見出し画像

システムは個別の苦しみに応えられるか?①― エンジニアのための「隠喩としての建築」読解with GPT4o

【前回より】
本稿は、新人バックエンドエンジニアが柄谷行人さんの「隠喩としての建築」(講談社学術文庫)の難解な文章をGPTに助けてもらいながら読み解き、未来に必要なものづくりについて考えていく記事です。
今回は「隠喩としての建築」25ページからつづきを読んでいきます。
レヴィ=ストロースやソシュールが登場し、どんなに複雑な構造のなかにも抽象化の作業によってシンプルな構造が見えてくること、そのことの問題についてAIと振り下げて考えていきます。


あなた:
続きを読みます
「人間によって作られたものの特徴は その形態の構造が 素材の構造 より 単純だという点にあるとヴァレリーは言う 
例えばある文学作品の構造が把握される時 それはいつも テキストより 単純である。この場合 テクストは人間によって作られたものでありながらすでにどんな構造 よりも 複雑であり 過剰なのである。
その理由はいかなる構造も何らかの意図・目的・意味なしに考えられないというところにある
あるテクストの隠された構造を見るとき すでに隠された意味が前提 されている。ヤーコブソンが言ったように 言語の構造はその機能からしか 考えることができない。いかに複雑な構造が考えられてもなお それは単純化を伴っている
このような構造の性質は無論 構造主義についても言える
構造言語学は 言語の素材に関してまず 音声 文字 手話 などと言った 多様性をしりぞけて シニフィアンとシニフィエ という 単純な形式にのみ 注目し、 さらにそれらの要素でなく 要素間の関係 (差異)にのみ 注目する。
レヴィ=ストロースは 同様に 要素 自体より要素と要素の関係を見る方法 によって 一見して様々に異なる 神話の構造的同一性を見いだそうとした。
しかし 経験的な多様性・偶然性は 単に付随的なものにすぎないだろうか。
むしろ 構造の方が 付属的なものではないだろうか。このことについては後に述べる
さらに付け加えて システムについて触れておこう。
周知のように 制作という視点を持ったアリストテレスは、いっさいの生成・ 運動を目的論的に見た。
この観点は近代物理学によって一旦しりぞけられたが フィードバック装置を持った機械(サーモスタットのごとき)が考えられて以来 目的論が物理学的に 説明されるようになっている。
しかし 機械は もともと目的論的なのである。どんなに 高度な人工頭脳であっても それは目的に従属し、従って 構造的に単純である。
一般システム論(ベルタランフィ)が一般に明らかにするのは 常にある 単純化を施された構造にすぎない .」

ChatGPT:
この部分では、ポール・ヴァレリーやヤコブソン、レヴィ=ストロース、そしてアリストテレスやベルタランフィーの考えを引用して、「構造」と「システム」がどのように単純化されているかを論じています。

以下、ポイントをまとめます:

  1. 人間の作った構造の単純さ

    1. ヴァレリーは、人間が作り出したものの構造は素材の複雑さには及ばず、必ずしも複雑なものではないと指摘します。たとえば文学作品の構造は、読者が把握したときには常にテキストよりも単純になっています。

  2. 構造と隠れた意味

    1. ヤコブソンの言語理論では、言語の構造はその機能からしか考えられません。そのため、いかに複雑な構造であっても、理解の過程で何らかの単純化が伴います。

  3. 構造主義と構造言語学

    1. レヴィ=ストロースの神話構造の分析のように、構造主義では多様な要素の関係性に着目し、具体的な要素よりもその相互関係に重きを置きます。言語学においても、音声や文字などの具体的な素材は退けられ、シニフィアン(記号表現)とシニフィエ(意味)の関係が強調されます。

  4. 構造と多様性の関係

    1. 柄谷は、経験的な多様性や偶然性が「付随的」なものとされている一方で、むしろ構造そのものが付随的なのではないか、と問いかけています。つまり、構造はある種の「理論的な単純化」であり、現実の複雑さを捨象したものだという疑問です。

  5. 目的論とシステムの単純さ

    1. アリストテレスが提唱した目的論的な生成や運動の見方は、近代物理学によって一旦退けられましたが、フィードバック装置(例: サーモスタット)が考案されることで、目的論が再び物理的に説明可能となりました。しかし、機械は構造的に目的に従属しており、どれだけ高度であってもその意味で単純だといいます。

  6. 一般システム論の限界

    1. ベルタランフィーの一般システム論も、複雑性を理解するためにある程度の「単純化」が施されているにすぎず、現実の複雑さを完全には捉えられない点が示唆されています。

柄谷はこのように、私たちが構造やシステムとして捉えるものが、実際には現実の複雑な素材を単純化していることを指摘しており、その単純化の限界や意図について再考するよう促しています。
このあたりが理解を深める上で重要なポイントです。

構造主義ってなに?

あなた:
質問します
行動主義と行動言語学 レヴィ=ストロースの神話 構造の分析ですとか
シニフィアンシニフェの関係(差異)に注目した 話などをもうちょっと 補足して 初心者向けに解説してください

ChatGPT
承知しました!ここではレヴィ=ストロースの神話構造の分析や、構造主義における「シニフィアン」と「シニフィエ」について、初心者向けにわかりやすく説明します。

1. 構造主義の基本概念

  • 構造主義は、物事や人間の文化を「構造」(=物事を形作る仕組みや枠組み)を通して理解しようとする考え方です。例えば言語や神話、物語などを分析するとき、それぞれの「構造」がどうなっているかを見ることで、表面的な違いを超えた共通点や深い意味を明らかにしようとします。

2. 言語における「シニフィアン」と「シニフィエ」

  • フランスの言語学者フェルディナン・ド・ソシュールは、言語を「シニフィアン」と「シニフィエ」という2つの要素で考えました。

    • シニフィアン(Signifiant)=「記号表現」:言葉の音や文字の形のことです。たとえば「木」という音や文字がシニフィアンに当たります。

    • シニフィエ(Signifié)=「意味」:言葉が表す内容や概念です。「木」という言葉が頭に思い浮かばせる、実際の木のイメージや意味がシニフィエです。

  • この2つは常に対になっており、1つの「記号」を作ります。構造主義では、言語の理解においてこの関係が重要視され、また「シニフィアン」と「シニフィエ」の関係性に注目して、言語が構造化されている様子を理解しようとします。

3. 差異の重視

  • ソシュールやヤコブソンにおいては、言語の意味は「差異」によって成り立っていると考えられています。つまり、「木」という言葉が意味を持つのは、「木」が「水」や「石」と違うものだと認識されるからです。言語は「違い」によって意味が生まれる、という発想がここにあります。

4. レヴィ=ストロースの神話分析

  • 構造主義の人類学者であるクロード・レヴィ=ストロースは、神話が持つ「構造」に注目しました。彼は、世界中の神話が異なっているようでいて、実は構造的には共通するパターンがあると考えました。神話の中でよく出てくるモチーフ(英雄、敵、道具、旅、試練など)がどのように配置され、どのように関係し合っているかを見ることで、神話の構造的な同一性や人間の考え方の共通点を見出そうとしたのです。

  • 例えば、どんな神話にも「善」と「悪」の対立、「変身」や「試練」という共通のモチーフが含まれていることが多いです。彼はこれらを「構造」の一部として考え、神話の表面的な違いを超えた本質的な意味を解明しようとしました。

5. 構造主義の意義

  • 構造主義は、「要素と要素の関係性」に焦点を当てるため、対象の多様な外見や具体的な差異を超えて、背後にある「普遍的な構造」を見出そうとします。言語や神話などの表面的な内容や文化の違いを超えて、共通する「深層構造」を探ることが目的です。

  • ただし、この方法論が必ずしも現実の複雑さや多様性をすべて説明できるわけではなく、柄谷も指摘するように「単純化」や「抽象化」の限界があります。

こうした構造主義の考え方は、現象の奥にある共通の仕組みを理解しようとする際に有用ですが、現実の具体的な多様性を捨象するため、現実との乖離が生まれる可能性がある点に注意が必要です。

システムは個別の苦しみに応えられるか?

あなた:
システムについての くだり なんですけど
機械 はもともと目的論的な もので 構造的に単純だっていう話が 出てきましたが、
いま あらゆるシステムが その単純性の限界 に直面してると 思います.
社会の 解決しなければならない課題が 全て複雑に絡み合っている 状況で 多様性や個別の具体的な 苦しみに 答えられるシステムが 今後より一層求められる と思います.
先に読み上げた段落は単純化についての 指摘ですが その逆の 考え方はありますか?

ChatGPT:
まさにおっしゃる通りです。この箇所では、機械やシステムが目的に従属しており、構造的には単純であるという指摘がありますが、現代の社会課題を考えると、この単純性だけでは限界に直面していることが明らかです。
現代の複雑な社会問題に対して、システム設計に求められるのは「多様性」や「具体的な苦しみ」を受け入れ、柔軟に対応できるアプローチです。
つまり、従来の単純化のプロセスではなく、複雑な要素を維持しながらも、包括的に対応できるような「複雑系」としてのシステムが求められます。

単純性とは逆の考え方として、以下のポイントが挙げられます:

  1. 複雑性を許容する構造

    1. 単純な目的に向かうシステムではなく、複雑な目的や状況に応じて適応する、自己調整機能を持つシステムが必要とされます。フィードバックや自己修正を通して、多様な問題や状況に対応できる仕組みが求められるでしょう。

  2. 人間中心のシステム設計

    1. 機械的な目的にとどまらず、人間の多様なニーズや個別の苦しみに対して細やかに対応できるように、人間の経験や感情をシステムが取り込む方向性が考えられます。たとえば、AIやIoTであれば、個々の状況に応じた対応ができる柔軟性を備える必要があります。

  3. 複雑性そのものを意図的に組み込む

    1. 「複雑性」や「多様性」を単なるエラーやノイズとして排除するのではなく、システムが有機的に変化できるような状態を目指す設計です。現代では、自然環境や社会の変化に合わせて共存・調和する方向にシステムを設計するアプローチが期待されています。

このように、単純さではなく複雑性を尊重し、適応性を持つシステム設計を目指すことで、今後の社会問題の複雑さに対応できる可能性が開けてきます。

また、複雑性や多様性を取り込んでシステムや社会の問題を解決しようとした哲学的試みはいくつかあります。
特に、以下の哲学的アプローチが関連性を持っています。

1. ホワイトヘッドの「プロセス哲学」

  • アルフレッド・ノース・ホワイトヘッドは、世界や存在を静的なものではなく、変化し続ける「プロセス」として捉えました。彼の哲学では、すべての存在は「生成変化の流れ」によって成り立ち、個々の要素が相互に影響し合いながら発展していくと考えられます。

  • これにより、複雑な相互関係や個別の経験を重視し、統一されたシステムの中でも多様性が受け入れられるような考え方を提供しています。

2. ニクラス・ルーマンの「システム理論」

  • 社会学者ニクラス・ルーマンは、社会を多様な「システム」の集合体とし、それぞれのシステムが独自の論理や意味を持っていると考えました。彼は、社会の複雑性や相互依存関係を捨象せず、むしろそれをどう調整するかを研究対象としました。このシステム理論は、現実の複雑性を無視することなく、社会システムが柔軟に適応し続ける方法を模索しています。

3. デリダの「脱構築」

  • ジャック・デリダの脱構築のアプローチも、単純な二項対立を超えて、多様な視点や解釈を認める思想です。デリダは、言語や思想の中に潜む対立や矛盾を引き出すことで、複雑な意味や構造を再発見しようとしました。これはシステム設計においても、多様なニーズや視点に対応し、単純化に陥らない設計哲学としてのヒントを与えます。

4. エドガー・モランの「複雑性の哲学」

  • フランスの哲学者エドガー・モランは、世界の複雑性を認識し、その複雑性を反映した知識体系を築くことの必要性を説きました。彼は、分野横断的な視点や知識の総合を重視し、シンプルにするのではなく、多様な関係を考慮する哲学を追求しています。これにより、システムが現実の複雑性を忠実に再現しながら機能するための理論的な枠組みを提供しています。

5. ガイア理論(ジェームズ・ラブロック)

  • 環境科学者ジェームズ・ラブロックが提唱したガイア理論も、自然界の複雑な相互作用を理解し、調和を図る試みのひとつです。この理論では、地球は生態系や気候を含めた一種の「自己調整システム」であるとされます。この考え方は、環境や社会システムが複雑性と共に安定を保つための枠組みとして、システム理論にも影響を与えています。

6. 複雑系(コンプレックス・システム)理論

  • 数理哲学や科学の分野で発展した複雑系理論も重要です。これは、多数の要素が互いに影響し合い、予測不可能な全体構造が生まれる仕組みを理解しようとする理論であり、非線形性やダイナミクスを考慮するシステム設計に通じています。この理論は特定の哲学者というよりも、物理学者や数学者が理論的に発展させてきましたが、複雑さと適応性のバランスを探る上で貴重な哲学的示唆を含んでいます。

これらの哲学的アプローチは、単純化を超えた複雑なシステムへの対応を模索しており、社会問題や環境問題といった複雑に絡み合った課題に応答するシステム設計においても参考になります。

(システムは個別の苦しみに応えられるか?② に続く)


いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集