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体重測定できるバスマット【スマートバスマット】ができるまで 後編/ソフトウェア開発編

スマートバスマット開発者の程(テイ)です。
前編では、体重計とバスマットが一体化した経緯を、ハードウェア編として公開しました。

今回は、ソフトウェア編です。

世界で一番手間がかからない体重管理


前編でお話ししたように、現在の多くの体重計は、スマートフォンと連動する機能がついたものが主流です。
よくある機能は、スマホ内アプリでグラフを表示すること。これは標準的な機能として実装しました。グラフがあれば、過去の自分と比較したり、変化を可視化することでダイエットのモチベーション維持に役立ちます。

アプリは体重変化に重点をおいた設計に

ただ、それだけでは、全ての人が過去の数字を振り返る訳ではありません。数字を振り返ることについても、ストレスを感じない方法があるのではないかと、追求して考えました。

どれくらいの頻度で振り返るのが良いのか?毎日見る必要があるのか?

1日単位では、意外と水分量や食事量で体重は大きく変化しています。
前編でもお話ししたように、毎日測ることは重要だと考えていますが、1日単位で一喜一憂してしまうのは、本来の目的ではありません。

多くの食事管理のメソッドでも、1週間単位で摂取量を調整する考え方が主流であるように、体重も1週間単位で平均値や変化の傾向を知ることが重要だと考えています。

そこで実装したのが、今週の平均値が先週の平均値と比べてどう変わったかを、週末にお知らせする機能です。スマホのホーム画面に、プッシュ通知で増減の数字が表示されれば、それで十分ではないかと思います。

毎日アプリを開く必要はなく、無意識に測定し、週末だけお知らせする。
世界で一番手間なく、自分の体重を管理できる仕組みではないかと思います。

プッシュ通知の例

家族の健康を守る、体重管理モード


次に、「家族の健康を守りたい」という私の最初の願いを、どう実現できるか考えました。

家族には様々な年代の人がいます。
子どもから大人〜老人と、人生のそれぞれの段階で、体重管理についての目的は変化します。

赤ちゃんや子どもが成長と共に体重が増加するのは、喜ばしいことです。
若者と呼ばれる年代の方は、維持することが多くの目的になると思います。
一方、30代後半くらいからは、年々体重が増え、健康診断の結果が気になり始める方が増えてきます。大人になってからも体重が増え続けると、健康状態におけるリスクが高まります。
逆に、年老いてから急激に体重が減ることは、フレイルといい、要介護になる一歩手前のサインと言われています。
他にも、体重の急激な変化は病気のサインと言われています。

言うまでもなく、人生のどの段階でも健康的な体重を保つことが重要です。
1つのスマートバスマットで、家族全員の体重管理の目的に対応できるようにしたいと思いました。

それぞれの目的に対応するため、「体重管理モード」として実装しました。
現在実装している体重管理モードは、以下の通りです。

  • 「健康維持モード」‥BMIの変化(肥満度レベルの変化)をお知らせします。

  • 「ダイエットモード」‥目標の体重を設定し、減量のペースをお知らせします。

  • 「チャイルドモード」‥子どもの成長曲線を可視化します。成長記録を思い出に。

  • 「マタニティモード」‥妊娠中の母体と胎児に重要な体重増加量を簡単に把握できます。

  • 「ベビーモード」‥大人に抱っこされた状態で、赤ちゃんも安心しながら測定できます。

  • 「ペットモード」‥抱っこ測定、おすわり測定、ペットからのお礼の言葉が届く「ありがとう通知」も搭載。

  • 「持病ケアモード」‥生活習慣病のサインを見逃さないため、各ガイドラインに基づき、体重の急変化を本人や家族にお知らせします。(準備中)

マタニティモードは「産婦人科オンライン」「くすりぼ」、ベビーモードは「小児科オンライン」を、それぞれ無料でご利用いただくこともできます。

今後もニーズの変化に合わせて、モードの追加や変更をすることも可能です。

家族内の共有とプライバシー保護


私は両親の経験から、家族内で互いに健康状態を把握しておくことが重要だと考え、共有機能を実装したいと思っていました。

しかし、無条件に家族に体重を見られるのは、少し嫌ですよね。
特に女性は、家族間でも体重を共有したくないと考える方が多いです。

どうしたらプライバシーを保護した上で、共有できるか。

私の考えでは、体重の絶対値を共有したい訳ではなく、変化があるかないかが重要です。そこで、数字を非表示にして、グラフの曲線だけを共有すれば十分だと考えました。

共有機能には、下記の形を用意しています。

  • 全てのデータを共有

  • 体重は非表示で共有(グラフのみ)

  • 共有しない

1つのスマートバスマット本体に対して、8名までアカウント登録ができ、それぞれに好みの形で共有できるようにしました。

ここまでで、手間の掛からない体重管理、目的に合わせたモード、そして家族内の共有と、ソフトウェア面で最低限必要だと考えるものを完成させました。

インターフェースの工夫

私が最も得意な分野は、「インターフェース」です。

【インターフェース】
 ”異なる種類のものを結びつけるときの共用部分。界面。接触面。”

複数の異なるもの同士を接続するといった意味を持つ言葉で、ハードウェア間、ソフトウェア間、人間とコンピューターをつなぐ技術や方法などを表します。

まさに私が、popIn Aladdin、スマートバスマットを通して世の中に提供していることが、インターフェースの工夫による価値です。

インターフェースの工夫で、次は「へルスコーチング」というサービスを提供できないかと考えています。体重等の数値の変化を把握し、目的に合わせて適切な食事や運動の提案を行うサービスです。
このために、医師・管理栄養士など、専門知識と資格を持つ方々と連携し準備を進めています。このサービスにおいても、従来の押し付ける指導ではなく、「無理なく続けられる」ことを重視し、サービスの開発に取り組んでいます。

100年後のヘルスケアを目指して


我々が目指すのは、「日常生活に溶け込む」ヘルスケア。
第一弾商品としてリリースしたのが、スマートバスマットです。

100年後のヘルスケアの世界を想像してみてください。

歯磨きするだけで虫歯・歯周病の状態や風邪ウイルスを測定してくれる歯ブラシ。
顔を洗った時に、体温や血圧を測定してくれる鏡。
 ー 他にも、アイデアがいくつもでてきます。

100年後には、あらゆることを”わざわざ測定”しなくても、無意識に自分の状態を知り、重要な変化を知らせてくれるようになっていると思います。

既に、近い概念として「スマートホーム」というものがあります。
インターネットと接続したIoT製品やAIを活用して、電気製品のON/OFFを自動化したり、コントロールできる住宅です。利便性の点で、日々素晴らしい進化を遂げています。

一方で私は、先ほどのようなアイデアを詰め込んだ、住む人の健康を管理してくれて、健康寿命を伸ばしてくれる、「家族の健康を守るスマートホーム」を実現してみたいと考えています。

まるで「ベイマックス」が家にいるような、そんな世界です。

私たちが想像する100年後のヘルスケアの世界を、少しでも早く実現するために、引き続き努力していきます。



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