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【マーケ基礎】手に入りにくいから、欲しくなる。
北海道小樽の洋菓子舗「ルタオ」の
『ドゥーブルフロマージュ』。
クリームチーズとレアチーズを重ねた、
まろやかで、コクのあるチーズケーキで、
私がこれまで食べた中では、
一番美味しいと思っている逸品です。
北海道に行かなければ食べられない時代に、
「ぜひ、食べたい」と思ったものの、
その機会には恵まれませんでした。
百貨店の物産展に出店し始めた頃に、
願いが叶ったのですが、その美味しさにとても感動し、
以来、同じ物産展に足を運ぶようになりました。
ところが、しばらくして通販で買えるようになると、
少し興味が薄れてしまったのです。
「いつでも好きな時に手に入る」という嬉しさの反面、
「あれが食べたい」という、熱い想いが無くなりました。
「なかなか手に入らないから、欲しくなる」
という心理が働いていたのです。
「欲しい時に食べられない」ということが、
私にとっては、「ドゥーブルフロマージュ」の
価値の一部だったのです。
その価値が無くなると、
その美味しささえも
3分の2程度に落ちてしまった感があります。
そしてまた、最近はテレビコマーシャルまで、
打つようになりました。
「あぁ〜やってしまったなぁ〜」という思いです。
私の中の最高峰チーズケーキは、
雪崩のごとく、崩れ落ちてしまいました。
いつでも手に入るものに、興味は湧きません。
価値を見出せません。
希少性こそが、この商品の価値だったのです。
まだしばらくは売れるでしょうが、先は見えています。
注文が増えれば、
大量生産の体制を整えなければいけません。
システム化を図り、やがて手づくりをやめて、
味が落ちていきます。
希少性が無くなった上に、味も落ちれば、
お客さまは離れてしまいます。
こんな論理は、誰もがわかっているはずなのです。
しかし、目先の儲けに欲を出して、失敗します。
やがて、「赤福」や「白い恋人」のような
問題を起こすことになります。
細々とながらも、多くのファンを持ち、
愛され続けることこそ、
商売人の喜びではないのでしょうか。
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