これまでとこれからも
50歳オーバーのゲイ二人によるWeb同人誌です。 介護福祉や自身の性などについて書いています。 よろしくご高覧ください。
私は前世紀の終わり頃から数年間、いわゆる『個人ホームページ』(実際には個人『サイト』であったのだが、当時は『ホームページ』という言い方が多数を占めていた)という奴で、自作のゲイ向けポルノ小説を公開してきた。 その後、当時付き合っていた相方との死別を上手く乗り越えられず、サイトの運営をそれこそ10年単位で放り投げていた時代がある。 その間も小説そのものはちまちまと書き続けていたのだが、どうにも『ネット上での他者との交流を進めていく』ということそのものがメンタル的に出来にく
SNSを眺めていると、ある属性の特徴や性格や歴史などを、論証なしに決めつけて、否定する根拠とする例を、当たり前のように見るようになりました。 「LGBTQ+は~」「女は~」「男は~」「障がい者は~」「○○人は~」「非正規雇用は~」「Z世代は~」「チーズ牛丼温玉トッピング~」「サイゼリヤで初デート~」などなどなど。 SNSで、この種の投稿を見る度に、私は内心でつぶやきます、「血も涙もある人間なのに」 もちろん、ある属性における恩恵も影響も受けています。 受けてい
はい、こんばんは! DJアカギツネでーす! 視聴中のベイビーズ元気? 歯ァ磨いてる? ちゃんと寝てる? 今年の夏は暑かったね~。地球どうなんの? ボクは素麺ばっかり食べてた。麺つゆ使わずに、素麺の塩気とゴマ油で美味しい奴。 今夜はね、お知らせがありまーす。 ベイビーズはご存じの通り、ボクと上司は地球のニッポンジンの性の事情を調査しにきたんだけど、一定数のデータが集まったから、星に帰りまーす! このアカウントでもレポートの提出を何名かにお願いしたけど、ありがとね。
3本目のレポートを送る前に、文章の依頼をしてくれた方に「本当にこのままの路線でいいのですか?」と、一応の確認のDMを送ったのだが。 ぜひぜひ、このまま突き進んでくださいとの、なんともどうしていいのか分からないような返信だった。 それこそありふれた出逢いと別れの話にしかならないし、当事者で無い人が目にしても「ふーん……、で?」となりそうなものだと思うのだが。 かといって、小説で書いているようなバリバリの創作話に勝手に切り替える、ということも妙なプライドが邪魔して出来ない
係長に昇進する前の話だ。主任ツノジカは、年間平均気温が怖ろしく低い惑星に、一人で赴任した。惑星の住人らの生活の様子を記録するのである。 一年のうち雪の降らないわずかな時期に、全身に鱗をたたえた住民らが老若男女総出で川に入り魚を獲り、山で果物や植物を狩り、一年分の食料を確保する。村にもどり粗末な家屋に引っ込み、前年に作っておいた保存食を惜しみつつ食べて雪の時期を凌ぐ。凌ぐ間に来年の分の保存食を作る。 そうして一年が経つとまた食料を確保し、再び家屋に引っ込み雪の時期を
前回の文章は、依頼主にはかなり喜んでもらえたようである。 それにしても、私のこのような稚拙な文章をいったいどうしようというのか。 依頼者そのものも本当に驚くべき人であるようなのだが、その真贋をこちらから確かめる術は無い。 言われるがままに綴りゆく自分の記憶には、どこか甘い懐かしさと共に、わずかな苦さも伴っている。 ********** 大学に6年間いた(お、医学部?! などと勘違いしてはいけない。単なる単位不足による留年である)私は、卒業後にかなり忙
銀河系統括部地球課第二係長ツノジカは、半分ほど読み終えたレポートを廉価のパソコンデスクに置いた。常にストックを怠らないアーモンドチョコを一粒食べて、カフェインレスコーヒーを飲み、窓の外に目を向ける。夏の空に浮かぶ雲が、一雨をもたらすだろうか。 係長ツノジカがUFOで地球に赴任して、宇宙法律の第4章の第242条に則り不動産屋や区役所職員の意識をいじり、つまり架空の収入や保証人の存在などを信じ込ませて契約を進めて住民票を取得し、東京都23区の築五十年の鉄筋マンションに住み
SNSとは面白いものである。 私のアカウントでの色々に興味を持ってくれたのか、こんなとんちきなオジサンにも『原稿依頼』なるものを寄せていただくこととなった。 訳あってどんな方かは伏せておくが、おそらく相手先のことをみなが知ればびっくりするような人。 なんでも60手前のオジサンの、これまでの恋愛や性遍歴について知りたいらしい。 それでもまあ、おまんまの足しになるかと、筆を進めてみることにする。 ********** 私、三太はいわゆる『シスゲイ』と呼
私には今の私を私たらしめていると感じている幾つかの『言葉』がある。 先の原稿にも書いた呉秀三先生の『我が邦に生まれたる不幸』もその一つではあるが、ここではまた別の『言葉』について述べてみたい。 『ある社会がその構成員のいくらかの人々を閉め出すような場合,それは弱くもろい社会なのである。』*1 これはすでに40年以上も前のことにはなるのだが、1980年に国際連合(以下『国連』との表記も)で採択された『国際障害者年行動計画』の中の一節である。 私は中学高校時代から障
ソウルフラワーユニオンおよび中川敬の名は、音楽ファンのみならず左派リベラルの方々には、好意的に知られているかもしれない。 ソウルフラワーユニオンは元々中川がボーカル・ギターを務めたニューエストモデルと伊丹英子が率いるメスカリンドライブが発展的解散その後に融合したバンドである。 自分は高校生の頃に友人の紹介でニューエストとメスカリンに出会いぞっこん、2005年のアルバム「ロロサエ・モナムール」辺りまでアルバムをすべて買い、しかしその時期に実家を出て上京、生活費にゆとり
30年以上も前の話となるのではあるが。 『note』というブログを書けるプラットフォーム(*1)でもポツポツと書いているのだが、私は学校卒業後は、当時、大学在学中から関わっていた『障害種別を問わない』『無認可共同作業所』と呼ばれる手作り施設の職員として、通所してくる障害を持った仲間達と、日々下請け作業やバザー、運営費を捻出するための色々な活動を行っていた。 入職して2年目ぐらいのことであったろうか。 地元で開催した障害者関連の大会に、現在の厚生労働省、当時は厚生省と
ミス・コリアンは鼻つまみ者。口を開けば施設の介護職員はダメだ、ニホンジンはいじわる、男が嫌い女も嫌い。 ミス・コリアンがどういう経緯を経て日本で暮らすことになったのか誰も知らない。彼女は話さない。話さずともぼんやり知っているが。 施設の利用者も職員もいっしょに昔の歌謡曲や童謡を歌うレクリエーションの時間、歌詞カードを渡されてミス・コリアンが憤慨、「ニホンゴなんて読めん!」 入浴の順番が来て脱衣室に案内すると、ミス・コリアンは常に肌身離さぬ帆布の大きなバッグ
私は現在、SNSとしての利用は、ほぼX(旧Twitter)をメインに運用している。 元々は自分が書いている男性同性愛者向けの、ポルノ小説サイトの宣伝アカウントとして始めたものだ。 この共同誌を共に作成している樋口芽ぐむさんとも、当時で言うTwitterを通じて知り合うことが出来た。 自分の雑さの表れなのだろうが、私には自分の生活と創作、思考などを切り分けて考えることがほぼ出来ず、SNSでのアカウントも、とにかく自分が少しでも気になったもの、考えたもの、創作したものに
「これまでとこれからと」は、三太(@novelssantas)と樋口芽ぐむ(@samekichi1971)によるWeb同人誌です。 両名ともゲイであり、50歳オーバーであり、年齢を足せば100歳を超えています。 年齢を重ねた二人が年齢相応に介護福祉や自らの性、関心ある世の中の出来事などについて記事を書きました。 至らぬ点が多いと存じますが、よろしくご高覧ください。 ……余談ですが、三太と樋口はカップルでも何でもありません。 関心の方向が似た物書き仲間、かな。念のため。