海へ詩にゆく【詩】
川の流れのような人生。川は海へ流れ着き、人生は死へと終焉を迎える。死とは、人生が未知の海へと拡がり放流されること。川の流れのような、時代の流れのような命の運命は、いつの日か海に殺される。ただそれだけだ。だから、無思考に流されるままにはなるな。ただ同じように巡り続けるだけの水脈に違和感を抱いたならば、一度立ち止まり、つよい水圧をその二本の脚に感じてみろ。周りの流れに不服と怒りを感じたならば、一人きりで逆方向へと重い脚をもちあげて進み、「前はこっちだ!」と表明してみせろ。永遠の顔をした激流の水脈を、その腕の実力でブチブチと引き千切り、粉々にぶっ潰すまで殺る覚悟をもて。冷たく笑いかけてくる、ただ海を目指すだけの周囲には適当に微笑み返し、逆を向いて迫り来る激流に立ち向かえ。ちいさな手足でも最大限におおきく拡げて魅せ、水脈を堰き止めろ。雨雲に乗り、その雨が止み切っても雲に乗ったままふわふわと寝そべって、隣の虹に挨拶をしよう。 きみのコップのなかの水は、きっときみに飲まれる運命など思いもしなかっただろう。水とは元来、もっと自由であるべきだ。大胆に自由な動きをもつべきものなのだ。
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