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傲慢と善良。

映画『傲慢と善良』を観てきた。

予告を見た時から、ずっと観たいと思っていた。

でも、今は映画代の1,800円を払うことすら躊躇する無職の自分がいて、
どうしよっかなって何周か考えて、料金が少し安くなる日に観ることにした。

最近は公開されてからそんなに経たないうちに、アマプラとかネトフリで配信される作品も多いから、つい「映画館で観なくてもいいか」なんて思ってしまったりするんだけど、やっぱり違うんだよなあ。

それに専ら、最近は一人で映画館に行くことが当たり前になった。
昔だったら躊躇していたような気がするのに、今ではこれが一番気楽になってしまった。

隣に人がいると、「この人は今どう感じているんだろう」とか余計なことを考えてしまいそうで。ただ自分の感情に集中したい。

ふと、映画が始まる直前の”自分の体勢と表情”に注目してみた。

私はたいてい、腕を組んで眉間に少ししわを寄せているようだ。

決して”不快や不安”というわけではなく、物語を真剣に観ようとすると、どうやらこの体制と表情になってしまうらしい。


_____傲慢と善良。

この相反する言葉が、この映画でどのように関係してくるのかを楽しみにしていた。

なんとなく、自分にも当てはまる部分があるような気がしてこの映画を観た。

実際、見ている途中で、なんとなく苦しくなる場面がいくつもあった。

具体的にどことは言えないけど、おそらく特定の登場人物に対しての共感ではなくて、
複数の登場人物が持つあらゆる一面を、ところどころ自分も持っているように感じたのだ。

人間の悪い部分と弱さ。
それがひしひしと胸に刺さる感じがした。

そうか、

善良でなくても、傲慢なだけで生きられたら世の中は複雑化しないのか。
傲慢の中に善良が加わるから厄介なんだ。

なんだか、腑に落ちた。

みんな、ただ幸せになりたいだけなのに、
今の世の中、見えなくていい情報がいろんなところに落っこちているもんね。

私は婚活というものを経験しなかった人間だけど、人並みに恋愛を重ねてここまで生きてきたつもりだ。

たぶん、恋愛をするにはこの人がいいけど、結婚するならどうだとかなんだとか。

意識していないつもりでも、頭の中の自分は考えていたんだろうか。
そして、その思考回路にはきっと終わりがない。

今回の作品で突然失踪することとなる"坂庭真実"には、理解しきれない行動も多かったけど、
急にすべてが嫌になって誰も自分を知らない土地に向かうみたいな、その衝動というか感覚は分からないでもなかった。

今の私も、ぶっちゃけて言えばそんな感じかもなーなんて。

それと、今回の作品にも登場した”飲み屋のママ”という存在って、映画やドラマではよく出てくるけど、現実の世界でもあんな感じなんだろうか。
なんというか、人生を達観していて素敵な感じ。

全員がそうでなくても、本当にそんな人々が存在するならば、なんだか心が救われるようだ。


映画を観終わって、記念にグッズを買うことにした。

お金ないくせに、こういうところでは「記念だから~」と買ってしまうのが私の悪いところあり、少しだけ良いところでもある。

キラキラ綺麗なポーチと、チャームを買った。

ポーチは、青空の下でそれをかざしている自分を想像できたから買った。

雲一つない青空の下にいつか連れて行くんだ

そしてチャーム。

これが、想像以上にめっちゃ指輪。(語彙力)

ね?

それで私は、きっと誰にも理解されないだろうけど、こんな風に思ってこのチャームを買った。

「あぁ、これが今、私が自分自身に買ってあげられる唯一の指輪だ。」

というのも本当は私、

自分で自分に好きな指輪を買ってあげられる大人になりたかった。いや、なりたいの。

指輪って誰かにプレゼントしてもらうみたいな脳で生きているようだけど、
本当は自分で好きに買えるようになりたい。

試しに薬指につけてみたら、ほんとに婚約指輪みたいで、ちょっとだけはしゃいだ(笑)

意味合いは違うけど、本物の婚約指輪をはめたときくらいのトキメキがあったかもしれない。

誰かにすがって頼って生きていくのは、本当はもうやめにしたいんだ。

10代~20代前半の頃にコンプレックスを挙げるとしたら、たぶんしょーもない容姿に関することだったと思うけど、社会人になってからのコンプレックスは、”お金を稼ぐ能力がないこと”だ。

ずっと一人で居たいわけじゃないけど、一人でも生きていけるようになりたい。
そうしたら、他人への期待もいらないじゃない?

なーんて、儚いような冷淡なようなことを思いながら、私は今日も綴っている。

映画を観ると、ただ日常を過ごしているだけでは生まれない感情や気づきがあるから面白い。

それにしても、感想を言い合いてぇ〜

さぁ、明日の私もきっと、傲慢で善良だ。

(おしまい)


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