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壱宍 (若槻きいろ)
2019年11月12日 22:00
知ってる街の、知らない姿。鉄筋の骨組、馴染まぬ顔触れ。電柱の乱立、高架線のお膝元。足跡じみた灯火を追って、 ボクは風になったんだ。『線路の向こうは何もないよ』けらけら笑う、キミはいない。見上げて望めよ、宵夜の交信。忘れじの約束、棄ててやるから。
2019年10月22日 23:22
こころが迷子で砂になる。砂上で幾度探そうとも、混じり合えば遥か彼方だ。 とおくに行った 星になった。こころもとおく、とおくに逝く。かつてないた記憶さえ、果てではただの、塵芥。ガラクタならせめて、どんなにマシか。 死にゆく泡沫抱きしめて、冷たい躯を動かして、想いの丈だけ、生き延びるように。せめてあなたは、と願い託した。閉じる意識で底から腕を、欠片手にして祈って振った。
2019年7月21日 21:04
いつだったか、泣いていたんだって。それを僕は忘れちゃったんだ。 たぶん、どうでもよかったんだって。あとから思うのは、カンタンだよな。 あたたかく触れる熱に、寂しさを覚えたのはいつだったか。ここにいるよって声を、焦がれていたんだって。安心を得たいだけだなんて、勝手過ぎて笑っちゃうよな。 引いては戻る波打際を、揺り籠のようにそっと辿るようにさ。歩けたらよかったんだ
2019年6月28日 22:50
すべて火にくべてしまいたい。 とおくのいつかで知ってしまうんだ。そして知らぬうちに消えているんだ。いま、話すきみのこえを、熱を、匂いを、知りたいとは、思わないんだ。すべて火にくべてしまいたい。灰になったきみを永遠に、この先ずぅっと抱えて生きること、それだけが時間を共にした名残にはなるだろう。けれど隣合わなかった証だろう。 出先で買った揃いの土産も、要らないめで
2019年6月6日 20:47
なにもかもをわすれたとき、ボクはあなたに還るのでしょう。生まれ育ちの場所だけがボクの場所ではありません。たとえあなたを忘れても。あなたがボクを忘れても。あなたの中から、ボクがこれっぽっちもなくなっても 。記録から抜け落ちた残像の懐かしさを、ボクはきっと、覚えてるから。落ちてはすり抜ける明日を幾たび、数えることに飽いた先で。あなたに逢いにゆくから。 #雑文 #詩 #
2019年5月28日 21:30
いつか、何もかもがうつくしいとそう思う日がやってくるここにいるのは、ほんとは僕じゃなくても良かった偶々産み落ちた大量生産の、隣り合わせが良かっただけ電車で一緒に揺られているあなた街角ですれ違うだけのあなたほんとは、あなたが僕だったかもしれないだけども結果、僕は僕になっただから今、こうしている空を見ている 友と語らっている仕方ないと笑っているふざけんなと怒っている
2019年5月25日 14:42
遠ざかる腕を、背を、掌を。追うことが出来なかった。軽やかに踊り舞う、楓の種子を君は見たことあったかい?ゆったりゆったりと風にのってゆくんだ。さらばだ! 皆の衆!あゝ。ここを出て行った、あの日を僕は思い出す。君は風になって、僕を置いて行って。そうだろう、と言って。馬鹿だなぁ、て笑って。そんな日々さえ。君と飛んで行ったんだ。 #ss #散文 #雑文 #詩
2019年5月9日 14:26
『ほんとは、消えちゃいたいんだ』君がそんなこと言うから、僕はいなくなんないでって言うしかなかった。これは自己中心なエゴの発露です。ただ一人になりたくないだけの、かあいそうな肉のカタマリ。たまたま自我を持ったばかりに、要らん欲まで膨れる始末。そこらに打ち捨てられてりゃよかったんだ!そうすりゃ、君は流星のように消えられただろうに。関係性は建前で、相槌は惰性で。中身のな