カミヲ勘デ

資格試験のため、しばらくお休みしていましたが、再開します!! 試験の結果は・・・・聞かないでください。

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最近の記事

無人島生活福袋(#毎週ショートショートnote)

SNSに「無人島生活福袋、差し上げます」というDMが来た。 普段なら無視するが、今、俺には究極に金がない。バイトの給料日までも遠い。もらえるならもらっておこう。 「手続きは免許書等の写真と顔写真を送信するだけです」 この時のオレは何も疑問を持たず、スマホを操作した。 三日後、無人島生活福袋が届いた。 中にはマスク、サングラス、ライター、ナイフ、ハンマー、ロープ、粘着テープと説明書が入っていた。 がっかりしながら説明書に目を通す。 東京都●〇市×▽1-1-1の住宅を訪問

    • 長距離恋愛販売中(#毎週ショートショートnote)

      何もすることのない休日の朝、友達はスマホだけ。 そのスマホから流れる要らない広告を挿みながら、いつもの動画を観る。こうして一日が終わるいつもの休日。 アプリ「長距離恋愛」発売中、今なら無料!~生成アプリがあなたの彼女に~ 「暇つぶしにはちょうどいいか」 画面をタップした。 ~ダウンロードには3~5分かかります。電源を切らないでください~ 次の日からアプリに夢中になった。沢山会話もした。 スマホの彼女は本当の彼女のよう、でも、AIはやっぱりAIなんだよな。このアプリを使

      • 沈む寺(#毎週ショートショートnote)

        受験、就職、あまりうまくいかなかった。 なんとか結婚こそできたが、3年で離婚、なんとかもがいて今年50歳になった。 「人生50年、化天のうちをくらぶれば・・・」 織田信長が詠んだらしい。本当の意味は人間の50年は天界の一日に相当するという意味らしいが、そんなことはどうでもいい。人生100年時代の折り返しに来たわけだ。 山奥の秘湯旅が、ささやかながら自分へのご褒美だ。 山道を歩くとさびれた寺があった。 「沈む寺」、縁起でもない寺の名前だな。まあ、このまま年を重ね、孤独死

        • この中にお殿様はいらっしゃいますか?(#毎週ショートショートnote)

          「殿~、殿~」 家臣たちの声が街中に響き渡っていた。 「この中にお殿様はいらっしゃいますか?」 家臣の一人が茶屋に入り、訪ねた。 「馬鹿者、そんなところに居られるわけなかろう」 家老が家臣を一喝した。 「殿にはいつも困らせられる」 家老が独り言ちる。 「殿~、殿~」 家臣たちは探し続ける。 「もう、見つからない」 家臣の一人があきらめかけた。 その時、三人いるうちの最も殿に信頼されている家臣が閃いた。 「あそこじゃないですか、麻布十番のガールズバー。行ってみましょう。」

          海のピ(山のポ)(#毎週ショートショートnote)

           今日もニュースでは「海のピ」の話題が中心だった。 「地球温暖化のせいでしょうか、今年も日本近辺の海には「ピ」が大量発生しています。繰り返します、海のピが大量発生しています。生態系に何らかの影響を及ぼすものと思われます」  日本近辺には、近年未確認生命体である「海のピ」が大量発生していた。しかし、その姿形はわからず、「ピ、ピ」と音がするだけであるが、明らかに生態系を大きく変えており、魚種によりその漁獲量が大きく変わっていた。  そんな中、「さかなグループ」という研究グル

          海のピ(山のポ)(#毎週ショートショートnote)

          天ぷら不眠(#毎週ショートショートnote)

           眠れない時には、布団に入り、羊の数を数えるといいと聞いた。  「羊が一匹、羊が二匹、羊が三匹・・・・羊が三百二十九匹・・・」  全然眠れやしない。動物をえてみよう。  「鶏が一羽、鶏が二羽、鶏が三羽・・・・鶏が四百三十一羽・・・」  ダメだ、鶏は朝、おはようのコケコッコーだ。鶏じゃない、野菜にしてみよう。  「サツマイモが一個、サツマイモが二個・・・・サツマイモが五〇個・・・」  なんか違う。そうだ、ロマンチックにいこう。  「キスを一回、キスを2回、キスを3回・・

          天ぷら不眠(#毎週ショートショートnote)

          友情の総重量(#毎週ショートショートnote)

           高校を卒業し、30年。  男子校で幹事を引き受けるようなまとめ役がいなかったからか、同窓会も開かれず、卒業式以来の再会。クラス45人中、30人くらいは集合した。 田舎の進学校だったこともあり、自分も含め、クラスメイトの大半は東京や関西の大学に進学した。何人かと年賀状のやり取りこそあったが、こうやって再会する機会はなかった。 「本当に久しぶりだな、変わっていないな」 「今、どこで働いてんのよ」 「今日、来てないけど、隆はシンガポールに移住したらしいよ」 ホールでは再会を

          友情の総重量(#毎週ショートショートnote)

          てるてる坊主のラブレター(#毎週ショートショートnote)

          「マスター、いつものモーニング、お願い」 土曜の朝のルーティン、行きつけの喫茶店でのモーニング。マスターは白髪頭でいつも穏やかだ。 「マスター、何?あのてるてる坊主?」 窓辺に少し大きめのてるてる坊主。 「孫が明後日、遠足なんだよね。天気予報わるいでしょ。だから店にてるてる坊主つるせって」 「懐かしいね、私も昔よくつくった」 マスターが淹れてくれた珈琲を一口、いつもの苦みだ。 「さっちゃん、落ち着いたかい?」 「やっとね。あの人が突然の事故で亡くなるなんて、想像も

          てるてる坊主のラブレター(#毎週ショートショートnote)

          放課後ランプ(#毎週ショートショートnote)

          「神谷、ちょっと話あるんだけど、放課後理科室に来てよ」 中学二年の夏休み前、谷島智子に声をかけられた。矢島のことは前から気になっていた。バレー部のエースで運動神経がいいところ、誰とでもフラットに話すところ、でもクラスでは決して1軍ではないところ。 理科室にはアルコールランプが一つ。誰かが片付けるのを忘れたんだろう。引き出しからマッチをとり、火をつける。オレンジ色の炎が揺らぐのをしばらく眺めていた。 部活前のジャージ姿の谷島が来た。 「神谷、私夏休みに引っ越すの、今までい

          放課後ランプ(#毎週ショートショートnote)

          春ギター(#毎週ショートショートnote)

          公園の桜は満開だ。   赤ら顔で缶ビール片手にはしゃぐ彼らは会社の仲間だろう。 とても楽しそうだ。   シートの上で二人の世界に入って語り合うカップル、とても幸せそうだ。 ゆっくりな足取りで散歩するおじいちゃんとおばあちゃん。 桜の花はみんなを幸せにしてくれる。華麗に咲いて、惜しげもなく散る桜。この世に未練を感じさせないのも桜の魅力かもしれない。 花見の喧騒の中、僕は毎年ギターを弾いている。 誰も聞いてくれるわけではないけれど。 やっぱり春はいい。 出逢いも別れも一緒

          春ギター(#毎週ショートショートnote)

          深煎り入学式(#毎週ショートショートnote)

          桜が満開の入学式。 3人のピッカピカの一年生が15人のお兄さん、お姉さんに迎え入れられた。 この古びた木造校舎での最後の入学式。 翌年からは隣町の小学校に統合される。 「●〇小学校に入学したことをうれしく思います」 ボクが代表で読み上げた。 児童の数より、倍の数の大人がいる入学式。 1年間だけだったが、夏には蝉の鳴き声を聞きながら、汗だくで受ける授業。 冬には隙間風で寒かったけど、ヤカンをのせた薪ストーブの周りに集まり、食べる弁当。 授業中、犬が校庭を走り回る光景が年に

          深煎り入学式(#毎週ショートショートnote)

          三日月ファストパス(#毎週ショートショートnote)

          「亡くなったら、三日月様を滑り台のように滑って、飛んでお星様になるんだよ、そうあの星がおじいさん。」  小さい頃、三日月を見ながら祖母から聞いた話。  思い出はもっとたくさんあったけど。これだけは鮮明に覚えている。  今日、会社からの帰り道、見知らぬ男の人から「三日月ファストパス」を書かれた一枚の紙をもらった。 「お急ぎなら、どうぞ使ってください」  別に何も急いでいないんだけど・・・  とか思いながら、信号を渡っていたら猛スピードの自動車に突っ込まれ、意識を失った。

          三日月ファストパス(#毎週ショートショートnote)

          洞窟の奥はお子様ランチ(#毎週ショートショートnote)

           半年に一度、百貨店のレストランでお子様ランチを食べ、屋上の遊園地で遊ぶのが唯一の贅沢だった。  しかし、その百貨店は10年前に閉店した。  都会ではITバブルやら、リーマンショックやら、景気に波があり、好況だった時もあるようだが、地方経済は40年失われたまま。  洞窟の中を歩くように毎日もがきながら生きてきた。  昔夢中になったロールプレイングゲームのように、黙々と仲間と作業をこなし、苦労を重ねながら、必死に家庭を育んできた。 ともに戦った妻は冒険の途中で旅立った。自

          洞窟の奥はお子様ランチ(#毎週ショートショートnote)

          行列のできるリモコン(#毎週ショートショートnote)

          とある街の古びた電気店に長い行列ができていた。 どうやらリモコンを売っているらしい。 「購入の際には申込書に氏名、生年月日を記入の上、身分証明書をご用意してお待ちください」 看板にそう書かれていたので、気になって申込書を手に取り、行列に並んだ。 ようやく手に入れたリモコンを手に取ると1から86までの数字が書かれたボダン。 試しに27のボタンを押してみる。 15年前の結婚式の様子が頭の中に鮮明に思い出された。 次に16のボタンを押してみる。 河川敷のグランドで彼女とキ

          行列のできるリモコン(#毎週ショートショートnote)

          アメリカ製保健室(#毎週ショートショートnote)

          20●●年 体育の時間にけがをした生徒が保健室で手当てを受けながら保健室での会話 A:3年前に○○市にできた新しい高校はアメリカ製らしいぞ B:それはインターナショナルスクールってこと? A:いや違う、設備や教室、体育館、全てがアメリカ製らしいんだ、 教育方針もアメリカナイズされていて、将来の一攫千金を夢見て、 多くの学生が門をたたいているらしい B:へぇ~ A:ITもスポーツの教育も盛んで億万長者になった卒業生や メジャーリーガーやバスケの選手になった卒業生もいる

          アメリカ製保健室(#毎週ショートショートnote)

          ドローンの課長(#毎週ショートショートnote)

           テクノロジーの世界にも年故序列があるらしい。  1月からドローンが課長に昇進した。  社長はガラケー、専務にはスマホ、部長にはエコカーがそれぞれ就任した。  それでもドローンは誕生から管理職就任まで異例の早さと言われていた。  しかし、物事を俯瞰できる能力を持っているうえに、モノを運ぶことのできる機動性などを高く評価されてのことであったと言われている。  とは言えども20世紀に誕生したガラケーが社長に君臨していることに間違いはない。  「ドローン君、課長就任おめでとう

          ドローンの課長(#毎週ショートショートnote)