志望の大学へ行けなかった私に、教授が教えてくれたこと

病気になり、私は一度大学を退学している。 それでも29歳の時に同じ大学へ再入学するくらいその学校に思い入れがあるのだが、受験を控えた高校3年生の私は違っていた。 好きというより大嫌いだった。 私には別にいきたい大学があった。 そのために予備校の夏期講習へ通い、夜遅くまで過去問を解き、オープンキャンパスにも足を運んだ。あとは受験するだけだと気合いを入れる私の前に、母が立ちはだかった。 「あなたは指定校推薦で大学へいきなさい」 指定校推薦は学校推薦型選抜のひとつだ。 大

自給自足してみたい

去年の冬、コロナが流行り始める1ヶ月ほど前、熊本のエコビレッジに滞在した。 自分が行ったところは、無理のない範囲で自給自足してる所だった。 トイレは水洗だし、電気もガスも通ってる。 住民の多くが自分の畑を持ってて、野菜とかを育ててた。 ゲストハウスを出て、ちょっと歩けば山羊に遭遇し、勝手に食べれる甘夏の木があったり、アースバックハウスがあったり、トランポリンが置いてたり、楽しい空間だった。 その集落でやってる、インカム制度を利用して2週間ほど滞在した。これは1日6時間ほど

生きているうちにしかできないこと

残りの人生がどのくらいか、なんて考えるようになったのは、40歳になった時だったと思う。それまでは死ぬのがすごく怖かったけど、それは自分にとってかなり先の未来であったからこそ、怖かったのかもしれない。 先が見えない恐怖、とでも言うのだろうか。 40歳になった時、人生折り返しだと思ったのは、鮮明に覚えている。今までそんなことを考えたこともなかったから。今まで生きてきた年数よりこれから先の方が短いかもしれない、と言う切実な感覚はあの時が初めてだった。 さらに年齢を重ねて、周囲

みんなはちゃんと、人生の中に仕事がある?

社会人2年目のGW、新宿・高島屋の屋上で号泣した。 友達3人と手相占いに行ったあとだった。 連休中、友達といるのにひっきりなしに鳴る社用携帯、 提出物を催促する社内からの連絡。 遠隔でわたしが対応できることなんて限られているし、 正直言って何も解決にはいたらない。 でも、無視するわけにはいかなくて こっちの状況はまるで無視した威圧的で一方的な連絡に 「私、なんか悪いことした?」と泣いた。 社会人になってから、学生時代の友達に会う時、 仕事の話になったら必ず 「楽しいよ

富の最大化と人生の最大化

著書DIE WITH ZEROでは、今を生きる私にたくさんのメッセージをくれる。 その中で、富の最大化をするのがいいのか?人生の最大化をするのがいいのか?とう視点で書かれているページがある。 富の最大化とはもちろん資産の最大化です。 預金や金融商品、不動産やお宝物まで、言い換えると換金可能性の高いものを沢山保有することが幸せにつながるという考え方のことでしょうか。 人生の最大化は人生を満足して生きる事、著書では経験にお金を使えと一貫して主張している。その経験こそがあなたに記

還暦と「おまけ」と本当の人生キャリア

ちょっと前に60歳になった。 「還る暦(こよみ)」とは、なかなか的を得た言い方だと、 この年頃になると感じ入るところがある。ところで「還暦」というと、 私には思い出すことが二つある。 一つは父の還暦にまつわる話。もう30年前の話。 その年の正月に帰省していた私が東京に戻ろうと玄関を出るときに、 母が私を呼び止めて耳打ちした。 「今年、お父さん還暦だから...。わかっとる?」。 は? ん? カンレキ? 還暦とはそれほど大事な行事なのか? 母の一言がなければ意識することもなかっ

焦らせるな、社会よ

社会に「憤りを感じ」ている暇はない。 その間にも、私の大事な時間は流れていくからだ。 転職サービスで、「圧倒的成長」を標榜するヘッドハンター達に、「怒り」を覚えたりはしない。 なぜなら、私自身そのサービスに21歳の時から登録しているからだ。 だが、どうしても「自己責任化」が止まらない日本社会に、日々勝手に「焦り」を感じさせられてしまっている自分がここにいる。 これは「自然発生する焦り」ではなく「社会的に醸成された受動型焦り」なのだ。何もしていないことに対する焦りではない。何か

心地よさの源泉は「単純作業」にあり?AI時代に際立つ瞑想空間としてのキャンプ

広大な北海道キャンパス内にみずから野外教育のためのフィールドを切り開き、プライベートでも渓流釣りや山菜採り、キノコ狩り、バックカントリースキーなど一年を通して野山を歩く。國學院大學北海道短期大学部・田中一徳教授が「北海道の冒険王」と称されるゆえんです。 そんな田中教授に今回語ってもらうテーマは「野外活動における瞑想」について。 自然の中でさまざまなアクティビティに取り組んでいると、時間を忘れて没頭してしまうことがあります。と同時に、精神的なリフレッシュを感じるというのは、

答えは自然の中にある。北杜市×THE NORTH FACE 登山道整備イベント

11月のよく晴れた週末、山梨県北杜市とTHE NORTH FACEの包括連携事業「Trail Maintenance at HOKUTO」に参加した。 山好きでも普段なかなか関わる機会がない登山道整備を体験できるイベント。それだけでも心惹かれるけれど、さらに興味を持つきっかけになったのは登山道整備の方法だった。このイベントでは、近自然工法という「自然に近づける」「自然に近い方法を使う」整備を学べるらしい。講師は北海道の大雪山・山守隊の代表、岡崎哲三さん。 これまで私は、登

ヨットの帆を生まれ変わらせてみたら—。 【Colmun- 潮気、のようなもの】

 朝、ひと仕事終えてから愛犬と散歩に出かけるのが筆者の日課だ。最近、その散歩用のバッグを変えた。犬のオモチャやペットボトルの水、おやつを入れるのに少し大きめだけれど、シンプルで頑丈なショルダーバッグで、それを襷《たすき》掛けにして出かけている。物の出し入れがしやすくて、身体にほどよい感じでフィットする。けっこうオシャレだと思っていて、とても気に入っている。不要になったヨットのセールを利用してバッグなどを作って販売している〈Re Sail Factory(リセイルファクトリー)

香港の海鮮料理店のおじちゃんの一言で、転職を決めた話

「すみません……お茶のおかわりください」 辺りをキョロキョロ見渡しながら、私は慣れない広東語でホールのおじちゃんに声をかけた。 日本との時差がたった1時間なんて信じられないくらいの別世界・香港にある小さなレストランで。 外国語を使うのは、とても勇気がいる。 賑やかな場所で、大きな声を出すのが嫌だからか。日本人であることを、なんとなく隠したいからか。もし間違っていたら、恥ずかしいからだろうか。 「はいよー! さっきと同じポーレイ茶だよね? 今持って行くよ!」 おじちゃん

ヒーローのヒーロー

初めて、ヒーローになりたいと思った。 小学1年生の時。 ピンチの時にかけつけてカッコよく敵をやっつける、漫画に出てくるような正義のヒーロー。 強いだけじゃない。優しくて、前向きで、一瞬で周りの空気を明るくしてしまうような人。 その存在を思い出すだけで勇気が湧いてくるような、太陽みたいな人。 男性的なイメージが強いけれど、そんなの関係ない。 女だって、ヒーローになりたい。 私が本気でそう思うようになったのは、彼女との出会いがきっかけだった。 いつだって、君のヒーローでい

鬼滅の刃で理解する、帰納法と演繹法を用いた仮説の作り方

 経験値やデータを基に、「このような結果になるということは、こんな仕組みなのだろう」という仮説を帰納的に立てていくリテラシーももちろん重要ではある。しかし、最短で真理を追究したいなら演繹的アプローチを交えることが一番効率的である。  マラソンの前に体を温めるウオーミングアップを考えてみよう。多くのランナーは自分の過去の経験(やコーチの命令)に基づいた方法でウオーミングアップをしている。これは帰納的なアプローチだ。  一方、演繹的アプローチならば、細胞内の糖が分解されてエネルギ

選挙の公約を見て調べていたら、衝撃の事実にたどり着いてしまった

※一部修正しております。ご了承ください。(2021.11.5) 毎晩毎晩、色んな会話をしているわたし達夫婦。何の話をしたかサッパリ覚えていないことがほとんどだけど、昨日の夜はなかなか衝撃的だった。 ので、ちょっと書いておこうと思う。 投票日の前日、 土曜日の夜。 改めて、各政党の公約を確認しようと新聞を見て、ふと目に留まった。 年収1000万円以下の所得税を「免除」 正直なところ、 え、ほんまに!? それで日本やってけるの? 日本の税収入、大丈夫なん? と思っ