革命の前夜
1
左隣には双子の男の子 右隣にはライオンの女の子
目立たずひっそりと その間にある篭城
(ワンルームのユニットバスです)
蜂の様に集まり 奪うことに陶酔している、
彼
細い線を幾重にも重ねる布団の中
テレビはいつまでたっても音程を取れずに居る
夜は食われて 彼女の腹の中
廻る
革命の夜に見た娘は 確かに左手で星の群れをつかんでいた
終わらない洗濯機 何も入らない冷蔵庫
満たせない浴槽 永遠に食べないスパゲティ
それらが平気な顔をして並ぶ 甲羅の中
進歩もしない威力も無い
「それでも僕らは営んでいるのです」
などと真剣な顔をして言いやがって!
暴発を待ち望んでいる 星の群れたち
2
革命の夜に見た夢は、少女が星の群を掴むただそれだけの夢だった。長く透き通った髪の少女が空に投げ出され、星の群を小さな左手で一生懸命に掴んでいた。
暴発を待ち望んでいるのは君の方ではないか、と苦言を呈するのは君の母親だ。それでも僕等は営んでいるのです、なんて反抗してきたのは、君の小さな弟だ。
革命の夜は、洗濯機を廻すのがいいと言う。世界中のシャツを放りこんで、一枚ずつハンガーに通してやる。
長く透き通った髪の少女は、もしかしたら妹かもしれない。星の光が乱反射して強烈な夏の雨に変わる頃、生れたのかもしれない。
もうちょっと頑張れよ、とか しょうがねえ応援してやる、とか どれもこれも励みになります、がんばるぞー。