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玉川可奈子の本棚

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私が読んだ本について、感想や思ひ付きをまとめたものをまとめました。
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#芭蕉の俤

平泉澄先生『芭蕉の俤』覚書 その五

平泉澄先生『芭蕉の俤』覚書 その五

 いつもお読みいただき、ありがたうございます。玉川可奈子です。
 平泉澄先生の『芭蕉の俤』覚書も、いよいよ今回で最終回です。少し長くなりますが、最後までお付き合ひください。

 前回は陶淵明と白楽天でした。今回は、韓退之です。そして最後の「芭蕉の俤」に入ります。「芭蕉の俤」は結論部分になります。

韓退之 まづは「第七 韓退之」です。

 平泉澄先生は、韓退之を「歴史家」として捉へやうと試みてゐま

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平泉澄先生『芭蕉の俤』覚書 その四

平泉澄先生『芭蕉の俤』覚書 その四

 いつもお読みいただき、ありがたうございます。玉川可奈子です。
 今回も引き続き、平泉澄先生の『芭蕉の俤』(錦正社)を見ていきませう。

陶淵明 前回は木曾義仲、そして、源義経でした。彼らは敗者でありましたが、そのこと以上に「美しい人」たちでした。

 ここから本邦より移り、支那の傑士について話しが変はります。「第五 陶淵明」を見てみませう。

 まづは陶淵明の歿年について記してゐます。なほ、角川

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平泉澄先生『芭蕉の俤』覚書 その三

平泉澄先生『芭蕉の俤』覚書 その三

 いつもお読みいただき、ありがたうございます。玉川可奈子です。引き続き、平泉澄先生の『芭蕉の俤』(錦正社)について見て行きませう。今回は、「第三 木曾」、「第四 判官」です。少し長くなりますが、最後までお付き合ひいただけたら幸甚です。

木曾義仲 「第三 木曽」は、木曾義仲を論じてゐます。

 冒頭からこのやうに指摘されてゐます。このやうに、義仲はあまり評判の良い人物ではありません。

 しかし、

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平泉澄先生『芭蕉の俤』覚書 その二

平泉澄先生『芭蕉の俤』覚書 その二

 いつもお読みいただき、ありがたうございます。玉川可奈子です。

 前回、平泉澄先生の『芭蕉の俤』(錦正社)について書いてをります。今回は、前回の西行に続き、実方について見て行きます。実方は藤原実方のことで、平安時代屈指のイケメンです。「百人一首」にも「さしも知らじな 燃ゆる思ひを」の歌が入つてをり、よく知られてゐます。なほ、私が高校生のころ、この「百人一首」の歌が好きで、かういふ歌を異性からもら

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平泉澄先生『芭蕉の俤』覚書 その一

平泉澄先生『芭蕉の俤』覚書 その一

 いつもお読みいただき、ありがたうございます。玉川可奈子です。私が大切にしてゐる本について、しばらくその眼目や感じたことを書きます。最後までお付き合ひいただけたら幸甚です。なほ、大切にしてゐる本とは、表題の『芭蕉の俤』(錦正社)です。

 平泉澄先生の御著書の中で、異色を放つてゐるのが『芭蕉の俤』でありませう。いはゆる先哲や忠臣義士に光を当てられ、皇国に殉じた人物を顕彰された先生にして、何故、芭蕉

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