リリー

2024年7月に第一詩集『風のいろ』著者名あだちリリー(サンライズ出版)を上梓しました…

リリー

2024年7月に第一詩集『風のいろ』著者名あだちリリー(サンライズ出版)を上梓しました。 http://www.sunrise-pub.co.jp/isbn978-4-88325-823-9/ noteでの活動をまた再開する 事にしました。どうかよろしくお願いします。🍀

記事一覧

 灼夏のいろ

 風の彼方に樹が燃え上り  陽の様に  あなたが在った  火輪が輝き果てて  白っぽく沈み込んで行く大地に  耳をあててみた  かつて そこから希望をきき  私を投げ…

リリー
2か月前
3

【詩】シーちゃん

小顔で整ったお顔立ち 吸い込まれてしまいそうなブルーの瞳 それは友人宅を訪問した日、初対面だった彼女 リビングテーブルの空いた椅子で ポーズをとり貴婦人の如く 私…

リリー
11か月前
15

【詩】信号機

 男と女は  なるようにしかならない  そんな事 知ったのは社会人になってから  季節など覚えちゃいない曖昧な記憶  空に陽の傾きかけた  あの日  百貨店の正面出…

リリー
11か月前
13

【詩】ハイヒール

薄い霧の 晴れない朝 軽い ハイヒールを器用にさばいて 舗道をいく 女が美しい 昨夜 花開いたに違いない女の性が そのすんなりした 脚を わずかに恥じらわせ プラタナ…

リリー
11か月前
7

【詩】静穏に墜つ

はにかみ笑い 我が胸に 顔埋むあなたの髪を撫で 夜半にフトンかけ直す 充した炎やすらいで ふたり眠りに おちゆきて

リリー
11か月前
8

【詩】きらきらひかる

 「あなた、先に好きなの取って。」 フルーツのデコレーションに目移りしちゃうカットケーキ 私 星を数え  月を見、こころ横切っていった男の顔を思い出しても見 苦…

リリー
11か月前
8

【詩】恋を捨てる

   吹雪が  私の貴方を 吹き払う  急に生き生きとした私 を  吹雪が歓喜の叫びをあげて  とり囲む  長く 空気を吸う事も忘れていた  吹雪の中に 馳けめぐる…

リリー
11か月前
13

【詩】バスルーム

 ほのぼのと  開きそめし季節のすぎて  髪洗えば抜け落ちる束 悲しきを  湯舟浸かり両の手に 抱く乳房  秋の晩

リリー
11か月前
11

【詩】あなたに

 あなたの胸は広い  悲しさと 悩みにひしがれていても  あなたの顔をみると  何も言わない内にふと軽くなるのだ  わたしの心は小さい  豊かに 楽しい時でも  あ…

リリー
11か月前
11

【詩】父のつぶやき

 呑み交わし  寿司屋出てカラオケ誘う父が云う  どこかに居る 自分が何処へ行くのかも  分からぬ夢をよく見るのだ と  つと腕組みて黙って歩く 夏の夕どき

リリー
11か月前
6

【詩】三つ星の下で

 クラスメートのMさんは  その日も  大学生の彼氏の自慢話ばかり  そんな彼女と近頃  廊下でたまにツーショットだったS君  二人が 中庭で待ち合わせ  下校する姿…

リリー
1年前
8

【詩】 散歩

あちら向き  こちら向き 淡いピンクのささめきは あなたと私の様 うす曇りな心に 寄せて消えゆく 秋桜のうた

リリー
1年前
5

【詩】 よりみち

  ちょっと のみすぎて繁華街 たち寄ってみる異空間 耳もと はりつく音の震動 あなた座ったゲーム台 横で すぎる時、見送るたのしさ

リリー
1年前
6

【詩】 今日

  足許が 冷たい   濡れた路面に浸む夜の訪れ    こんな日も    あるのか   早く帰って お風呂にでも入ろう

リリー
1年前
3

【詩】 小悪魔

 又 戻って来た  物憂い瞳で 上手く口説き  心をさらいに来る悪魔  親しげに抱きしめてくる腕  あたしがいつも  浮き草の様に揺れ動いているのを  充分に知って…

リリー
1年前
5

【詩】雪だるま

雪 降り積む公園 雪を かぞえてみた 一ひら一ひら 目まぐるしく数えた 疲れ果てて目をとじると 全て 無にかえる 一足 歩み 立ち止まる 今の 足跡は もう雪に埋もれ…

リリー
1年前
7
 灼夏のいろ

 灼夏のいろ

 風の彼方に樹が燃え上り
 陽の様に
 あなたが在った

 火輪が輝き果てて
 白っぽく沈み込んで行く大地に
 耳をあててみた
 かつて そこから希望をきき
 私を投げ出した
 アルペジオ

 だが いつからか
 そこに歓びの歌を求めようとはしなくなった
 開き切ったバラの花片が散った様に
 かつて人を愛した思い出を
 埋め去ってしまって

 大地には木枯らしの音がする

 そして
 みずうみを

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【詩】シーちゃん

【詩】シーちゃん

小顔で整ったお顔立ち
吸い込まれてしまいそうなブルーの瞳
それは友人宅を訪問した日、初対面だった彼女

リビングテーブルの空いた椅子で
ポーズをとり貴婦人の如く 私たちの会話を聞く
彼女の名前は「しらす」

ある親切な人がいてね
へその緒をつけたまま風邪引いてた赤ちゃん猫
拾ったのよ
献身的な看病で元気になると
その人が 私に連絡くれたの

熱っぽい口調で友人は 里親になったいきさつを
語ってくれ

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【詩】信号機

【詩】信号機

 男と女は
 なるようにしかならない
 そんな事 知ったのは社会人になってから

 季節など覚えちゃいない曖昧な記憶
 空に陽の傾きかけた
 あの日
 百貨店の正面出口前の交差点で
 貴方は青を 見送った

 わずかに見せた戸惑いの素振りを
 振り払って 屈む貴方の
 両腕が私を包みこみ

  どうして
  力こめてギュッとしてはいけないの
  どうして
  抱きしめ返すこともできないの
  滲む

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【詩】ハイヒール

【詩】ハイヒール

薄い霧の
晴れない朝
軽い ハイヒールを器用にさばいて
舗道をいく 女が美しい

昨夜 花開いたに違いない女の性が
そのすんなりした 脚を
わずかに恥じらわせ
プラタナスの落葉
踏みつけることをさける

ひそかに今朝
青きレースに包まれ
締めつけた乳房
何とか外に溢れ出たいと希う情欲の名残りは
きらきらと 瞳から大空へ舞い上り

薄い霧が
やがて 晴れぬ間に
女よ、
美しさを 誇れ

【詩】静穏に墜つ

【詩】静穏に墜つ

はにかみ笑い 我が胸に

顔埋むあなたの髪を撫で

夜半にフトンかけ直す

充した炎やすらいで

ふたり眠りに おちゆきて

【詩】きらきらひかる

【詩】きらきらひかる

 「あなた、先に好きなの取って。」

フルーツのデコレーションに目移りしちゃうカットケーキ

私 星を数え 

月を見、こころ横切っていった男の顔を思い出しても見

苦いコーヒーそっと 傾けたくなるわ

【詩】恋を捨てる

 
 吹雪が
 私の貴方を 吹き払う

 急に生き生きとした私 を
 吹雪が歓喜の叫びをあげて
 とり囲む

 長く 空気を吸う事も忘れていた
 吹雪の中に 馳けめぐる事を忘れていた
 ただ
 細く 狭い心の中に
 貴方の姿だけを想いつめて

 私の中の “かしこさ”は何処へ行ったのか
 と
 捜し求めた事もなかった

 貴方の姿を彫み出し
 幻の様な笑いだけが額にあった

  吹雪の中で 
  

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【詩】バスルーム

【詩】バスルーム

 ほのぼのと

 開きそめし季節のすぎて

 髪洗えば抜け落ちる束 悲しきを

 湯舟浸かり両の手に 抱く乳房

 秋の晩

【詩】あなたに

【詩】あなたに

 あなたの胸は広い
 悲しさと 悩みにひしがれていても
 あなたの顔をみると
 何も言わない内にふと軽くなるのだ

 わたしの心は小さい
 豊かに 楽しい時でも
 あなたの顔にいらだちや怒りをみると
 何も言わないのに 涙が出るのだ

 ぬるい風呂にひたって
 岩に模した小石の塊から
 ほとばしる湯けむりをみていると

  このごろ
  思わず叫びたい様な無音の悲しさが
  ゆるゆると
  ほぐれ

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【詩】父のつぶやき

【詩】父のつぶやき

 呑み交わし

 寿司屋出てカラオケ誘う父が云う

 どこかに居る 自分が何処へ行くのかも

 分からぬ夢をよく見るのだ と

 つと腕組みて黙って歩く 夏の夕どき

【詩】三つ星の下で

【詩】三つ星の下で

 クラスメートのMさんは
 その日も
 大学生の彼氏の自慢話ばかり

 そんな彼女と近頃
 廊下でたまにツーショットだったS君
 二人が 中庭で待ち合わせ
 下校する姿を見てしまう

 なぜだか よく分からないまま胸に
 憤り 立ちのぼり
 塾からの帰り道 細い脚はもつれる様で
 寒夜ひとり 軽いめまいを感じた

 風が頬に触れてくる

 きらびやかでない わたしは
 何という星座に属しているかも

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【詩】 散歩

【詩】 散歩

あちら向き 

こちら向き

淡いピンクのささめきは あなたと私の様

うす曇りな心に 寄せて消えゆく

秋桜のうた

【詩】 よりみち

【詩】 よりみち

 
ちょっと のみすぎて繁華街

たち寄ってみる異空間

耳もと はりつく音の震動

あなた座ったゲーム台

横で すぎる時、見送るたのしさ

【詩】 今日

【詩】 今日

  足許が 冷たい

  濡れた路面に浸む夜の訪れ

   こんな日も

   あるのか

  早く帰って お風呂にでも入ろう

【詩】 小悪魔

【詩】 小悪魔

 又 戻って来た
 物憂い瞳で 上手く口説き
 心をさらいに来る悪魔

 親しげに抱きしめてくる腕
 あたしがいつも
 浮き草の様に揺れ動いているのを
 充分に知っている男

  取りすまして
  あくどい唇も持たないし
  お酒が好きで
  少しばかりニヒリストぶって
  やさしげなほほえみを持ち
  くちづけがじょうず
  そんな
  あなたに 惹かれては
  あたしのはめつ

  不安と
 

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【詩】雪だるま

【詩】雪だるま

雪 降り積む公園

雪を かぞえてみた
一ひら一ひら
目まぐるしく数えた
疲れ果てて目をとじると
全て 無にかえる

一足 歩み
立ち止まる
今の 足跡は
もう雪に埋もれているだろうと
胸を熱くして

冬の空の愛の證し
冬の空の生命の溢れ
気紛れに 舞い上り舞い落ち
くちづけもさせず
その清らかな媚態に
地が とまどっている

冬の空の愛の證しが
私の存在を忘れさせる程に響き
やがて 一個の
ひと

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