言葉の綾∞廻る文章∞

詩的な文章、感覚的な文章を描いています。 詩.エッセイ.短編小説。地球的note

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最近の記事

深紅の薔薇罪(バラ摘み)【詩】

頭の中がお花畑、そう美しいうつくしいお花畑だから、すべての季節の花弁がところ狭しと詰まっているの。そのなかからとびっきりきれいな真紅の薔薇を100本、きみにプレゼントしたいんだ。絶対にその肌に、指に、身長にぴったりお似合いに違いない、想像だけで華やぐもの。でも、赤く美しいその分、トゲはおおきく鋭くて。まだそのトゲの処理が上手くできないの。すべて綺麗に取り除こうとすれば自分の手を刺したり、花のかたちを乱してしまったり。きみにはトゲ1本もみせてはならない、だってあまりにもその笑顔

    • 愛の煙【詩】

       恒星と惑星の距離は離れずとも縮まない。ピンと張り詰めた糸ように、互いに見つめ合い認め合いながら、その視線の糸は緩むことも切れることもなく、張り詰めた空気のなか、互いに気を張って距離の糸を張り続けている。しかしある時、ほんの些細なことが、大きな影響をもって惑星に襲いかかった。それはよくあることで、よくある小さな気の惑いだ。かつて、すこしの日差しの強さが常人に殺害を起こさせたあの日のように、惑星の一瞬の気の緩みが、永遠の距離感に乱れを引き起こした。決して触れようとした訳でも、そ

      • 才能流し。【詩】

         わたしの才能川流し。わたしの才能海流し。 だれひとりとして沿岸に佇んで祈ることなどせず、わたしは祭りの明かりをまだしらない。しる由がない。 わたしは岸壁に立ち、川の流れを、海の流れを見下ろしている。水流は激しいままに変わることなく攻めぎあい、冷たい風は優しささえしらない。  わたしはぎゅと拳に力を込め、ひとりきりで祈りつづける。手の平に血を滲ませることにすこし飽きながら、諦め斬らずに願いつづける。  わたしの死体が描いた詩体は川へ、海へと流れ尽き、一秒だけ微かに輝いたあと

        • 名前を付けよう【詩】

          すべてに、すべてに名前を付けようとした人間、今も疑いなくすべてに名前を付けられると信じ続けている馬鹿な人間がいる。きっとその人達にはネーミングセンスがない。 反対に、すべてに名前を付けるのは不可能で、やさしくないことだと気付いた人達は、”名前”という短文にすべてを託すことはとおに諦めている。単文で終わらせることを辞め、単文をいくつも方々から集めて繋げた長い文をつらつらと紡ぎ続けている。彼等は、諦めきれない愚かで情熱的な人達。生きることの荒波を、その粗くザラついた感覚を何度も身

          First love letter【💌】

           赤い字で書いたラブレター、赤い血で描いたラブレター、綴れば綴るほどどんどんインクは薄くなり、どんどん脈拍は遅くなって99行目で尽きた。100行目に色をのせられなかった命のインクはもうどんな色だったのかわからない。最後の一行、最後の言葉は、一筋の白い光となって消えた。紙に描かれた物語の起承転結、その結末は、最後の絵の具が薄まって水に消えたように無責任に幕を閉じた。最後の余白には、希望に似た無数の光の粒が隙間なく敷き詰められ、白く空しく終焉した。  ここまで描いた状態ならば、

          First love letter【💌】

          海へ詩にゆく【詩】

          川の流れのような人生。川は海へ流れ着き、人生は死へと終焉を迎える。死とは、人生が未知の海へと拡がり放流されること。川の流れのような、時代の流れのような命の運命は、いつの日か海に殺される。ただそれだけだ。だから、無思考に流されるままにはなるな。ただ同じように巡り続けるだけの水脈に違和感を抱いたならば、一度立ち止まり、つよい水圧をその二本の脚に感じてみろ。周りの流れに不服と怒りを感じたならば、一人きりで逆方向へと重い脚をもちあげて進み、「前はこっちだ!」と表明してみせろ。永遠の顔

          海へ詩にゆく【詩】

           君は永遠をぶっ壊す力をもつ人。山頂に降った雨がちょろちょろと下へ流れ落ち、標高が下がるにつれて徐々にしたたかな水路となって、やがて川となり海へと拡がる、この永遠に続く水脈の循環をぶった斬ることのできる、天災。  感覚で生きられる君へ。感覚だけで上手に生きられるオリジナルの能力をもって産まれた君は、その自分の能力をすべては理解(わか)っていない。言語化できない。別に理解っていなくたって、そのまま上手に生きられるのだからそれでいい。それがいい。言葉にできないままがうつくしいの

          無駄分

          音のない世界で静かにこそこそと動き続ける魔物。枕の裏に棲みついた悪夢と対峙する魔物。無音は無音ではないからさみしくはないけれど、旋律が無いから、簡単な言葉に言い換えてあげたら寂しいの。さみしいを、寂しいに、淋しいに言い換えるだけで、どうしてこんなにもフェミニンになってしまうのだろう、さみしい。だから、いますぐ口づけをして?枕の裏の悪夢を殺した返り血が、灰色で廃色で。こそぎ落としたくても落とせなくて音せなくて、きもちわるいの。

          敵と森の中へ【詩】

           敵は幻想のなかへ、幻想の森の中へと深く深く潜って行き、追いかければ追いかけるほど遠ざかって行く。足跡の残り香さえ消えてゆく。この森には中心と謂われるものが在るのだろうか、在るのだとしたらまだ救いはある。ここはきっと森の真ん中、いちばん深い中心地。だからここを抜ければまたきっとマシになるだろう。  敵と森のなかで追いかけっこ。不道徳を極めた敵のその素顔をどうしてもこの目に収めたかった。敵を追いかけて追い付こうとするほどに、深まる森は危険になり、図太い木々が生い茂る足場はどん

          敵と森の中へ【詩】

          永遠ほど詰まらないものはない【詩】

          日常生活なんて詰まらないほうがいい。滞りなく、するすると巡り続けるほうがいい。円滑な循環の上に成り立つ生活のその有り難さを忘れてしまうくらいにさらさらと流れゆくほうがいい。 そう、だからトイレも洗面台もキッチンも、それらを巡る水は、詰まる所などさらさら存在しない水脈のなかを滞りなく流れ続けるのがいい。生活の最上級の快適さとは、永遠に円滑な水の循環のことである。 それゆえに、この世にあるモノからモノへの流れを担う「脈」は、山脈は、人脈は、脈拍は、途切れることなく、誰かに刃で切ら

          永遠ほど詰まらないものはない【詩】

          わたしとだったら、ふたりきり海に溺れて溶けてしまってもいい。

          わたしとだったら、ふたりきり海に溺れて溶けてしまってもいい。

          きみは、わたしの森に入って出てこれなくなればいい。道を外れて彷徨い続けては、たまに真実のリンゴに似た知らない果物をたべて、そのおいしさに驚けばいい。なにもわからなくなればいい。

          きみは、わたしの森に入って出てこれなくなればいい。道を外れて彷徨い続けては、たまに真実のリンゴに似た知らない果物をたべて、そのおいしさに驚けばいい。なにもわからなくなればいい。

          書を捨てた部屋に鍵をかけ、密閉し、知らない街へと出掛けた。人で出来た街を己の眼で捉え、観察し、鍵だけを握り締めまた部屋へと戻った。捨てた書を急いで拾い上げ、もう一度あのページを開く。分からなかったページのその意味が急速に拓いていく。 変わらない部屋に、革命の鼓動だけが響き渡る。 

          書を捨てた部屋に鍵をかけ、密閉し、知らない街へと出掛けた。人で出来た街を己の眼で捉え、観察し、鍵だけを握り締めまた部屋へと戻った。捨てた書を急いで拾い上げ、もう一度あのページを開く。分からなかったページのその意味が急速に拓いていく。 変わらない部屋に、革命の鼓動だけが響き渡る。 

          SUICIDE-SEASIDE-GIRL💙【詩】

          シーサイドはスーサイドの1秒前に似てる。海は危ない、津波が危ない。もうすこし深く行けるでしょって1秒甘えたその瞬間、足元を掬われ、波に飲まれる。 わたしは海辺の少女。寄せては返し、またこちらに寄せる不埒な白波の先端を、正死の境い目をふわり舞う、死なない少女。seaside girlは、白波のその輪郭をちいさな爪の足先でなぞり、死–side lineのギリギリで、危なっかしく踊る、跳ねる。にこにこ柔い笑顔で楽しそうに。あの屋上のフェンスを越えたアスファルトの数センチの感覚で、う

          SUICIDE-SEASIDE-GIRL💙【詩】

          夏が終わる【短編小説•詩】

           夏が終わった。気象庁が正式に発表した。わたしのこの夏も、さいごまでしっかりと息の根を止めた。  夏のおわりは突然で、朝起きたその瞬間に自覚する。おわりは急に降ってくる。昨日と同じくらいの気温で昨日と同じような朝陽、昨日と同じような鮮やかさを纏ったこの部屋に居るわたしは、頭の隅っこが、心の隅っこがどこか昨日より格段に冷えている。べつに冷淡になり過ぎている訳ではない。ただ、昨日より増えた脳内の余白が冷静にカタカタと電卓で計算式を叩ちはじめ、心はキラキラ輝く鎖にさっきまで縛られ縋

          夏が終わる【短編小説•詩】

          宇宙をあそぶ虹色の光に、秋は無い。【詩】

           どこまでも膨張を続ける宇宙の1秒先をイきる君が、虹色の光線を1秒前の世界の方向へ投下した。虹色の光が宇宙全体へと大胆に放たれて、現在(いま)のすべてをミラクルな色で照らし、包み込み、そして未来の色に染めていった。その虹色は無限のエネルギーをもって宇宙をくまなく巡回し、光を放たない恒星たち、世界の隅に居る星屑の存在すべてまでもを明らかにした。 虹は本当は7色ではなくて、すべての色で出来ている。すべての色は、君のためにのみ存在する。  あらゆる惑星に刻まれた足跡からは、君の良

          宇宙をあそぶ虹色の光に、秋は無い。【詩】