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『今日も世界で誰かが虚しくなっている』

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今日も世界の何処かで、誰かが虚しくなっているコントな文学🐙
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『今日も世界で誰かが虚しくなっている。夢は映画監督編』

『今日も世界で誰かが虚しくなっている。夢は映画監督編』

『今日も世界で誰かが虚しくなっている。夢は映画監督編』

女子バスケットボール日本代表にも選ばれた選手が引退後、セクシー女優に転身した。

都内にある体育館を貸し切り、彼女のデビュー作の撮影が始まった。

全裸でドリブル。

全裸でレイアップシュート。

全裸でスリーポイントシュート。

そして、全裸で全裸の男優にノールックパス・・・

映画監督を志し、熊本から上京して15年。

だけど現実は・・

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『今日も世界で誰かが虚しくなっている。透明人間編』

『今日も世界で誰かが虚しくなっている。透明人間編』

『今日も世界で誰かが虚しくなっている。透明人間編』

「すいません、少しお時間大丈夫ですか?」

同じ高校に通う友達の女子と2人で原宿に遊びに来たら、スーツ姿の男の人から声を掛けられた。

「芸能界に興味ありませんか?」

スーツ姿の男は名刺を私の友達に差し出した。

スーツ姿の男は芸能事務所の人間だった。

私の友達が原宿でスカウトされたのだ。

熱心にスカウトする芸能事務所の男と、まんざらでも

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『今日も世界で誰かが虚しくなっている。真夏の大冒険編』

『今日も世界で誰かが虚しくなっている。真夏の大冒険編』

『今日も世界で誰かが虚しくなっている。真夏の大冒険編』

中学生になると部活や塾で忙しくなるから、お母さんの田舎の仙台には今までみたいに毎年遊びに行けなくなるかもしれない。

だから今年はお盆休み前に、私1人で先に帰省して仙台でゆっくり過ごす事にした。

最寄り駅から在来線に乗って東京駅へ。
そして自分で選んでお土産を買って、東北新幹線で仙台に向かった。

小学6年生の私が1人で新幹線に乗るのも、

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『今日も世界で誰かが虚しくなっている。思い出のLOVE SONG編』

『今日も世界で誰かが虚しくなっている。思い出のLOVE SONG編』

『今日も世界で誰かが虚しくなっている。思い出のLOVE SONG編』

あれからもう20年になる。

私が高校生の時に流行ったLOVE SONG♪

片思いしてる女の子の勇気を振り絞った告白が成功して、人生で初めて付き合う彼氏との恋愛を描いた物語になっている歌詞。

「この曲って私の事じゃん。絶対私の事歌ってんじゃん。何で私の事知ってんの?」

今思えばカワイイ勘違いもしながら女子高生の私はこのL

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『今日も世界で誰かが虚しくなっている。雑学編』

『今日も世界で誰かが虚しくなっている。雑学編』

『今日も世界で誰かが虚しくなっている。雑学編』

「文彦君、知ってるかい?
ハチミツってね、永久保存食って言われてるんだ。
古代エジプトでは、紀元前3000年ごろにツタンカーメン王の墓から発掘されたハチミツが食べられる状態で見つかったらしいんだよ。
それに抗菌力に優れているから、切り傷や擦り傷、軽い火傷の応急処置にも使えるんだ」

僕が去年お義父さんに教えてあげた雑学を、お義父さんがイキッて得意げ

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『今日も世界で誰かが虚しくなっている。6月の花嫁編』

『今日も世界で誰かが虚しくなっている。6月の花嫁編』

『今日も世界で誰かが虚しくなっている。6月の花嫁編』

同じ日に、

同じ病院で産まれて、

実家も隣同士、

そんな運命的な幼馴染の女の子と、

お互いに初恋が実って、

恋人になって、

大人になって、

僕のフィアンセになって、

6月の花嫁になる君が、

そして、お腹の子のママになるあなたが、

SNSに有名人の誹謗中傷を書きまくって、
  
訴えられた。

『今日も世界で誰かが虚しくなっ

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『今日も世界で誰かが虚しくなっている。前世占い編』

『今日も世界で誰かが虚しくなっている。前世占い編』

『今日も世界で誰かが虚しくなっている。前世占い編』

「おい、さっきの聞いたか?

うつけの信長が一人称を『ワシ』から『余』に変えてたぞ。

『余』って完全に天下人を意識して変えてきてるよね。 

10年早えーよバカ野郎が。

急に「おい、光秀。余は…」って話し始めたから笑いこらえんの必死だったわ。

武田を滅ぼしていよいよ天下統一が現実的になって最近調子乗ってんだよなぁ、アイツ…

マジで長篠の

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『今日も世界で誰かが虚しくなっている。新しい歌のお兄さん編』

『今日も世界で誰かが虚しくなっている。新しい歌のお兄さん編』

『今日も世界で誰かが虚しくなっている。新しい歌のお兄さん編』

かつて、私が心の底から愛した男。

そして、心の底から憎んだ男。

幼児向け番組に出演している新しい歌のお兄さんは私を弄んで踏み躙った男だった。

5才の娘の優花がテレビに映る新しい歌のお兄さんの動きに合わせて踊っている。

私が初めてを捧げた男。

いや、私の初めてを奪った男とは知らずに…

私は付き合っていると思っていた。

疑い

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『今日も世界で誰かが虚しくなっている。卒業式編』

『今日も世界で誰かが虚しくなっている。卒業式編』

『今日も世界で誰かが虚しくなっている。卒業式編』

私が6年間通った小学校の卒業式が行われている。

「卒業証書授与」

五十音順に卒業生が校長先生から卒業証書を授与されていく。

そして私の順番が来た。

私は卒業証書を受け取る際に気になってしまった。

アレ?
校長先生ってこんなに顔のアブラのテカリ凄かったっけ?

顔面が餃子の王将の床じゃん。

校長先生には悪いけど、ちょっと気持ち悪いな。

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『今日も世界で誰かが虚しくなっている。一人娘編』

『今日も世界で誰かが虚しくなっている。一人娘編』

『今日も世界で誰かが虚しくなっている。一人娘編』

一人娘の彩が幼稚園の年長さんになる年に妻の亜希子が他界した。

それから20年。

まるで死んだ亜希子の生き写しのように彩は美しい女性に成長した。

そして男手一つで大切に育てた彩は昨年、義理の息子になった裕一君と結婚した。

今日は彩と裕一君が結婚して初めて迎えた亜希子の命日だ。

例年よりも早く満開になった庭の桜は、亜希子が彩と裕一君を祝福す

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