
【“普通”の仮面が苦しいあなたへ】生きづらさを抱える理由
たとえば、同僚や友人との食事会。周囲の人が楽しそうに会話している横で、「うまく話せなかったらどうしよう」「変に思われていないかな」と頭の中がぐるぐるしてしまうことはありませんか?
私も以前は、特に会食の場が怖くて仕方がありませんでした。人気のイタリアンレストランや居酒屋に集まるとなると、食事を楽しむどころか、まわりの視線や「会話しなくちゃ」というプレッシャーに押しつぶされそうに…。料理は美味しそうなのに、口の中がカラカラになって味を感じられない。話している相手がいればまだいいけれど、少しでも沈黙があると「沈黙してる私は変に見えるかな…?」と焦ってしまう。その結果、余計に会話が続かず、心臓がドキドキして汗が止まらなくなるのです。
気の合うメンバーならまだしも、仕事関係の集まりや親戚の会合など、逃げ道がなかなか見つからないシチュエーションでは特にツラかったのを覚えています。隣に座った上司に「もっと食べなよ」「遠慮しなくて大丈夫」と気を遣われるたび、「普通に食べられなくてごめんなさい」と申し訳なさでいっぱいになりました。
こうした「会食不安」「対人不安」を抱えている方は、きっと同じような経験をされたことがあるのではないでしょうか。周囲からは「そんなの気にしすぎだよ」と言われても、本人にとっては深刻な問題です。「どうしてみんな普通にできるのに、私はこんなにも苦しいんだろう」と、情けなく感じてしまうこともあるかもしれません。
■ 私自身の克服体験:まずは薬物療法、その後認知行動療法へ
私がこの状況をなんとか変えたいと思ったきっかけは、ある日突然、社内の食事会でパニックを起こしてしまったことでした。呼吸が浅くなり、胸が苦しくなって「このまま倒れてしまうかも」という恐怖に襲われたのです。そのときは周囲に悟られないように席を立ち、何とかトイレにこもって落ち着くのを待ちましたが、帰り道には「もう外食なんて行きたくない」とさえ思ったほどです。
そこで意を決して病院へ行き、心療内科で診断を受けると「不安障害の一種ですね」と言われました。最初は、「私は弱い人間だから、病院に通わなければならないんだ」と落ち込んだのですが、医師からは「まず薬で症状を和らげながら、徐々に慣らしていく方法もありますよ」と提案されました。
実際に薬物療法をスタートすると、劇的に不安がゼロになるわけではありませんでしたが、「このまま不安でどうにかなってしまうのでは?」という感覚が薄れ、少し冷静に対処できるようになったのです。「苦しいときに頼れるものがあるんだ」という安心感も大きかったと思います。
ただ、薬だけに頼り続けることにも不安があったので、その後医師と相談し、認知行動療法(CBT)を取り入れることにしました。これは、「自分の思考パターンを客観的に見つめ直し、行動を少しずつ変えていく」治療法です。医師やカウンセラーのサポートを受けながら、「不安なときに湧き起こる考え方」や「それによって起こりがちな行動」を丁寧に分析し、別の見方や対処法を習得していきます。
最初は正直、「本当にこんな方法で楽になるのかな?」と半信半疑でしたが、少しずつ「考え方のクセ」に気づけるようになり、「会食や人付き合い=恐怖」だった思い込みが薄れていくのを感じました。
■ 克服のカギは「適切な勉強」と「役立つツール」の存在
私が認知行動療法を続けるうちに実感したのは、「適切な勉強方法」があるのとないのとでは大きく差が出るということです。自己流でただ「落ち着かなきゃ」と思い込むだけでは、なかなかうまくいきませんでした。専門書やカウンセリングを通じて、段階的に「自分の思考」と向き合い、「こういうときはこんなアプローチをしてみよう」と具体策を学ぶことが大切だったのです。
さらに、私には「手助け」になってくれるツールがありました。たとえば、「思考を書き出すアプリ」を利用して、気持ちを整理する。あるいは自作で作ったAIでの対話アプリを通して客観的に自分を見つめる。どちらも簡単に使えるツールですが、ちょっとした工夫があるだけで「不安の海」から抜け出す糸口になるんだと気づかされました。
「弱さがあるからこそ、手を差し伸べてもらえる」。それを身をもって体験した私は、いまでは会食や対人の場で「普通に見せなきゃ」と必死になることは少なくなりました。もちろん、緊張するときはありますが、「緊張してるな、でもこういうときは呼吸を整えて、ゆっくり話そう」と自分でコントロールしやすくなったのです。
■ “普通”の仮面を外しても、実は世界は優しい
今もなお、「周りに迷惑をかけてしまうかも」「失敗してしまうのでは」と考えることはあります。でも、認知行動療法やツールのおかげで、それらを「ただの考え方のクセ」と捉えられるようになりました。それが分かるだけで、気持ちがグッと軽くなるものです。
もし、あなたが「普通に見えるように頑張らなくちゃ」「これくらいできないと恥ずかしい」といった思いで苦しんでいるなら、一度立ち止まってみてください。
本当のあなたは、何もしなくても周りに受け入れられるはずです。少なくとも私は、以前の自分がそう信じられなかっただけで、じつは周囲の人たちは想像以上に優しかったんだと、今なら言い切れます。
■ 同じ悩みを持つあなたへ
対処法は個々人で違うと思います。もしかすると悩んでいる方の処方箋になるかもしれないので、まとめておきます。
薬物療法で一時的に不安を和らげる
認知行動療法で「思考のクセ」を客観的に学ぶ
自分に合ったツールを取り入れて日常の不安をコントロールする
なにより「普通に見えなくてもいい」と自分を認める
これらの方法を組み合わせることで、私は会食不安や対人不安からずいぶん楽になりました。あなたも、もし「普通の仮面を被るのに疲れた」「本当は弱音を吐きたいけれど、どうしたらいいかわからない」という思いがあるのなら、ぜひ専門家やツールの力を借りてみてください。
私の話が少しでもあなたの参考になれば嬉しいです。もし似たような体験をされた方や、「自分も同じことで悩んでいる」「前に同じような境遇だった!」と感じた方がいらっしゃったら、ぜひこの投稿に"スキ”を押してもらえたら励みになります。
無理せず、少しずつ。あなたのペースで、あなたらしく乗り越えていけますように。