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文学少女になり損ねたもので

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本にまつわるあれこれ。
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#純文学

初・三島由紀夫!

中世に於ける一殺人常習者の遺せる哲学的日記の抜萃
長い。タイトルが。
自薦短編集内に収録されているので本文は長くないです。

ひょっとすると草枕より好き。
能若衆花若のくだり狂おしいほど好き。においたつあの優雅な時間の響き。
霊感に満ちている。大きなものに抱かれている。旧字体の熟語はレースのように編まれてその機微をふるえてなお内包している。
私達がこれらを手放したのはいつ?
私達はこれらの言葉と一

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読了:草枕

タイトルを考える体力がないです。でも書く。

草枕/夏目漱石

読みましたー!

わたしはとても楽しく読めたよ。

え、もう、感動。これが文学。

最初はだるいな…と思ってたのだが途中で「(これは)経では?」とふとひらめき頭を空っぽにして読んだらこの世界のなんとおっとりとして美しいこと。もうずぶずぶ。

実は草枕を読んだのは初めてではなくて、一部分だけ国語の教科書で読んだことがあるんですね。
温泉

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わたしたちが文学

 椎名いゆです。

「誰が何言おうと関係ないわよ。わたしたちが『文学』なのよ!」

顰蹙文学カフェ/高橋源一郎・山田詠美

 文学とかわからないけど超ロック!時代に迎合しないというまさに時代遅れなスタイルを貫き通すところ、すっごいワクワクした。ゴーン氏が楽器ケースに入って出国したってニュース聞いたときと同じぐらい。
 
 こちらは高橋源一郎さんと山田詠美さんの対談です。6章に分かれていて、はじめの

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京に着ける夕

こんにちは。椎名いゆです。恐れ多くも。

 『京に着ける夕』夏目漱石

 面白い文章が読みたい、発作的とも言っていい気持ちに突き動かされ本屋に入りました。面白いとはなんなのか、自分にも分かっていなかったのに。
 開いて読んで、何、この気持ちよさは!?とショックですらあった。しと、と行儀よく並んでいる小さな活字と、ルビと、心地よく流れる文章と句読点。
 音読したい文章です。言葉の繰り返しが、こんなに

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純文学とは二度出会う

 私は純文学が好き、らしい。
 でも、この本が好きです、とは言えても、絶対おすすめだから読んで、後悔させない、とか、そういうことがあんまり言えない。
 何を隠そう、わたしが文学に惚れ込んだきっかけは宇佐美りんさんの『かか』(第56回文藝賞受賞)でした。
 でも不特定多数に薦めるにはこの本、主人公の語りも痛みもある意味ショッキングというか、自分の中に入れるには異物感が強すぎるのではないかと思うわけで

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