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2018年に読んだ書籍10選(2018年振り返り#3)

2018年に読んだ書籍振り返り。
実は毎年「本は最低100冊は読もう」と決めている。息子が生まれて時間のやりくりに苦戦する中で、何とかノルマ達成できたかなと。まあ、読書は気分転換の一つでもあるので。

ざっと見て、今年はだいぶ偏りが出ているような印象。
小説とかが入ってないのはたまたまだけど、仕事やライフステージに直結するような本が多くなってしまった。もちろんそれはそれで悪くないんだけど、教養を深めたり、思考の幅を広げるためにはもうちょっと意識的に選書する必要があるんだよなあ。2019年は古典と言われる良書にもチャレンジしたい

ということで、2018年に読んだ書籍10選を紹介します。

フレデリック・ラルー
ティール組織 ― マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現

人事を仕事にしてから、寝ても覚めても組織のあり方について考えるようになり、「生命体としての組織」「意思決定の基準が外的要因から内的要因へ」「セルフマネジメント」といった考え方に頷くことも多かった。明言しているかは別にして、なんだかんだ組織のカルチャーフィットを重視している日本企業の多くは、参考になることも多いのではないだろうか。
僕にとって「ティール」は間違いなく今年一番のバズワードでした。

リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット
LIFE SHIFT

「人生100年時代」と呼ばれて久しい。一番リアルに感じなければならないのは「平均寿命が延び、生存のため80歳まで働かざるを得ない」ことだ。
本書で描かれる人生戦略は、変化することを前提に常に学び続けるというもの。「エイジ」と「ステージ」が切り離され、多様な生き方が許容される。以前75歳で芥川賞を受賞した作家が話題になったが、同様なことが今後同時発生的に起こり、やがて当たり前になる。その前提で動くべきなんだなと。

馬場マコト、土屋洋
江副浩正

リクルートの創業者である江副氏を、元社員が詳述するノンフィクション作品。様々な事業を成功させた同氏の波乱万丈を追体験するのは、物凄くエネルギーを要した。「素手でのし上った男」の異名は伊達じゃない
リクルートの旧・社訓「自ら機会を創り出し 機会によって自らを変えよ」は、リクルート出身でない僕も大きな影響を受けた。猛烈に働くだけじゃなく、時代を鋭く見極めることのできる観察眼。私淑すべき点は多い。

川島蓉子、糸井重里
すいません、ほぼ日の経営。

企業体のあり方って、企業毎に千差万別なので、そもそも本書で書かれるほぼ日のユニークさは、イコール汎用性が低い証拠でもあって。
じゃあ何が凄いかって、それはやはり糸井さんの言葉隅々に行き渡るセンスだ。「ぼくらは農業のように、とにかく毎日続けていくことを大事にしています」は、巷で使われるサステナビリティとも違う。優しさ / 強さ / 面白さを併せ持つほぼ日の凄さをいちいち象徴していて、本書は読み応えがある。

佐藤尚之
ファンベース

「良いもの作れば使ってもらえる」という作り手側の都合が通るわけない。あらゆるプロダクトやサービスが、世間に知られることなく消えていく。平成も終わるこのご時世「共感→熱狂」「愛着→無二」「信頼→応援」という枠組みは全てのマーケッターが意識すべきことだろう。
実は「さとなおオープンラボ 第十期」にも応募したが、残念ながら落選。直接教えを請うことは叶わなかったが、今後も折に触れて再読していきたい。

安宅和人
イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」

今年は社員研修などを手掛けるにあたり、ロジカルシンキングを改めて学んだ。内田和成『仮説思考』、齋藤嘉則『問題発見プロフェッショナル』、ちきりん『自分のアタマで考えよう』などあらゆる書籍を辿った。
初期の課題設定が何より大事だよね(じゃないと泥沼化するよ)」と本書は説く。「考えると悩むは決定的に違う」というメッセージにも痺れた。
論理的思考は一朝一夕で身につけられない。日々修練していこう、押忍。

原晋
勝ち続ける理由

サッカー日本代表元監督の岡田武史さん、中日ドラゴンズ元監督の落合博満さん、青学駅伝で成果をあげ続けている原さんが僕にとっての三大監督だ。今年は原さんの本を読み漁り、実際に原さんの講演にも足を運んだ。
学生に目標管理の仕組みを提示したことは広く知られるが「ネクタイの色が普段と違うことから学生の好不調を見極める」細やかさも監督の大事な資質と言う。カリスマ性に驕らず、理論を重視する姿勢にも学ぶことが多い。

坪田信貴
才能の正体

「うちの子は東大なんて絶対に無理」という親に対して、深掘りして話を聞いてみると、彼らは東大卒であるわけではないし、東大を目指したこともないし、東大の赤本を見てもいないし、どんな科目が必要でどれくらいの点数を取れば東大に入学できるか分かっていないと言う。
「常識に囚われず才能を「伸ばす」べき」が本書の要諦だと僕は解釈した。子どもの教育の前に、まずは親自身の才能を伸ばすようトライすべきだね。

ジェフ・サザーランド
スクラム 仕事が4倍速くなる“世界標準”のチーム戦術

方法論を見直して仕事が4倍速くなるなら苦労はない。
ただ「スクラム開発」「アジャイル開発」「リーンソフトウェア開発」が意味するものは、要件の定まらない(≒正解がない)ものへの対応を間違ったら、初動から無意味なものになってしまうという警鐘に他ならない
すごく当たり前のことで申し訳ないが、価値あるアウトプットを出すためにはチームでなければならない。そういう意味で原点みたいな本だと言える。

前田裕二
メモの魔力

新R25に「メモは備忘録のためでなく、知的生産のためにある」と紹介されていたのがきっかけ。12月の三連休明けから試しているが、メモって凄い。
自ら気付く / 他人に気付かされる様々なアイデアを、僕たち人間というのは放置しておくとすぐに忘れてしまう。本書で提唱される「ファクト」「抽象化」「転用」という枠組みに沿って思考をなぞっていくだけで、アイデアは知的生産に繋がっていく。「ああ、考えるって楽しいな!」と再認識した

まとめ(紹介した10作品)
・フレデリック・ラルー『ティール組織 ― マネジメントの常識を覆す次世代型組織の出現』
・リンダ・グラットン、アンドリュー・スコット『LIFE SHIFT』
・馬場マコト、土屋洋『江副浩正』
・川島蓉子、糸井重里『すいません、ほぼ日の経営。』
・佐藤尚之『ファンベース』
・安宅和人『イシューからはじめよ―知的生産の「シンプルな本質」』
・原晋『勝ち続ける理由』
・坪田信貴『才能の正体』
・ジェフ・サザーランド『スクラム 仕事が4倍速くなる“世界標準”のチーム戦術』
・前田裕二『メモの魔力』

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