東京の街並みから


冷えた三月のベランダに

壁に押し通すつらい夢と

小さな子どもの戯言と

船の歩く街を見た


ここが一番楽しい家だと

子どもが誇らしげに

言うのだ


病んだのどに

地ならしの響きがのびて

星が少し落ちてくる


あの夜に幻想を見た

運命共同体の彼女の幻想

サテライトの慟哭を聞きながら

秋積もる丘の上で

歌をうたっていた彼女を


冷えた三月のベランダに

昔遊んだ電車のオモチャと

プラスチックのヒーローが横たわり

もう戻らない日々とサテライトを

細い声で呼んでいる


サテライトは遠く離れ

いつの間にか見えなくなる

地ならしの響きが煌々と

街を燃やすのを背景に

どうしてここからいなくなるのと

彼女が泣き喚く

(だからあの日見た夢を聞かせてやるしかない)

#詩

もうちょっと頑張れよ、とか しょうがねえ応援してやる、とか どれもこれも励みになります、がんばるぞー。