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商人魂(繁盛事例):配達無料の出前には、忘れかけていた人情が残っていた。

「てんやもの」「仕出し」「おかもち」「出前機」。

恐らく若い人は知らない言葉だと思います。

「てんやもの」は、漢字で「店屋物」と書き、
飲食店から取り寄せる料理のことです。

「仕出し」は、注文に応じて、
料理を作って配達すること。

仕事の「仕」、出入りの「出」を取って、
名づけられています。

「おかもち」は、
料理や食器を持ち運ぶ際に用いる箱のこと。

「岡持ち」と書き、「岡」とは小高い山のことで、
山のようにたくさんの食べ物を持って歩ける道具
という説があります。

「出前機」は、汁物の入ったおかもちを
バイクや自転車に乗せてもこぼれないように
設計された装置のことです。

こうした言葉をあまり聞かなくなって、
どれぐらい経つのでしょうか。

「フードデリバリー」という言葉が登場するまでは、
数は減っていたものの、
出前をするお店はたくさん残っていました。

しかし、
店主の高齢化やフードデリバリーの流行によって、
出前をするお店はさらに減っていきました。

料理を配達するという点では同じなのですが、
昔からの出前とフードデリバリーには、
決定的な違いがあります。

昔からの出前は「無料」。
フードデリバリーは「有料」。

なぜ、同じことをしていながら、
この違いが生まれたのでしょうか。

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