共犯



母の右足は凪いだ海の表面だ 

今朝フェリーから眺めてきたばかり

それか我が家に住まう老犬の白くにごった瞳だ

今朝抱きしめてきたばかり


車椅子から投げ出された母の足は

つるつる滑る病院の床の上で

少女との思い出をなぞって

真っ直ぐ伸びていた

生い茂る陽光の中で

彼女は自分の肌が

六十歳に近づいていることを

私に教えた  


#詩

もうちょっと頑張れよ、とか しょうがねえ応援してやる、とか どれもこれも励みになります、がんばるぞー。