距離感/永井亘『空間における殺人の再現』評
永井亘『空間における殺人の再現』を読んだ。本歌集において徹底されているのは、言葉同士の距離感を操作することであるように思われる。
ザッピングとは、テレビを視聴している際に、リモコンを操作してチャンネルをしきりに切り替える行為のことをさす単語である。初句『目の奥を』と読んだ段階では第二句、第三句で『リモコンでザッピングして』と展開されるなんてまさか思わない。また、それ以降でさらに『降雨を笑わせた』とさらなる裏切りが待っている。意味内容で読解するにはあまりに難解すぎるが、それぞ