面を増やす(2024年10月23日)
こんにちは。間借り書店《本屋フォッグ》の店主イイムラです。
ここ1カ月で色々と取り組んだことがあるので、書き留めておきます。
シェア型書店の未来と、その中での立ち位置
シェア型書店自体が続くことも簡単じゃない
棚を借りて書店開業を目指している僕から見れば、シェア型書店は「飛び立つ前の巣」とも言えるけど、鳥の巣だって外敵や嵐で崩れてしまうことがあるのと同じで、シェア型書店自体を続けることも容易なことではない。
シェア型書店のオーナーからすれば、棚を借りる人が一定以上いつづければ固定収入が入るわけだから、そういう意味では既存の書店よりも安定しやすいとも言える。でも、そこにある本が売れ続けないと棚主もいなくなるし、店としての価値が保たれない。そして、たくさんの棚主が関わって本が売れ続ける場を作ることには、それ特有の難しさがあると思う。
one of themとしての棚主
《本屋フォッグ》と名乗り始めて10カ月が経ち、ありがたいことに応援してくれる人も増えてきた。フォロワー数には表れない「本屋フォッグさん、応援してあげて!」という声が届いているし、密やかに見守ってくれている人もちゃんと見えている。定期的に本を買いに来てくれる意外な知り合いもいて、本当に嬉しい。
有名店になったわけでも、カリスマになったわけでもないけど《本屋フォッグ》に向けられている温かさを、シェア型書店全体を”引き上げる”ために使わせてもらっている。応援される本屋であるためには、応援する本屋であるべきだと思う。特にシェア型書店の中では。
なるべくなら、センスある方法で他の棚主を紹介して、応援したい。
本屋フォッグの色んな面を見せたい
HPを作って、本屋フォッグを一望できるようにした
少し前に、1983年製のフィルムカメラを古道具屋で買って、散歩のときに持ち歩いている。初心者なので、カメラの商品名でGoogle検索をして、先人の知恵を借りようと思った。
すると、おそらく自分よりも高齢の男性がフィルムカメラ情報をまとめている個人サイトに行き当たり、その人が毎日写真とともに書いているブログを見つけた。少し懐かしい光景だった。
ブログの最新記事に「最近フィルムカメラを初めて手に入れて、ブログを偶然見つけました」とコメントすると、すぐにブログの主から「カメラ入手おめでとうございます! たまに見に来てください!」と返信があった。
この人のサイトには、手に入れたカメラ、試してみた撮り方、映りの感想、外出先の写真……がまとまっていて、その情報の総体が、その人がどんな人なのかを物語っているようだ。
タイムラインが流れていくSNSよりも、全貌が見えるような気がした。
本屋フォッグにも、そういう場所があると良いと思った。
仕入れた本、新しい取り組み、書いた文章。
タイムラインを遡らなくても、見たかったら見られる場所。
当店の色々な面を一望したい方(いつもありがとうございます)はこちらをぜひブックマークに。
紙媒体で手元に残るノベルティ:オリジナル栞の完成
前職(学校教員)の頃の教え子にデザインを依頼したオリジナル栞が完成した。
《本屋フォッグ》で本を買ったら手元に栞が残って、そこに店の情報が書いてあるという体験をしてほしい。本を読み切り、次の本を読むときにも使いたくなるような、ちゃんとした紙とインクで作った。コストがそれなりに作ったけど、お客さんの心に残る体験に見合うと思う。
Podcast番組を2つスタート
Youtubeチャンネルを作って、番組を始めた。
1)「読書中毒」
読書をしないではいられない人たちに向けた、本のことと本屋フォッグのことを語るトーク番組
2)「謎の縁」
これまで話したことがないような人を招いて、ゲストの人生の中にある「謎の縁」を語ってもらう対談番組。考えてみれば、僕が本屋フォッグをやれているのも謎の縁。
《本店・本屋の実験室》Web内で書評を公開
本屋フォッグのHPができたのと同時期に、所属しているシェア型書店のWebもスタートした。
棚主がそれぞれ書籍紹介をするウェブメディア形式のサイト。きっと面白くなると思う。手始めに、新刊で仕入れた『ヒルは木から落ちてこない ぼくらのヤマビル研究記 増補版』の紹介を書いた。
今書いているnoteとは違ったスタイルの文章を心掛ける。
「こっちの本屋フォッグの文章の方が好きだな」と思う人が現れるような、小さな挑戦をしていく。
初のトークイベントを終えて
10月12日(土)『親切で世界を救えるか ぼんやり者のケアカルチャー入門』(太田出版)の刊行記念イベントとして、堀越英美さんと野中モモさんのトークイベントを開催した。
※チケット販売は終了しています。
イベント中は、登壇者の2人とそのファンの方に助けられ、楽しい時間を過ごすことができた。配信も無事行うことができて、ほっとした。
収益については、イベントのみの利益はほんの少しだけ。関連書籍が数冊買ってもらえた。
事前準備および当日に、シェア型書店で仲間たち、周りの人たちに手伝っていただいた。一人では到底できなかったし、その方々の明るい雰囲気にも助けられた。
とても勉強になった。本を売るという行為に対して、棚づくりやSNS広報とは違ったチャンネルを持つことになるので、可能性が広がるのを感じる。また、上手くやればイベントチケット自体が収益になることも十分あり得るとも感じる。
そして何より、出版社、編集者、著者という本の側にいる人たちのやりとりをしていく中で、小売の立場で「売れそうな/売りたい本を仕入れて棚に並べる」以上のことを山ほど考えることになり、かなりの充実感があった。今回のイベントを通していただいた繋がりが、今後の書店営業を後押ししてくれるような予感もある。
棚主それぞれがイベントを主催して、周りの人がそれをサポートする。それを通して、全体の雰囲気もさらに良くなり、本が売れるようになると思う。
予告
1月11日の ZINE FEST TOKYOに、本の長屋で出展する。
《本の長屋》で作っているZINE「長屋通信」と、棚を借りている函店主たちのZINEを持ち寄って、色んな人に手に取ってもらう。
それに合わせて、《本屋フォッグ》のZINEも作る。当店のこれからが楽しみになるような読み物を作る予定。お楽しみに。
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