すべて火にくべてしまいたい。
とおくのいつかで知ってしまうんだ。
そして知らぬうちに消えているんだ。
いま、
話すきみのこえを、
熱を、
匂いを、
知りたいとは、思わないんだ。
すべて火にくべてしまいたい。
灰になったきみを永遠に、
この先ずぅっと抱えて生きること、
それだけが
時間を共にした名残にはなるだろう。
けれど隣合わなかった証だろう。
出先で買った揃いの土産も、
要らないめでたい報告の葉書も、
知りたくなかった、
きみじゃない最後の言葉も、
すべて火にくべてしまおう。
そして残ったその跡だけを、
ずっと夢に見続けるのだ。
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