本屋フォッグ

東京・高円寺の「本店・本屋の実験室」の1列書店。独立店舗を持つ書店開業を目指しています。 ただの"本屋の客"が、紙の本を売る本屋になることを目指す記録を『ペーパー・ペーパーセラー』というマガジンに執筆中。

本屋フォッグ

東京・高円寺の「本店・本屋の実験室」の1列書店。独立店舗を持つ書店開業を目指しています。 ただの"本屋の客"が、紙の本を売る本屋になることを目指す記録を『ペーパー・ペーパーセラー』というマガジンに執筆中。

マガジン

  • ペーパー・ペーパーセラー 本屋の客が本屋になるまで

    出版業界や書店での就業経験がない「本屋の客」が、都内でイチから本屋になることを目指す記録。 ペーパードライバーならぬ、「ペーパー・紙の本を売る人」。 毎週、本屋になるためにしたこと、考えたことを書きます。 プロとして本に関わっている方、本屋通の方々が読んだら呆れるかもしれない素朴な発見も、正直に白状します。 現状:2024年1月に東京・高円寺のシェア型書店「本の長屋」の棚の区画を借りて棚書店開業。

最近の記事

ネット販売の送料問題(2024年11月19日)

古本のネット販売をスタートすれば誰しもがすぐにぶつかる壁について、書いておく。経験者にとっては当たり前すぎるのことだろうけど、書店開業を目指すにあたって、触れないわけにはいかない。 買い手が払う金額から売値を決める古本をネットで買う場合、お客さんが払う金額は  本体価格 + 送料 で、これは売る方からの視点では (仕入れ値 + 利益)+ 送料 ということになる。 商品がAmazonやメルカリで出回っているものの場合、それらの場所に表示される価格は多くの場合、送料込みだった

    • ネット販売への挑戦(2024年11月10日)

      高円寺のシェア型書店《本店・本屋の実験室》で営業している《本屋フォッグ》店主のイイムラです。 独立店舗を持った書店開業を目指しています。 新たに、ネット販売を開始することにしました。 ネットで売る力を付けるために実店舗(高円寺のシェア型書店)で本を売り続けながら、ネット販売を始める。高円寺でふらりと店に入った人には買われにくくても、ネットで買われる本を売っていく。 主に使うのは「日本の古本屋」という古書販売サイトで、古書を仕入れては、売れそうなものの情報をネットに上げてい

      • 遊びの時代(2024年11月2日)

        本は釘打けの後、買われていく店番をしていると、お客さんが1冊の本に釘付けになって、最終的に買っていく姿をよく目にする。釘付けという表現がよく合う。 この本良さそう!と実際に買うまでの間に、釘付けの時間がある。長さはまちまちだけど、本から目が離せない時間があって、初めて本は買われる。 僕の棚《本屋フォッグ》で、密かにずっと売れている新刊がある。『シブいビル 高度成長期生まれ、東京レトロビルガイド』(河出文庫)だ。この本を買う人の釘付け時間は、いつも少し長い。 この本は表紙に使わ

        • 本を売ること10ヶ月(2024年10月27日)

          本を売るという本屋の一番中心にある行為について、久しく書いてないことに気が付いた。シェア型書店で棚を借りるところから、書店開業を目指して営業し始めてから10ヶ月。最初のうちは、売れる売れない、利益が出る出ないだけを考えていたし、棚の作り方や仕入れ方に自然と光が当たって、それをnoteにも書いていたと思う。どうして本を売る以外のことを書きがちになったのかを語りだすと、またそこに逸れてしまうから、今日は売ることの話を書く。 相乗効果よりも、差別化が大事《本店・本屋の実験室》は、

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        • ペーパー・ペーパーセラー 本屋の客が本屋になるまで
          31本

        記事

          面を増やす(2024年10月23日)

          こんにちは。間借り書店《本屋フォッグ》の店主イイムラです。 ここ1カ月で色々と取り組んだことがあるので、書き留めておきます。 シェア型書店の未来と、その中での立ち位置シェア型書店自体が続くことも簡単じゃない 棚を借りて書店開業を目指している僕から見れば、シェア型書店は「飛び立つ前の巣」とも言えるけど、鳥の巣だって外敵や嵐で崩れてしまうことがあるのと同じで、シェア型書店自体を続けることも容易なことではない。 シェア型書店のオーナーからすれば、棚を借りる人が一定以上いつづけれ

          面を増やす(2024年10月23日)

          HPと栞(2024年9月10日)

          およそひと月ぶりの更新。1カ月で色々なことがあった。 高円寺のシェア型書店「本店・本屋の実験室」に移転した。 移転の前後で売れる本がなんとなく変化した感じがして、棚づくりをああでもないこうでもないと考えながら過ごした。 一方で、同じように本を売る他の棚主の商品を眺めながら、自分はどうすべきか頭を悩ませたりもした。 本屋をやるからには、コンセプトやカラーがはっきりとしていて「あの本屋には欲しい本がある」と思ってもらうことが大切なのだろうと思う。 そういう意味では、《yome

          HPと栞(2024年9月10日)

          書店の裏方・裏方の書店(2024年8月1日)

          間借り書店・本屋フォッグは、「本の長屋」から「本店・本屋の実験室」に移転した。 本日8月1日が「本店・本屋の実験室」のプレオープン初日。 正式オープンの9月1日まで、どんどん棚が充実していき、イベントも行われる。これからが楽しみな書店に始めから関わることができる嬉しさもある。 書店の裏方これまでシェア型書店「本の長屋」の管理手伝いをやってきたけど、新しく開く「本店」の事務局担当として1カ月半ほど動いてきた。 実際にやることは、 ・棚を借りて本を売り始める棚主の契約前のや

          書店の裏方・裏方の書店(2024年8月1日)

          「自立するための本屋」計画書(2024年7月17日)

          こんにちは、イイムラです。一連のnoteはこちらから。 現在は東京・高円寺の「本の長屋」というシェア型書店で、本屋見習いをしています。 この記事は、僕が将来開く予定の本屋の初めての《計画書》です。 noteに書き留めて、できたらコメントをもらったりして、少しずつ構想を磨いていきます。 この案に肉付けしたり、手直しを加えたりして、最終的な形を描けたらと思っています。 店主が勉強サポートをする本屋1.書籍の販売 新刊と古本を扱う。 限られたジャンルの本を扱う、コンセプチュア

          「自立するための本屋」計画書(2024年7月17日)

          本屋フォッグの営業理念(2024年7月6日)

          こんにちは。本屋フォッグのイイムラです。 現在、高円寺にあるシェア型書店「本の長屋」で営業中。この夏、すぐ近くに新しくできるシェア型書店「本店・本屋の実験室」に移転する予定です。 独立店舗を持った書店へ、一歩近づきます。 前回の記事「応援される本屋」で、「店ではなく、店の理念を応援してもらう方がいいのではないか」ということを書きました。 今日はそれを踏まえて、店の理念について書きます。 本屋フォッグの理念(≒作りたい未来)書店の営業理念を、次のように決めました。 ①「本

          本屋フォッグの営業理念(2024年7月6日)

          応援される本屋(2024年6月14日)

          久しぶりの更新です。バタバタしておりました。 公立中学校の講師としての仕事を週2回、2カ月限定で始めてみたら、noteを書くはずの時間が、授業プリントを作る時間に吸い取られていきました。 元素周期表って、本棚みたいで見ていて飽きないですよね。 さて、僕は高円寺のシェア型書店「本の長屋」の中で「本屋フォッグ」という書店をやっているイイムラと申します。 「フォッグ」は、先日亡くなった小説家ポール・オースターの小説『ムーン・パレス』の主人公の名前から取りました。 フォッグは、伯父

          応援される本屋(2024年6月14日)

          本屋フォッグの活動報告:2024年5月

          こんにちは。小さな書店「本屋フォッグ」の店主・イイムラです。 私が何者かについてはこちらの記事を読んでいただけたら嬉しいです。 この記事の内容:5月にやったこと 書店、シェア型書店のイベントに行く「みっつの本屋 at 神保町」へ ハリ書房、間借り書房いりえ、ごーすと書房の3つの本屋が集まったイベント「みっつの本屋」の最終日5/27に行った。東大前にある書店の店主さんに、書店開業志望なのだと話したら教えてくれたイベント。 ハリ書房は、車で出向いた色々な場所で本を売ってい

          本屋フォッグの活動報告:2024年5月

          新刊入荷案内(2024年5月②)

          「本屋フォッグ」で新しく仕入れた新刊を紹介します。 ①親切で世界を救えるか ぼんやり者のケア・カルチャー入門(太田出版)堀越英美さんの著作。 テーマ選びの切り口がとにかく面白い堀越さんの、ケア・カルチャー入門。映画や小説などの中で描かれる「ケア」への言及が盛り上がる昨今ですが、これからの生き方として提案してくれるような、そんな本。 様々な作品を取り上げた連載の書籍化です。参考のために目次を載せます。 《目次》 はじめに 第1章 ケアの復権 『鬼滅の刃』にみるケアの倫理

          新刊入荷案内(2024年5月②)

          新刊入荷案内(2024年5月①)

          「本屋フォッグ」で新しく仕入れた新刊を紹介します。 これまで古本をメインで扱っていましたが、今月から新刊に力を入れることにしました。 ①「知らない」からはじまる 10代の娘に聞く韓国文学のこと(サウダージ・ブックス)【内容紹介】 「未知の世界を発見する喜びは、いつも知らないものたちの冒険心からはじまる」。サウダージ・ブックスの編集人で韓国文学ファンである父親が、K - POPが好きな10代の娘に話を聞いてみた。憧れのソウルを旅行したこと、韓国の小説を読んだこと。韓国カルチャ

          新刊入荷案内(2024年5月①)

          創業相談をしてみた(2024年5月14日)

          こんにちは。小さな書店「本屋フォッグ」の店主・イイムラです。 私が何者かについてはこちらの記事を読んでいただけたら嬉しいです。 この記事の内容:創業相談窓口で話したこと 自分の店を持ったらやりたいことができた店舗を持った書店を開く場合、本を売る以外に何をしたいだろうかと考え続けて、いったんの答えが出た。それは勉強のサポート。 僕は中高の教員として働いていた頃、「授業で知識を得て、効率よく問題を解くことが勉強だ」という考え方に違和感を持っていた。同じことを感じている教員は

          創業相談をしてみた(2024年5月14日)

          本屋フォッグの活動報告:2024年4月

          こんにちは。小さな書店「本屋フォッグ」の店主・イイムラです。 私が何者かについてはこちらの記事を読んでいただけたら嬉しいです。 この記事の内容:4月にやったこと 古本は「売りつづけている」段階に入った先月の活動報告にも書いたように、こまめに棚の本を入れ替えたり補充するサイクルを今月も回した。 古本の中でも出版年が比較的古いもの(本の経年ヤケが目立つもの)がなかなか売れなかったりするので、並べ方を変えてみた。これまでは見た目が新しい本と一緒に並べていたところを、一カ所に固

          本屋フォッグの活動報告:2024年4月

          値段は価値をほのめかす(2024年4月22日)

          こんにちは。「本屋フォッグ」店主のイイムラです。 現在は東京・高円寺の「本の長屋」というシェア型書店で、本棚の区画を借りて本を売っています。 本の長屋では、4月~GWにかけて「春の長屋フェス」と題してイベントをやっています。イベントカレンダーはこちら。 今回の記事の内容:本の値段が語るものについて 大量の在庫から選ぶ経験を通して自分が「疑似お客さん」になれる 本を売っていると話したら大量の蔵書を譲ってくれた友人がいて、いま自宅には大きな段ボールに入ったたっぷりの「在庫

          値段は価値をほのめかす(2024年4月22日)