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閑文字

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詩をまとめています。楽しんでいただけたらうれしいです。
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2023年4月の記事一覧

僕は歩くのが遅い

僕は歩くのが遅い
何車線もある大きな道路の脇を、ちいさく歩く
車がビュンビュン通り過ぎて、バイクは
無数の爆発を起こしながら進んで、
ママチャリが通って、学生が下校していく
僕はススメバチの死骸にぎょっとしている
ススメバチの濃黄色には、
見るだけで毒がありそうで、避けて歩く
よく見たら“Have a NICE DAY”と書いてある
極彩色で巨大な看板
駐車場をはさんで向かいにある、黒い建物に波打

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月面都市

月面都市に住んでみたら、六分の一の重力が、知識ではどうにもならない不安感を、内臓がフワッと浮くみたいに与えて、みんな、太陽系を前に、惑星のように縛り付け合った。雑談で嘘をつく必要のある社会みたいに白い洞穴みたいな住居が、光の当たるところに集まっている。夜というよりはただの闇の頭上で、星というよりはただの巨岩が、大渋滞を起こしている。波が人間の世界と人間外の世界を分けるように、空が彼女と言い換えるこ

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育てやすい子

食べるが誇張された皿に、
レシピで構造化された料理が、盛られている。
それをだれの手もかりずに食べれるみどりごがいる。
にんじんの“にん”と“じん”のあいだから溢れ出る、春の甘さと皮の香りは、実家が解体されているときに、柱の折れたとこから漂う想い出みたいなものなのに、自分が産まれる前に、うまれた廃墟に、きみは心を奪われている。
いつから世界の朽ち葉が社会の歯車になったのかなぁ。
電気がなくても、春

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“一線を越える”という現象に、「一線を越える」という言葉以外で近づく

公園デビューしたときから作っていた
砂の城は、具現化された死が
生命を奪おうと伸ばした手みたいな白波に触れられて
溶け崩れた 改札脇のキスを見られてキレる恋人たちの
残酷さと同じ白さの砂が、濁ったエスプレッソに変わる
黒が、白砂の中の、暗闇に消えていく
金星まで5500万km
 
月が落ちて太平洋プレートを砕く音も、
窓まで凍える夜には消されてしまう
朝になったら、拡散される迷惑行為みたいな
純粋

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【詩】二杯目の水

ラーメンの海苔はスープに半身浴させて
パリパリ感を残したまま麺に巻いて食べる。
このとき、麺は少なめに取る。
口の中で海苔を楽しめるように。
追加でトッピングできない私の、贅沢な食べ方。
お冷がお持ちされた。
すでに私の手元にはあるのだが、お持ちされた。
カウンターの上にはピッチャーがあり、隣のおじさんにはきていないところを見ると、
たぶんミス。
ラーメン屋では珍しく、同じ人に配属になった二つ目の

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