両親は無職でパチプロを目指していて、 わたしは16歳だった。 やれ働け、カネカネカネ、全部自分でやってみろ、カネカネカネ。と、投げてもらえる言葉でよく覚えているのはそれくらいだ。 両親がわたしを家に置いておくのを疎ましく思っているのは、誰の目から見ても明らかだった。 感じていない気もしていたが、子供だったわたしにとっても良い影響は一つもなかっただろう。 自室は唯一の居場所だったが、居場所と地獄は地続きだ。 わたしは通っていた県立高校を辞めた。 カネカネカネ第
必ず座れる始発の電車、紙袋を足の間に置き中身のクリエイティブカラーを紙袋の底に吹く。 紙袋を退けるとそこに残るのは「呪」の文字。 下ばっか向いてるお前、この呪の文字を3回見かけたら死ぬからな。たまには前を向いたり本を読んだり、こんなオモチャの落書きに気を取られるなよ。なんて前向きなメッセージを心の中で後付けし、純粋なヴァンダリズムを楽しんだ。 と、彼女は言った。 彼女が初めて見た、どっかの誰かのマスターピースは町の開発により土とツタで覆われた。 緑色の、妙に立体
資本主義と国民性がいい感じにマッチして生まれた格差や言い表せない気持ちの悪さを埋めるには、資本主義をいっせーのでやめるか「国民性」という曖昧な部分を変えるか、どちらかしかないとしたら後者のが簡単かなあと考えた。今日も思考の自由を存分に振るっている。インディペンデント気分。わたしはわたしの政治をわたしに課しているけど特に義務は生じてないから政治じゃないのか。自由であることの制約か。 今日も思考の自由を存分に振るっている。 考え事が好きだ。休むのが好きだから。 先生の
たとえばあなたが愛や好きの気持ちを誰かに伝えるとして、どんな声色や声量、シチュエーションを選びますか? あなたはきっと伝えたい相手の性質を考えた上でそれらを決定するでしょう。 わたしは伝えたい事を音楽にして伝えようとしています。 どの楽曲も、テーマは常にドラッグと愛についてのことばかり。 伝えたい相手はいつだってそれらを同じように好いているなあなたです。 あなたは愛する人に2人だけの内緒事をお互いの部屋で伝えたい時、ハイテンションかつハイプレッシャーな大声で伝
己の怠惰と生産性の無さに辟易するも全て季節のせいにする。 音楽のあり方について考え込んでしまう出来事が多く起こった。 わたしは音楽が好きなのだと思う。 ご機嫌な音楽がかかっていたらご機嫌だし嫌なことも簡単に忘れる。クリアなミキシングに唸ったり、ザラついた真空管の音に涙したりする。歌詞の情景とトラックの控えめな彩りの意図や作品の成り立ちを考えたりもする。 音楽が好きな人は言葉にせずともみなそのように思考を動かしているだろう。 では音楽を消費する人はどうだろう?
いやにハッキリとした夢ばかりを見るので毎朝疲弊している。 友人のサブウーファーを借りパクしたままそれをパーティで使い続けるコジキ箱に乗り込み回収しようとしたところコジキがヒステリックな反応を示したので顔に三発くらわす。 こちらの湧き立つ気持ちも抑えられないので今までの出演料やら諸々を請求する。 いやにハッキリと、かつ起こり得ない話じゃない夢ばかりを見る。 正夢にするのはタイミング次第。 友人に無償で機材を貸してくれと軽々しく連絡してくる女がいるので謝らせた。
リリースに向けて制作をしている。 今年は自分でお店を始めたせいもあってちょっとだけ忙しい。 お金がないと生活も制作もままならないので、バランスが大事。お金のことばかり考えてても何もできない。 手術をしたり薬を飲んだりしているが、相変わらず走り回ったり予定通りドラッグを摂取している。バランスが大事。 いまだに、カタコトの日本語を話す外国の人を面白く感じている人がいることに愕然としたりする。 話すだけならまだしも、「しゃべらせる」。そんな動画作成サービスなんかも盛り
否定も肯定もしない。 大人たちが与える"条件づけられた愛"(この場合わたしにとってそれを愛とは表現できないが便宜上そう呼ぶ事象)によって構成されたこどもたちの中で、偶然にもその条件を満たすことができ、それと引き換えに"愛"を得たものたちだけがヒエラルキーのトップに立つ事ができる。 条件を満たせなかったこどもたちはどうだ。大人たちには愛を与えられるどころか、勝手に失望され、元来持っている生きるものに対する"無償の愛"を邪険に扱われ、奪われる。"条件づけられた愛"を与えら
全ての皮膚がキンタマの皮みたいな素材でできた悪魔が自分の体を指先で抓りながら笑ってる。 バーテンダーさん曰く、わたしはこの悪魔と契約のためにオロナミンCみたいな酒を酌み交わさなきゃいけないみたい。 よりによってこんな悪魔と契約しなくちゃいけないのか。笑ってるだけで話してくれないし、自分で自分をつねってて、へんてこだからやだな。 夢は匂いがしないから助かった。 肘から肩にかけて、虎さんがネズミを捕まえているタトゥーを入れようと思ってる。 ともだちの彫り師さんと相談
大嫌い。 個を識別するための記号としての役割にしては度がすぎるほどの力を持ちすぎている。 生まれて1番最初につけられる呪い。 それがあまりに強すぎて、わたしは私であるための呪いを好き好んで自分にかける。 こしのと呼んでくれる人、かんばいと呼んでくれる人、こしのかんばいから連想される呼称で呼んでくれる人。そのひとたち全てに私は生かされている。 ありがとう、世界一幸せにするね。 大好き。
ドラッグが概ね"高い"のは危ない思いしてくれてる人への感謝とかあるし、 それと大差ない、利益率が高いだけの金額でcbdみたいなきまりもしないつまんないもん買う意味全然わかんない。 新しいカネヅルになって気分良くなるのもまた効能。 結局、ドラッグはやろうがやらまいがエンターテイメント。みんなすきなんだ。 表情が官能的と受け取れないように意図された女性の裸体を描いたアートきらい。性的に受け取られなさそうな表現ならばアートで、エッチなのは猥褻なんだって。 エッチなものの
ネタが尽きた。 流行病の影響でモノが入ってこないらしい。普段連絡なんてしない知人にまで話を聞いてもてんでダメ。手元に残ったカリカリのそれといつのかわからない1/4を見つめ呆然とする。わたしの夏はこんなもんじゃ始められない。終わらない。 なにかなにかなにか、何かないものか。 個人輸入サイトを巡回する。クソ苦いアモバンのゾロ、薬価も高い。これはいらない。 見るからに体に悪そうなオレンジと黒のカプセル。なんだこれは。ハイプロン?全然聞いた事ない名前も見た目も、心の隅に
午前中から続く長い旅も後半に差し掛かり、体の表面は汗で冷え、わたしはベッドの上に横たわっていました。何に心を動かされたのかは覚えていませんが、目の周りは蒸発した涙で乾いていました。 -怠惰で既に日常と化したトリップも二週間ぶり。やっぱり、二週間のインターバルが最低限ね。週に一度じゃ、数が増えるばかりだわ。- 取り止めのない空想と頭の中でする会話。 目の力を抜いてぼんやりと障子を見つめる。 障子紙は白。紙の繊維が折り重なって、陽の光を柔らかくする。果たしてそうだろうか
2022.08.31に7曲入りEP、"ドーズドーズドーズ"をリリースします。水曜日。 またドーズだのなんだのって、と呆れられてしまうかもしれませんがこれが正直なところライフですので仕方がありません。言い訳せず、理由も作らず、わたしは真剣にドーズと向き合ってきたつもりですし、今後もそうやって過ごします。 このようにいつもの絵文字を使わず句読点のみで構成された文章なら普段は持ち合わせていない説得力も生まれるというものです。ヘラヘラしていないぞ。 リリースまで時間があるの
幼い頃から偏頭痛に苛まれている。 視野欠損と閃輝暗点が主な前兆で、それが目の前に現れるたび幼かったわたしはパニック起こし泣き喚いた。その後訪れる地獄のような痛みを恐れていたのである。 前兆と頭痛の関係性は小学生の時には理解できた。「目の前がビカビカしたら絶対に頭痛くなってゲロ出る」この認識は未だに正しい。そのため小学生だったわたしは前兆が見えている時点で学校を休む提案をする。しかし大人はまた仮病だと言う。この後絶対に頭痛くなってゲロ出るのに。案の定登校した瞬間に腹のもの
泣いてるき みにどうしてなかないで なんて言えるの わずかばかりの良心と眠る