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【詩】 小悪魔


 又 戻って来た
 物憂い瞳で 上手く口説き
 心をさらいに来る悪魔

 親しげに抱きしめてくる腕
 あたしがいつも
 浮き草の様に揺れ動いているのを
 充分に知っている男

  取りすまして
  あくどい唇も持たないし
  お酒が好きで
  少しばかりニヒリストぶって
  やさしげなほほえみを持ち
  くちづけがじょうず
  そんな
  あなたに 惹かれては
  あたしのはめつ

  不安と
  恐れと
  例えようのない 夜のかべに
  ほんろうされる
  それなのに

 朝、鏡に映した顔は満ち足りて
 光っていた
 あなたが あたしに与えたものはそんなに
 大きかったのか

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