この中にお殿様はいらっしゃいますか?(#毎週ショートショートnote)
「殿~、殿~」
家臣たちの声が街中に響き渡っていた。
「この中にお殿様はいらっしゃいますか?」
家臣の一人が茶屋に入り、訪ねた。
「馬鹿者、そんなところに居られるわけなかろう」
家老が家臣を一喝した。
「殿にはいつも困らせられる」
家老が独り言ちる。
「殿~、殿~」
家臣たちは探し続ける。
「もう、見つからない」
家臣の一人があきらめかけた。
その時、三人いるうちの最も殿に信頼されている家臣が閃いた。
「あそこじゃないですか、麻布十番のガールズバー。行ってみましょう。」
「お前が飲みたいだけじゃないか」
と別の家臣に突っ込まれながらも、麻布十番に向かった。
3人の家臣はガールズバーの扉を開き
「この中にお殿様はいらっしゃいますか?」
と声を合わせた。
白塗りの殿は息を切らしている家臣を見て
「なんだ、お前ら。何か用か?」
「殿~、ご家老が怒っております。勉学の時間だって」
「なんだ、爺か、ほっておけ」
「なんでも今日からスタイル抜群の家庭教師が来たって、ご家老が申していました」
「それを早く言え、バカ野郎」
殿は3人の家臣と城に戻った。そこにはスタイル抜群のイケメン家庭教師がいた。