この中にお殿様はいらっしゃいますか?(#毎週ショートショートnote)
「殿~、殿~」
家臣たちの声が街中に響き渡っていた。
「この中にお殿様はいらっしゃいますか?」
家臣の一人が茶屋に入り、訪ねた。
「馬鹿者、そんなところに居られるわけなかろう」
家老が家臣を一喝した。
「殿にはいつも困らせられる」
家老が独り言ちる。
「殿~、殿~」
家臣たちは探し続ける。
「もう、見つからない」
家臣の一人があきらめかけた。
その時、三人いるうちの最も殿に信頼されている家臣が閃いた。
「あそこじゃないですか、麻布十番のガールズバー。行ってみましょう。」