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こんな場所にはいれないから アスファルトを消すまで 遠くへ行く きみは精神障害者の 烙印を押…
冷えた三月のベランダに 壁に押し通すつらい夢と 小さな子どもの戯言と 船の歩く街を見た …
1 左隣には双子の男の子 右隣にはライオンの女の子 目立たずひっそりと その間にある篭城…
死にたい夜にスーパーはダメだ、と思う。 私はただ、明日の朝に食べる林檎を二つ買うだけのた…
今日は大丈夫だと思っていても、雨の降る午後六時は、何かを思い出させて仕方が無い。 昨日は…
東京の隙間に出来たあの街には JRと地下鉄がヘドロを撒き散らし走っていて 海底に沈んでいつ…
今わたし帰っている、あなたのいたお墓の前から、東京まで電車に揺られている。 色白の肌のしたに長崎の遠い香りと、膨らんだ腹の中に佐世保の青い海をたっぷりふくませて、唇はきれいな赤色で塗ってあげて、花に囲まれた。 ご臨終です、の声を聞いてしまった。横を向いたまま脈拍数は下がっていき、一度二度、口から息を吐き出していたのに、心臓は動くことをやめたまんま、棺の中に入って行った。 さっきまであったのに、今ここにいないこと。最期にメイクをしてあなたを囲んでいたのに、実はここにいない
二十五年のわたしの命を愛してくれてありがとう。あなたの六十六年をひと粒ひと粒、くれていた…
私には金がないから、病院に行けない。金がないから、友達にも会えない。この街で覚えた小銭稼…
ソファに座った母が湯気をたてている。堕落してくようなコーヒータイムが、リビングに充満する…
何故こんな金にもならないことを黙々とやっているのか、と金髪少女に尋ねられたので、青い手ぬ…
或いは此処は、地獄の七時間半に違いない。パソコンが人間の数より並んで、足音ばかりが立派に…
思い出してしまうあの女の顔はいつもしたり顔で笑っていた。料理も上手で母親からうまく逃げ出…
母の右足は凪いだ海の表面だ 今朝フェリーから眺めてきたばかり それか我が家に住まう老犬の白くにごった瞳だ 今朝抱きしめてきたばかり 車椅子から投げ出された母の足は つるつる滑る病院の床の上で 少女との思い出をなぞって 真っ直ぐ伸びていた 生い茂る陽光の中で 彼女は自分の肌が 六十歳に近づいていることを 私に教えた #詩