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書籍レビュー

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#エッセイ

書籍レビュー『オーケストラの職人たち』岩城宏之(1998~2001)裏方の仕事を知ると、人生がもっと楽しくなる

書籍レビュー『オーケストラの職人たち』岩城宏之(1998~2001)裏方の仕事を知ると、人生がもっと楽しくなる

【約1900字/5分で読めます】

著者の岩城宏之は
「日本を代表する指揮者」と紹介されるのが苦手だったそうです(笑)

指揮者としてのデビュー(東京藝術大学在学中に NHK交響楽団の副指揮者となった)が'56年です。

その後、世界中を飛び回って、主要なオーケストラで指揮をしたとのことですから、実際には、やはり「日本を代表する指揮者」の一人であるのは間違いありません。

ただ、本人はクラシック音

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書籍レビュー『アメリカは今日もステロイドを打つ USAスポーツ狂騒曲』町山智浩(2009)アメリカで活躍するアスリートは2400人程度

書籍レビュー『アメリカは今日もステロイドを打つ USAスポーツ狂騒曲』町山智浩(2009)アメリカで活躍するアスリートは2400人程度


在米日本人の
コラムニストが書いた著者の町山智浩氏は、
映画評論家、コラムニストの
在米韓国系日本人です。
(父が在日韓国人1世だった)

そのキャリアは'80年代に
マンガやアニメを扱った出版物を
制作していた
スタジオ・ハードにはじまり、

宝島社の編集者を経て、
洋泉社への出向、
『映画秘宝』の創刊に至ります。

『映画秘宝』に町山氏が
連載していたコラムが、
『〈映画の見方〉がわかる本』

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書籍レビュー『鳥類学者 無謀にも恐竜を語る』川上和人(2013)鳥類学者が書いた恐竜エッセイ

書籍レビュー『鳥類学者 無謀にも恐竜を語る』川上和人(2013)鳥類学者が書いた恐竜エッセイ

鳥類学者が書いた恐竜エッセイ「恐竜は鳥の祖先である」

こんな話を聴いたことは
ないでしょうか。

本書の巻末にある解説を読むと、
「恐竜はワニの祖先である」
という説もあるそうです。

(巻末の解説は、
 恐竜学者・小林快次氏によるもの)

タイトルのとおり、
本書は鳥類学の視点から
恐竜が語られた本です。

タイトルには
「無謀にも」とありますね。

その名の通り、
著者は恐竜学の分野に
属す

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書籍レビュー『安全な妄想』長嶋有(2011)誰もが「しっかり」観ていないものを敢えて語る

書籍レビュー『安全な妄想』長嶋有(2011)誰もが「しっかり」観ていないものを敢えて語る


ブルボンと私20代の頃から著者のエッセイを
読んできました。

しかし、「長嶋有」名義の
それがあることを知らず、
私が読んできたのは、

「ブルボン小林」名義の方でした。

著者は「長嶋有」
「ブルボン小林」の二つの
ペンネームを使い分けており、

「長嶋有」としては、
芥川賞、大江健三郎賞、
谷崎潤一郎賞も受賞しています。

「ブルボン小林」名義では、
おもに、ゲームやマンガといった
サブカ

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書籍レビュー『新約聖書を知っていますか』阿刀田高(1993)聖書をわかりやすくおもしろく読み解いたエッセイ

書籍レビュー『新約聖書を知っていますか』阿刀田高(1993)聖書をわかりやすくおもしろく読み解いたエッセイ

宗教はすべてのはじまり世界でもっとも読まれ、
引用された書物は、
新約聖書です。

言わずと知れたキリスト教の
経典ですね。

そんなに有名なのに、
聖書を読んだことのある人は、
限られるのではないでしょうか。

私も以前、どこかで
いただいたものを
一冊持っていますが、
未だに読んだことはありません。

しかし、聖書のことは
前々から気になっていました。

なんせ、世界で一番
引用されてきた書物

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書籍レビュー『穴があったら入ります』高畑充希(2022)女優・高畑充希の魅力を凝縮

書籍レビュー『穴があったら入ります』高畑充希(2022)女優・高畑充希の魅力を凝縮

複数のクリエイターを起用舞台、テレビ、映画で
幅広い作品に出演する女優、
高畑充希の初フォトエッセイです。

北海道の釧路から根室への
旅の写真の他に、
古着屋などさまざまな場面の
写真が収められています。

撮影は、フォトグラファーの
五十嵐隆裕氏、
タカコノエル氏が担当し、

それぞれの持ち味を活かしつつ、
彼女の自然な表情を
映し出しています。

読書で培った自然な文体エッセイは、2年をかけ

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書籍レビュー『しりとりえっせい』中島らも(1990)ギャップで惹きつける語り口

書籍レビュー『しりとりえっせい』中島らも(1990)ギャップで惹きつける語り口

逃げても追いかけてくる「らも」「中島らも」という名前を
はじめて見たのは、
いろんな本を読むようになってからの
ことだったと思います。

小説でいくつかの賞を受賞していたり、
映像化している作品もあるようだったので、
単に「有名な作家さんなのだな」
という認識でした。

『ガダラの豚』とか、
タイトルがおもしろそうで、
興味はありましたが、
なんとなく躊躇していました。

30代になってからの話で

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