心理学から学ぶ “怒り”
みなさんは“うつ”と聞くとみなさんはどんなイメージを思い浮かべますか?
・元気がなくなって何もやる気がおきなくなる
・食欲がなくなる、活力がなくなる
・死にたくなる、覇気がまったくない などなど
こんな症状を思い浮かべる人が多いのではないでしょうか?
意外なことに“イライラ”や“焦燥感”というもうつ病の症状の1つとしてあげられます。
ではイライラが止まらない場合、どんな解決法や改善法はあるのでしょうか
まず、1つ目として、呼吸法があります。
うつ病の人は、肩で息をしている人が多い傾向があると言われています。
肩で息をすると胸式呼吸になってしまうのですが、この呼吸は、交感神経の働きを優位にしてしまい、心身を緊張させてしまう呼吸法です。(逆にストレスのせいで胸式呼吸になってしまっているとも言えますね…)
ストレスで胸式呼吸になり、心身共に緊張してストレスとなる。この悪循環に陥ってしまうのが、胸式呼吸です。
この悪循環を断ち切る為には胸式呼吸ではなく腹式呼吸を心がけることが大切です。
腹式呼吸法は、副交感神経を優位にして心と体をリラックスさせ、脳に酸素を届けます。そして十分に酸素が行き届くとストレスを緩和する働きがあるセロトニン(別名幸せホルモン)がという物質が分泌されます。
うつ病の人は腹式呼吸によりセロトニンを増やすことが大切で、これによりマイナスの感情が軽減されます。
また、
・息切れが起きにくくなった
・よく眠れるようになった
・疲れにくくなった
・便秘が改善し、胃腸の調子がよくなった
・体内時計が整った
などうつ病だけでなく、体調よくなるという報告が多数あるようです。
体調が良くないとそれが原因でますますイライラしてしますので、うつの改善は体調を整えることから始めるのが重要です。
2つ目は“アンガーマネジメント” です。
これは怒りやイライラ適切にをコントロールするという心理トレーニングです。
本来イライラや怒りの感情を持つこと自体はだれしもが持つ当たり前の心理です。
しかしうつ病の人で問題になるのは、対人関係において適切でない表現をする、つまり「ありえない程キレる」場合です。
このような状況になると、日常生活に支障が出てきます。
仕事中やプライベートな時間で、ちょっとしたことで不愉快なことや不満を我慢できずイライラを爆発させたていてはまともな生活はおくれません。
ではどのように対処していけば良いのでしょうか?
まず度を超えたイライラや強い怒りはうつ病の症状のひとつであるとお話しましたが、これは病気の症状なので、薬物療法(服薬)は効果が期待できる治療法です。やはり薬は1番手っ取り早く効きますが、その後依存症になったりするのではないか と怖い方もいると思います。
そこで取り入れてもらいたいのが、自分の感情をコントロールするスキルを身につける心理療法である
“アンガーマネジメント“
です。
これは怒りやイライラを適切に処理し、コントロールする心理トレーニングですが、うつ病患者に限らず職場でのコミュニケーションを円滑に進めるために研修で取り入れる企業も増えています。
怒りの奥底にある感情は何なのか
俺がキレたら大変なことになるぞ? なんてたまに聞きますが、これは本当に正しいのでしょうか?
例として会社でのやりとりを見てみましょう。
ある人が仕事での怒りを抑えきれず怒鳴り散らしている状況で、社長が登場したとしましょう。
中には関係なく怒鳴り続けるという人もいるかもしれません。
しかしだいたいの人は、あらわれた社長に対し、急に態度を変えるのではないでしょうか?
社長から「いったい何があったんだ」と言われたら急におとなしくなり「なんでもありません」「たいしたことではありません」と答えるのではないでしょうか?。
さらには愛想良く社長のご機嫌取りまで始まったりと
会社ではわりと見かける光景ではないでしょうか?
しかし疑問が残ります。
つい先ほどまであんなにも怒鳴り散らしていた“怒”はどこに行ってしまったのでしょうか。
本当に怒りがコントロールできないものであれば、場面に応じて怒りスイッチをオンオフにはできないはずです。
しかし日常生活においてもこのような光景はよく目にすると思います。
つまり怒りはマネジメントできるものである(自分でコントロールができる)ということです。
この“怒り”の根底にはなにがあったのかをしっかりと考えること
・顧客の理不尽に腹が立った
・(そのせいで)取れそうだった契約を逃してしまった
・(そのせいで)お気に入りのものが壊れてしまった
元は「顧客の理不尽に腹が立った」だけだったにもかかわらず連鎖的に嫌なことが続き爆発してしまった ということわかりました。
このように怒りの源流にあるものをしっかりと見つけ出すことで、本当に原因がわかり自分の感情をコントロールできるようになります。
うつ病は自分の感情コントロールが通常より難しくなっている状態ではありますが、できることからひとつひとつこなしていくことが改善への近道です。