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雑文

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人生とは、生きるとは何でしょう。
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#エッセイ

東京文学フリマ

東京文学フリマ

備忘録的な意味合いでこれを綴る。
前日にやるとかいいながら結局当日になるのは最早いつもの流れである。諦めと三つ子の魂百までの気持ちで行こうと思う。流石に仕事ではやらないので勘弁して。

幼少の頃より、手の内にあるものを別の形にすること、頭の中身をどうにか具現化することに熱心だった記憶がある。気になるものは兎に角やってみる。親の見様見真似で人形の服を作り、折り紙で需要のない鶴を折り、りんご食べたさに

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たましひのかたち

たましひのかたち

絵を描くこと、本を読むことが好きだった。
今も好きだ。絵を描くのは、少しずつ減ったけれど。最後に選んだのは、言葉を紡ぐことだった。

字を書いている。
取りこぼしたものを今更取り返すように。
雑に、丁寧に。
ぽろぽろ零れるこころを言葉に
脳裏を掠める屑星を繋ぎ、
か細く紡ぐ蚕の糸は
集めてかき寄せて文となった。
何かを表す、モノになった。

昔から、何かを作ることが好きだった。
子供を抜けて、大人

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春よ遠ざけ、荒野を進め

春よ遠ざけ、荒野を進め

○変わらないもの

春は死のにおいがする。

時は既に梅雨荒れ狂う初夏であるが、内を覗けば、そこはいつだって花が生茂る前の冬の終わりだ。
大気中に震える水滴は冷気に帯び、地中からは始まりの芽がにょきりと生える。厚手の衣から体温を否応なく毟り取る。隙間からひゅう、と紛れ込む。
微かな青臭さが鼻を抜けて脳へ、しかし触覚でわかるのはキリの無い冷たさだ。
いきものと、そうでないものがない混ぜになって、自身

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今生愉しさ今昔

今生愉しさ今昔

今の人生、現時点で大分満たされている感がある。

幼少よりフラフラしたい衝動は金を得たことにより、勢い勝って休暇を潰してひたすら出歩いている。
知らない街に、知っている駅に、使い古した場所の未知に、記憶の底の薄れた建物に、とことんふらついてはブラついている。一、二駅分なら余裕で歩き、なんなら山にも登り、ひたすら歩く行為をなしている。
仕事はまぁまぁ割愛であるが、プライベートにおいてはこと、やりたい

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死せるいつかの

死せるいつかの

何処かで知らない誰かが、死んでほしくなかった誰かが、意思のそれとは全く別にこの世から去ってしまうのを、ここ最近よく目にする。
それを見るたびに、あまり思い出さない方が良かったことを思い出す。

死んだときは、死ぬときは、きっとまっくらな穴に落っこちるのだと、そう幼い時分に考えたことがあった。

幼稚園時代には既に構築された死への道筋は、
どうしようもない程暗くて救いがなくて、死にたいのかと思われ

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スロウダウン

スロウダウン

新年度みなみな様おめでとう。新たな元号こんにちわ。平成よあと少しよろしく。
そんな時報が世に流れてる。
乳製品は値上がりするし物価はやっぱりちょくちょく上がる。
今の職場はようやっと三年目で、給料がようやっと少しまともになって安堵する。今年度は珍しくスロウな滑り出しで仕事が捗る。

そう、捗るのだ。
捗って、時間が有効活用されて更に仕事が片付いていく。定時で上がれるし認められない残業はしなくて済む

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死んで、サヨナラ2月

死んで、サヨナラ2月

もう2月が終わるという。
つい少し前、一昨日に目を向ければ1月だった気がするのに、気がつけばもうひと月が終わる。

今月は特に多忙の極みで残業に残業を重ね、
そのくせ会社は残業するなと言ってくる。
それなら現場の仕事量を減らしてくれよ。
せめて人を入れるか対価を払え。

成果ばかり求める社会にストライキをかましたい。
尊き犠牲になるのはごめんだし、
なんであの人が、だなんてイイ風に話されるのもごめ

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平成の夏と家出娘

平成の夏と家出娘

蘇州の川辺は、ナンプラーじみた匂いが酷い。日差しは此処一番強く、日除けの傘が僅かな影を作ってもほんの暫しの休息に瞼が微睡む。

平成が終わるらしい。
平成に生まれ、平成に生きている私には、時代の境目がぼんやりし過ぎて上手く事態を呑み込めない。
変わるということ。世界が終わるわけでもあるまいし。
然し乍ら、それは一つの区切りとして機能していて、誰かにとっては一大事なんだろう。
それはわからないでも

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春

春が咲いた。

20何度目かの春。
心がざわつく。突如の暑さで身体が違和感を感じてやまない。
ずっと付き合いの長い友人が引っ越した。ささやかなお別れがあった。
だけども地続きの明日には、何事もなく平然とする私がいる。
いつも通りのベールを被って、上っ面の笑顔と無関心を装う。
何度感じたかわからない、自分の内の小さな空白をぼんやり見つめる。
それを見るたんびに、やはり人間にはなれないと

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子供時代

子供時代

幼稚園の卒園間近に、小学生になりたくないと思っていた。そのことを周りに最近話すと、早くない?と言われる。
今振り返ればそう思う。しかし当時の私は、曖昧不透明なクリーチャーが小学生になって何かしらの形になるのがなんとなく嫌だった。
ついでに言えば、朝決まった時間に登校し、席に着き同い年の子たちと集団で面と向かって何かに取り組むことが窮屈でしかたなかった。
たぶん、こっちが本音。
そんなだから

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誠実になりたい人生だった

誠実になりたい人生だった

誠実になりたい人生だった。

こう書くと、書き手は偏屈な屁理屈屋でかつ皮肉屋なのだろうと予想される。

大方その通りである。

なんせ母と姉を反面教師として持ち、幼き頃より素直になれ、という圧力に反した人生を送ってきた。

素直ってなんだ。心に嘘ひとつつかず、真正直と言える愚直さで生きているのに、何故非難さればならない。
言葉は鎧だ、壁だ。自分を守るためのものだ。時には武器にもなりえる。だが、

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