読んで知って、身体に美味しいレシピ 1/旬のサヤインゲンとタコとジャガイモのしそジェノベーゼパスタ
お客様からこれから旬のサヤインゲンを頂きました!
今日はサヤインゲンを使ったイタリアンレシピをご紹介します。
サヤインゲンはもちろん、その他の食材の薬膳的効能や、栄養学的な知識も織り交ぜながら、食材の働きをしっかり読んで知ってもらい、身体への効果をしっかり把握しながら召し上がってもらえたら嬉しいです。
サヤインゲンとタコとジャガイモの
しそジェノベーゼパスタ
〜体も気持ちも疲れている時のオススメレシピ〜
●メイン食材(4〜5人分)●
①サヤインゲン(頂いた食材ですので適量/166g)→ヘタをとって軽く塩ゆで
②ジャガイモ(中2個)→3〜5mm幅のいちょう切り、軽く茹でておく
③タコ(適量/今回は164g)→乱切り
④手作りしその葉ジェノベーゼソース(作り方は後ほど)
・パスタ(人数分)
・オリーブオイル
・ニンニク
・塩
※「小麦」は涼性、「タコ」は寒性なので、温性の「ニンニク」や「しそ」で体が冷えないように調和しましょう!
①-1 サヤインゲンの薬膳的効能
【平(温めず・冷やさず)/帰経(作用する臓器)・脾胃(ひい/主に消化器系)】
【働き】/胃腸を元気にして補気作用(滋養強壮)を高める!
⑴健脾化湿(けんぴかしつ)/口の中の粘り、食欲不振、胃腹張満、体の重だるさ、下痢
⑵消暑和中(しょうしょわちゅう)/暑さと湿気による頭重感、口渇、嘔吐、下痢
■応用例
・気虚便秘(内臓機能が弱っての便秘)/サヤインゲン+豚肉+黒ごま
・疲労回復/サヤインゲン+鶏肉、ニンニク、長ネギ、ピーマン
①-2 サヤインゲンの栄養・効能
タンパク質、炭水化物、ビタミンA・B1・B2・Cや、穀物に不足がちなカルシウム、アミノ酸、リジン(必須アミノ酸のひとつで、人体を構成するタンパク質の組み立てに必要な栄養素。肉などの動物性たんぱく質に多く含み、ブドウ糖の代謝を良くして集中力を高めたり、カルシウムなどの吸収を促進するほか、肝臓機能の強化も期待など)を多く含みます。栄養価は決して高くはありませんが、大切な栄養素を少しずつ含んでいます。
整腸作用のある食物繊維を含んでいるので便秘に良く、ゴマ和え、炒め物、煮物など食べ方を工夫して食卓に出る回数を増やしても良いですね。
②-1 ジャガイモの薬膳的効能
【平(温めず・冷やさず)/帰経(作用する臓器)・胃、大腸】
【働き】/サヤインゲンと同じく胃腸を元気にして補気作用を高める!
⑴補気健脾(ほきけんぴ)/胃腸の疲れ、胃痛、吐き気、嘔吐、便秘
※サヤインゲンと同じく胃腸を丈夫にして、滋養強壮に良い食材ですね。これからの暑くなって食欲不振の予防や、夏バテにはオススメ食材です。
②-2 ジャガイモの栄養・効能
ジャガイモの主成分は炭水化物ですが、他にもビタミンB群・Cが含まれています。ジャガイモのビタミンCは加熱しても破壊されにくい利点があります。ジャガイモに含まれるカリウムは、体内のナトリウムを排泄する働きがあるので、高血圧の予防や治療にもオススメです。
ムチン様の物質が体内でグルクロン酸を生じるため、肝臓や腎臓を丈夫にして、老化防止にも効果的です。また唾液腺ホルモンの分泌を促すので、消化を助け、便秘の改善にも役に立ちます。
ジャガイモを買う時のポイントは泥付きのもので、丸みがあり、皮が湿っぽいものが良質です。保存するときは新聞紙に包んで風通しの良い場所に保管しましょう。ジャガイモの芽や青い皮にはソラニンという天然毒素が含まれおり、吐き気や下痢、嘔吐、腹痛、頭痛、めまいなどの症状が出ることがありますので、しっかり除去しましょう。
③-1 タコの薬膳的効能
【寒・冷やす/帰経(作用する臓器)・脾(胃腸)、肝】
【働き】/養血(増血)して、体の元気を高める!
⑴養血益気(ようけつえっき)/気血虚弱の疲れ、息切れ、汗、めまい、顔色が悪い、産後の貧血、母乳欠乏
⑵収歛生肌(しゅうれんせいき)/慢性瘡瘍(発疹などが破れて化膿やびらんがある状態)
⑶生津止渇(しょうしんしかつ)/口渇、肌の乾燥
血を補い、気を充実させます。血の滞りの頭痛やめまい、月経不順などにも良いです。血行促進作用の酢と合わせた「酢ダコ」にしたら、より高い効果が期待できます。「寒」性で冷やしやすいので、生姜やニンニクと一緒に調理すると良いでしょう。
■応用例
・気血両虚(きけつりょうきょ/内臓の元気と血液が不足状態)、貧血/タコ+トマト+ほうれん草+ジャガイモ、ニンニク、鷹の爪(冷え防止)
③-2 タコの栄養・効能
脂質、糖質が少なく、低エネルギーです。消化に時間がかかるので、ダイエット中の方や、糖尿病で食事制限の必要な方に最適です。
アミノ酸の一種、タウリンも豊富に含まれているので疲労回復を助け、血中コレステロールを下げる働きがあり、動脈硬化に有効です。
消化しにくいので、胃が弱い方や持たれやすい方はお気をつけください。
また、アレルギー体質の方は多食を控えてください。魚介タンパクが原因でのアレルギー性蕁麻疹などのお客様も店頭でよくお見かけします。
④-1 しその薬膳的効能
【温・温める/帰経(作用する臓器)・肺、脾(胃腸)】
【働き】/寒さを散らして風邪予防!気を巡らしストレス発散!
⑴発汗解表(はっかんげひょう)/風寒表証(寒気からくる風邪の時)の発汗、解熱、咳
⑵行気寛中(こうきかんちゅう)/気滞(ストレス)の胸悶、みぞおちのつかえ、胃の張り、嘔吐
⑶解魚蟹毒(かいぎょかいどく)/蟹・えび・魚介類の毒素中和
④-2 しその栄養・効能
緑色の青じそと、紫色の赤じそがあります。漢方薬の原材料である生薬・蘇葉(そよう)は赤じそを乾燥させたものになります。青じそ赤じその成分にはさほど変わりはありませんが、青じその方が各種栄養素の含有量が多くなっています。青じそは特にビタミンA、カルシウム、鉄、リン、カリウムなどのミネラル類が多く、他にもビタミンB1・B2・Cを含みます。栄養面からも、料理の付け合わせだと思わずに、残さずに食べましょう!
香り成分のペリルアルデヒドには食べ物の腐敗を抑える制菌作用があり、食中毒を防止します。ここは薬膳の効能と合致するところであり、刺身のつまに使われるのは彩りではなく、昔ながらの生活の知恵と言えます。ちなみに食中毒には葉や穂先を煎じて飲みます。毎食後に温服すると下痢や急性腸炎にも有効です。またこの独特の香りは胃液の分泌を促進し、食欲を増進させ、常食すれば胃腸の働きを活発にします。
●作り方●
○10分できる簡単「しその葉ジェノベーゼソース」
※作るのが面倒なら、市販のジェノベーゼソースをご利用ください。
・しそ(4〜6束)※もちろ生バジルでもOK
・松の実(30〜40g)※なければカシューナッツでもOK
・くるみ(適量)
・粉チーズ(20〜40g)
・ニンニク(1片)
・EVオリーブオイル(100〜150cc)
・塩(小さじ1)
・しそ、松の実、くるみ、ニンニク、オリーブオイル(先に半分)を入れて、ミキサーで混ぜる
・全体が混ざったら、残ったオイルと粉チーズ、塩を入れ、ペースト状になったら完成
○サヤインゲンとタコとジャガイモのしそジェノベーゼパスタ
・濃いめの塩加減のお湯にパスタを人数分茹で始める(茹で時間7〜8分なら6分タイマー)
・茹でている間に、みじん切りのニンニクを低温でしっかりと香りを引き出し、パスタの茹で時間が大体3分を切ったら、タコを炒めはじめ、ジャガイモ、サヤインゲンも一緒に炒める
・全体に火が通ったら、作っておいたジェノベーゼソースをフライパンに入れて、具材と一緒に絡めておく
・パスタが茹で上がったら、ソースの中に投入し、塩加減を見ながら茹で汁をお玉で2〜3杯入れ、乳化するまで手早くしっかりかき混ぜる。ソースがパスタとしっかり絡めば完成。
最後に補足でソースに使用されている「くるみ」「松の実」もよく薬膳で使用される食材です。
「くるみ」は、見た目が脳みそに似てますが、薬膳的にも実際に健脳作用があると言われる食材で、毎日1日3つ食べるとよいと言われます。栄養学的にもくるみに含まれるオメガ3脂肪酸は血流が良くし、脳に必要な糖や酸素をしっかり運べるようになるため、脳の機能が良くなると言われています。
「松の実」は、中国では「松の実を毎日食べ続けると仙人になれる」といわれ、「仙人の妙薬」として、古くから中国で不老長寿に良いとされてきた薬膳食材です。体をしっかりと潤す作用があることから、乾燥肌やコロコロした硬い便の方の便秘にも良い食材です。