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【怖くて一歩踏み出せない】予期不安から逃れる4つのステップ
一歩を踏み出すのが怖い。挑戦して失敗したら、もう立ち直れないかもしれない…。そう思うほど、自分の殻に閉じこもってしまう人は、決して少なくないでしょう。特に不安障害や適応障害を抱えていると、“ちょっとしたミス”ですら大失敗のように感じてしまい、身体が固まるような感覚に襲われることがあります。周りからは「大丈夫だよ」と励まされても、「私だけがうまくやれないんじゃないか」という思いに囚われてしまう――そんな経験はないでしょうか。少なくとも、私にはあります。
仕事をするうえで、誰もがミスや失敗のリスクは避けられません。しかし、不安が大きいと、新しいプロジェクトへの参加や職場の同僚とのコミュニケーションすら億劫に感じてしまいます。例えば、「この提案が通らなかったら、評価が下がるに違いない」「会議でうまく発言できなかったら、『何も考えてないやつ』と思われるかも」など、最悪のシナリオを頭の中で描いては、もう一歩踏み出すことをためらってしまうことがあります。
そんな「失敗が怖くて動けない」状況を改善するための、私なりの4つのステップをご紹介します。不安を感じたときにどのように対処すればよいのか、順を追って考えてみましょう。
Step1.安全地帯を作る
まずは、“安全地帯”を意識的につくることが大切です。不安が大きいと、自分の存在価値や行動のすべてに対して「これでいいのかな?」と疑問を抱いてしまいがち。そこで、自分が安心して過ごせる環境や人間関係を確認・確保しておくことで、「最悪の状況になってもここに戻れば大丈夫」という心の逃げ道を用意します。
職場の例でいえば、気軽に話せる同僚や先輩、あるいは「この人にはちょっと相談しやすい」と感じる上司が一人でもいれば、そこが安全地帯になり得ます。昼休みにその人とランチをとって近況を話すだけでも、「私の悩みをわかってくれる人がいる」という安心感を得やすいでしょう。あるいは、休憩スペースの隅やお気に入りのカフェなど、ちょっと落ち着ける“物理的な場所”を見つけるのも一つの手です。
Step2.安全地帯から離れて、不安であることを自覚する
安全地帯ができたら、その外に出る練習を少しずつ始めましょう。不安障害や適応障害を抱えていると、行動そのものが恐怖に思えるかもしれません。しかし、最終的には自分がやるべき業務や付き合わなければならない人がいる以上、まったく動かずに済むことは難しいこともあります。
ここで大切なのは、「私は今、不安を感じている」と自分に言い聞かせることです。不安をゼロにするのではなく、「不安はあるけれど、それを抱えたまま動いてみる」練習を意識してみるのです。たとえば、会議や打ち合わせに参加する際、前もって安全地帯の同僚に「ちょっと緊張してるんだ」と伝えておく。それだけで、少し荷が下りる感じがしませんか? 「今、自分は怖いんだな」と自覚することは、感情を冷静に見つめる最初の一歩なのです。
Step3.失敗したときの最悪のパターンを考える
不安を抱えながら行動していると、どうしても「失敗したらどうしよう」という思考が頭をもたげます。そこで一度、思い切って「最悪のパターン」を想定してみるのも有効です。たとえば、こんな具合に考えてみましょう。
- プレゼン資料を提出期限に間に合わず、上司や同僚から責められる
- 重要な会議で答えられない質問を振られ、社内の評価が下がる
- プロジェクトメンバーから「足を引っ張らないで」と言われ、人間関係が悪化する
不安が強いと、それらが現実になりそうで余計に怖くなるかもしれません。しかし、あえて“最悪”のシナリオを描くことで「実際にここまで行ってしまう可能性はどれほどだろう?」と客観的に見るチャンスが生まれます。人は漠然とした不安を抱えているときが一番怖いものです。具体的に言語化することで、「そこまで行くのは、よほどのことが重ならないと難しいかもしれない」と気づくきっかけにもなります。
Step4.最悪よりましなパターンを挙げる
最悪のパターンを想像した後は、必ず「最悪よりましなパターン」を考えてみましょう。たとえば、同じプレゼン資料の提出遅延を例にとると、
- 一日遅れそうなら、上司に早めに連絡して謝罪し、完成した部分をまず共有する
- 会議で答えられない質問があったら、「後で調べます」と伝え、きちんとフォローアップをする
- もし周囲に迷惑をかけることがあっても、次回から対策を立てるようにする
こうしてみると、「失敗」が必ずしも“自分の人生やキャリアの終わり”を意味しないことに気づけるのではないでしょうか。大抵の場合、最悪よりましなパターンがいくつか存在していて、しかもそれを実行すれば大惨事にはなりません。
もちろん、不安が強いときは「そんな上手くいくはずがない!」と感じてしまうかもしれません。ですが、その「上手くいくはずがない」という思い自体が、思い込みのことの方が多いのです。実際に行動してみると、案外、人はあなたのミスをミスとも思っていなかったり、思ったよりも責めなかったり、むしろ手助けを買って出てくれる場合もあります。
■ まとめ:失敗の先にある“動ける自分”を目指す
「失敗するのが怖い」という思いは、人に相談しづらいものです。ですが、安全地帯をつくり、不安を抱えながら一歩を踏み出し、失敗の最悪パターンとそれよりましなパターンを考える――この4つのステップを繰り返すうちに、安全地帯が少しずつ大きくなっていき、「自分は失敗を恐れてもいいし、それでも動いて大丈夫なんだ」と体感できるようになってきます。
不安障害や適応障害を抱えながら生きている方にとって、毎日の仕事や人間関係は心身に大きな負担をかけるものかもしれません。しかし、完璧を求めず、自分のペースで“動ける自分”を取り戻していくことは十分に可能です。もし失敗しても、その先には「それでも大丈夫だった」という成功体験が待っているかもしれません。あなたが自分の足で歩みを進める一助となれば幸いです。
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