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かどみなかずき
2023年4月27日 21:28
僕は歩くのが遅い何車線もある大きな道路の脇を、ちいさく歩く車がビュンビュン通り過ぎて、バイクは無数の爆発を起こしながら進んで、ママチャリが通って、学生が下校していく僕はススメバチの死骸にぎょっとしているススメバチの濃黄色には、見るだけで毒がありそうで、避けて歩くよく見たら“Have a NICE DAY”と書いてある極彩色で巨大な看板駐車場をはさんで向かいにある、黒い建物に波打
2023年4月23日 17:49
月面都市に住んでみたら、六分の一の重力が、知識ではどうにもならない不安感を、内臓がフワッと浮くみたいに与えて、みんな、太陽系を前に、惑星のように縛り付け合った。雑談で嘘をつく必要のある社会みたいに白い洞穴みたいな住居が、光の当たるところに集まっている。夜というよりはただの闇の頭上で、星というよりはただの巨岩が、大渋滞を起こしている。波が人間の世界と人間外の世界を分けるように、空が彼女と言い換えるこ
2023年4月12日 19:12
食べるが誇張された皿に、レシピで構造化された料理が、盛られている。それをだれの手もかりずに食べれるみどりごがいる。にんじんの“にん”と“じん”のあいだから溢れ出る、春の甘さと皮の香りは、実家が解体されているときに、柱の折れたとこから漂う想い出みたいなものなのに、自分が産まれる前に、うまれた廃墟に、きみは心を奪われている。いつから世界の朽ち葉が社会の歯車になったのかなぁ。電気がなくても、春
2023年4月7日 17:58
公園デビューしたときから作っていた砂の城は、具現化された死が生命を奪おうと伸ばした手みたいな白波に触れられて溶け崩れた 改札脇のキスを見られてキレる恋人たちの残酷さと同じ白さの砂が、濁ったエスプレッソに変わる黒が、白砂の中の、暗闇に消えていく金星まで5500万km 月が落ちて太平洋プレートを砕く音も、窓まで凍える夜には消されてしまう朝になったら、拡散される迷惑行為みたいな純粋
2023年4月1日 18:24
ラーメンの海苔はスープに半身浴させてパリパリ感を残したまま麺に巻いて食べる。このとき、麺は少なめに取る。口の中で海苔を楽しめるように。追加でトッピングできない私の、贅沢な食べ方。お冷がお持ちされた。すでに私の手元にはあるのだが、お持ちされた。カウンターの上にはピッチャーがあり、隣のおじさんにはきていないところを見ると、たぶんミス。ラーメン屋では珍しく、同じ人に配属になった二つ目の