ネット販売への挑戦(2024年11月10日)
高円寺のシェア型書店《本店・本屋の実験室》で営業している《本屋フォッグ》店主のイイムラです。
独立店舗を持った書店開業を目指しています。
新たに、ネット販売を開始することにしました。
ネットで売る力を付けるために
実店舗(高円寺のシェア型書店)で本を売り続けながら、ネット販売を始める。高円寺でふらりと店に入った人には買われにくくても、ネットで買われる本を売っていく。
主に使うのは「日本の古本屋」という古書販売サイトで、古書を仕入れては、売れそうなものの情報をネットに上げていく。
高円寺の書店の中で買われる本を選ぶのとは違った、古本の目利きと値付けが重要になる。古本を安定的に仕入れ、しっかりと価値あるものとして売っていく。一朝一夕では身につかない力を、実践を通して付けていく。
冷たい”相場”
棚の文脈と、お客さんの文脈の交点によって本が買われるのが実店舗なら、ネットはより冷たい、需要と供給のグラフの交点によって相場が決まるフィールドだと思う。
古書の世界はインターネット普及以前から大きく変わって、Amazonやメルカリで世界中で付けられた価格が見えるようになった。手に入りやすい古本の価格はどんどん下がる。「相場はこの値段だけど、この本は違う値段で売りたい!」という想いが残る余地があるのが、街に店を構える古書店であり、読書家が蔵書を売るシェア型書店だ。そこに面白さと、本への愛の滞留がある。
それでも、そこには人がいる
そんな冷たい相場をつくっているインターネットでも、それぞれの本を扱っているのは人だ。人が書籍情報を入力し、人が保管し、人が受注して、人が発送する。本の情報を見て、注文するのも人だ。
AIが書籍情報をまとめて、”適正価格”を算出することができても、AIは表紙の埃を払うことはできない(「払ってください」と命令するかもしれないけど)。どうやっても手触りのある行為から完全に離れることができないのが、紙の本の世界なんだと思う。
古巣《本の長屋》に「バックヤード」を置く
《本店・本屋の実験室》に移転する前にいた《本の長屋》に棚を借りて、そこをネットで売る本を並べる場所にする。いわば本屋フォッグ・バックヤード。語義に矛盾しているけど「お客さんが立ち寄れるバックヤード」だ。
そこには、棚の統一感や見え方よりも、バックヤードとしての実用性を優先した並びで本を置いていくことになると思う。このnoteに書いてある事情を知っている人は「ほう、ここが本屋フォッグの裏側か」といったマニアックな見方もできる(そんな人いるなら、店番の時に話したいくらいだ)。
早速、本をネットに入力して、棚に置いた。
とことん紙の本を売っていきたい本屋としての新たな挑戦。売上なども今後公開していきたい。
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