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ウィルトンズサーガ【厳然たる事実に立ち向かえ】

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『暗黒城の城主』の続編です。 『暗黒城の城主』はこちらのマガジンにまとめてあります。 https://note.com/katagiriaki/m/mc6ecb876a984
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記事一覧

ウィルトンズサーガ3作目『深夜の慟哭』第72話

 三人は立ったまま黙っていた。すでに完全に霧は晴れ、魔法円の中には誰もいなかった。 「ブ…

片桐 秋
5日前
1

ウィルトンズサーガ第3作目【厳然たる事実に立ち向かえ】『深夜の慟哭』第71話

 アントニー? アントニーは何処だ?  何故か姿が見えない。霧は濃いが、こんなにも近くに…

片桐 秋
11日前
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ウィルトンズサーガ第3作目【厳然たる事実に立ち向かえ】『深夜の慟哭』第70話

 ブルーリアの姿をした女は、いやそれは、アントニーが言った通りにブルーリアのもう一つの人…

片桐 秋
2週間前

ウィルトンズサーガ第3作目【厳然たる事実に立ち向かえ】『深夜の慟哭』第69話

マガジンにまとめてあります。  ブルーリアに似た女は、しかしブルーリアとは全く雰囲気が違…

片桐 秋
2週間前
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ウィルトンズサーガ第3作目【厳然たる事実に立ち向かえ】『深夜の慟哭』第68話

マガジンにまとめてあります。  それは ブルーリアの声ではなかった。誰か別の女の声、いや…

片桐 秋
3週間前

ウィルトンズサーガ第3作目【厳然たる事実に立ち向かえ】『深夜の慟哭』第67話

https://note.com/katagiriaki/m/m31acf573b63d   陽炎は消え失せはしなかった。美青年ヴァ…

片桐 秋
1か月前
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ウィルトンズサーガ3作目『深夜の慟哭』第66話

 ブルーリアは遊雅な舞を舞い続ける。同時に、黄金色の光を放つ魔法を使っているのだ。疲れてしまうのではないかとウィルトンもロランも案じた。アントニーだけは静かに見守っている。  黒い肌と淡い青の髪の妖精は、もしも答えられるなら「大丈夫よ」と伝えたことだろう。だが今は舞に意識を集中させねばならなかった。彼女は何も答えず、何も言わずに舞い続けた。  半刻のさらに半分の時間を舞ううちに、ブルーリアの全身からも、品のある黄金色の光があふれ始めた。その姿は、神々しいまでに美しかった。

ウィルトンズサーガ【厳然たる事実に立ち向かえ】第3作目『深夜の慟哭』第65話

マガジンにまとめてあります。 https://note.com/katagiriaki/m/m31acf573b63d 「しかし、ど…

片桐 秋
3か月前
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ウィルトンズサーガ【厳然たる事実に立ち向かえ】第3作目『深夜の慟哭』第64話

こちらのマガジンにまとめてあります。  ブルーリアはすぐに、失われた命の遺体を引きずって…

片桐 秋
3か月前

ウィルトンズサーガ【厳然たる事実に立ち向かえ】第3作目『深夜の慟哭』第63話

マガジンにまとめてあります。 「しかし俺たちは、どこをどう他の妖精たちを探したらいいのか…

片桐 秋
5か月前
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ウィルトンズサーガ【厳然たる事実に立ち向かえ】第3作目『深夜の慟哭』第62話

 アントニーは眠りに落ちていった。ヴァンパイアは夢を見ないものだが、寝入りばなに過去を思…

片桐 秋
6か月前

ウィルトンズサーガ【厳然たる事実に立ち向かえ】第3作目『深夜の慟哭』第61話

「終わったか」  ウィルトンは小さくささやいた。  ウィルトンは自分自身のその声を、我な…

片桐 秋
6か月前
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【ダークファンタジー小説】ウィルトンズサーガ『古王国の遺産〜受け継がれるレガシー…

前作はマガジンにまとめてあります。  デネブルが支配していた土地は広い。三人の領主が治め…

片桐 秋
2年前
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【ダークファンタジー小説】ウィルトンズサーガ『古王国の遺産〜受け継がれるレガシー』 第2話

前回の話はこちらです。 マガジンにまとめてあります。  一晩中歩いて、ウィルトンが生まれてからこの時まで三十年間暮らしてきた村から離れた場所に来た。村の見捨てられた墓地から北上している。ここもまだ、アントニーのかつての領地内なのだ。  村と村とをつなぐ道中に、宿屋と小間物屋の固まって建っている場所がある。宿屋が三軒、小間物屋が二軒。どれも木造だった。  ウィルトンがいた村のように昔からの石造りの家を古王国末期から約四百年ほども、代々使い続けてきたのではなかった。 「