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絵画からの着想

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3月1日のお話。

3月1日のお話。

朝、天気予報を見たときは「曇り」。今日いっぱいは雨は降らないと思って干した洗濯物も、こう、雲がどんよりと暗くなってくると心配です。

もし降ったときのために、取り込んでしまおうか。

昼下がりの2時。おやつの珈琲を淹れながら、狩野かなめはそんなことを考えました。今日はいつもより暖かいし、概ね乾いているだろう。あと少し部屋に吊るしておけば夜には片付けられるかもしれない。それが良い。

熱々の珈琲を一

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11月18日のお話

11月18日のお話

冬だけ、雪の積もる軽井沢のある場所にレストランがオープンします。名前はRestrant_KUKU。毎冬、オーナーが腕利きの料理人をスカウトし、雪の間だけ店がオープンします。

このお店が人気店だと言われている背景には、予約困難店だという理由があります。予約が殺到しているから予約が取れない、という時期もありますが、3年後の予約まで埋まっています、というような店ではありません。予約するのが”大変な”店

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11月17日のお話

11月17日のお話

冬だけ、雪の積もる軽井沢のある場所にレストランがオープンします。名前はRestrant_KUKU。毎冬、オーナーが腕利きの料理人をスカウトし、雪の間だけ店がオープンします。

今日のお客様は母娘の二人組です。還暦になるお母様をお連れし、女同士のお祝いをしたいのだというお嬢様からご予約を頂戴いたしました。

母と娘、そう言われなくてもわかるくらい似ているお二人ですが、性格は正反対というところでしょう

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11月16日のお話

11月16日のお話

冬だけ、雪の積もる軽井沢のある場所にレストランがオープンします。名前はRestrant_KUKU。毎冬、オーナーが腕利きの料理人をスカウトし、雪の間だけ店がオープンします。

今日ここを訪れたのはひと組の夫婦です。

年齢はお互いに30代半ばというところでしょうか。夫婦で軽井沢に余暇を過ごしにきているのでしょう。着ているもの、持ち物など何をとっても、シンプルな着こなしですがしっかりとしていて経済的

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11月3日のお話

11月3日のお話

2045年11月3日

この日、カリノエージェントというベンチャーが歴史的なヒットを飛ばすことになる娯楽プラットフォーム「KARINOハピネス」をローンチしました。

通称カリハピと呼ばれるそのサービスは、多様化する“幸福な人生のフォーマット“が検索できるものです。検索結果が、複数のコンテンツにより表示されることが特徴で、占いの性格診断の結果のようにテキストデータで表示されるライト版から、ノベル小

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11月1日のお話

11月1日のお話

人間には、様々な試練が与えられます。世に名の通った神様によると、その人が超えられない試練は無いそうで、神様から与えられたものはその人が必ず乗り越えられるものだそうです。

しかしこれは、どうでしょうか。神様の見込み違いだったということも、稀にあるかもしれません。その時は乗り越えたように見せかけているだけで、実はその後も長い間尾を引く試練もあるのではないでしょうか。そもそも乗り越えるという事象の定義

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8月31日のお話

8月31日のお話

「今日が、最終日ですね。クク様」

そう呼び止められ一瞬キョトンとした銀髪の女性は、次の瞬間、自分が呼び止められたのだと認識してハッとし慌てて笑顔を作りました。

「ええ、そうね。なんだか、久しぶりにククって呼ばれた気がするわ。」

ククと呼ばれた女性は、魔法の国の大賢者という役職につく、初老の女性でした。侍女が、秘書のように横に付き従うと、「今日は夜間にハヴィ様の来訪があります。お時間までには必

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8月30日のお話

8月30日のお話

「前菜盛り合わせと、ビールください。」

夏休みも終わりかけの月曜日は、世間もなんだか少しテンションが低いように感じます。社会人になって久しい自分には、8月末という日付はそんなに関係のないはずなのに。どうもすっきりしない気持ちを紛らわせようと、かなめがやってきたのは野菜やハーブを中心とした料理を出してくれる、カフェ&バーで緑の魔女の店「KUKU」という小枝でつくった看板が可愛らしい、かなめお気に入

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8月20日のお話

8月20日のお話

ナオミさんは、いつも明るく可愛らしい先輩でした。仕事もできて優しくて、優しすぎると会社のパートナーからは叱られることも多くて、それでも「私はこんなだからさ」と舌を出して飲みに行く。そんな人です。

今日も苅野は、そんなナオミさんに誘われて、彼女の行きつけのお店に飲みに来ています。

ナオミさんは、少し変わっているところもあって、美味しいものとダイビングが大好き。月に二回は沖縄に沖縄に潜りに行きたく

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8月19日のお話

8月19日のお話

「時間、生物学会?」

お盆休みあけ早々2021年8月19日。朝一に呼び出された企画会議で、皆塚カリノは不思議なものを見るような目で企画書を眺めました。

「そうです。最近話題の、時計遺伝子に着目したシャンプーについて記事化できないかなと思って。」

「シャンプー?」

なんでそんな女性誌みたいな企画、と出かかった言葉を慌てて飲み込み、カリノは企画書をめくりました。そこには高級サロンの写真と、そこ

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8月9日のお話

8月9日のお話

流れる光がもし人生のようだとしたら、たまに光がないのもまた人生。

それはまるで、高速道路を行き交う車みたいだなと、あなたが言うので、わたしはすっかり、あの東名高速道路の、上り、川崎ICを過ぎたあたりで突然現れるそれに心を奪われてしまいました。

綺麗さと言う点だけではありません。

その綺麗さを増幅させることを考え抜いた、防音壁の素材選びに「粋」を示そうと言う人がいただろうことも、わたしにとって

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8月8日のお話

8月8日のお話

2019年8月8日 小笠原諸島は停滞した台風10号により、激しい暴風雨に見舞われていました。

そんな中、刈野かなめはお盆休みの旅行に、この島を訪れていました。

「まぁ季節だし、覚悟はしていた」

と、強がってはいるものの、直撃&停滞という自分の雨女ぶりには少しゲンナリしたものです。「島に行きたいの」というかなめの我儘を快く聞いて付き合ってくれている彼氏の英人にも申し訳ない気持ちでいっぱいでした

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7月26日のお話

7月26日のお話

2013年7月26日

その日のお客様は、少し変わっていました。

京都市内の北川、山に抱かれるような場所にある私の勤務先、宝ヶ池のホテルにはいくつかのお庭があります。海外からのお客様も敷地内で日本を存分に感じていただけるよう、庭のあつらえは京都らしく、日本庭園はもちろんですが、お客様の故郷でも見かけるような種の花を積極的に選んで咲かせています。

遠い日本までお越しになったお客様が、故郷の花を見

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7月25日のお話

7月25日のお話

2007年7月25日

天神祭で賑わうこの日、美樹が勤める会社の入っている大阪ビジネスパークは大阪城の隣、弁天島にあるという立地柄、夕方になると社員は仕事を放棄して最寄りのコンビニへ買い出しに走ります。花火が見えるスポット(川沿いの窓側)に缶ビールと乾き物のおつまみを出して、涼しい室内で花火を見てやろうというのです。

企画しているのが管理職のおじさんたちだからでしょう、音もかすかで風情も何もあり

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