灼夏のいろ
風の彼方に樹が燃え上り
陽の様に
あなたが在った
火輪が輝き果てて
白っぽく沈み込んで行く大地に
耳をあててみた
かつて そこから希望をきき
私を投げ出した
アルペジオ
だが いつからか
そこに歓びの歌を求めようとはしなくなった
開き切ったバラの花片が散った様に
かつて人を愛した思い出を
埋め去ってしまって
大地には木枯らしの音がする
そして
みずうみを
なまあたたかい風が渡れば
比叡は うつろう夏の匂いの溜まりに
溺れている
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