大企業のいびつな年齢別人員構成とバランスの悪さがもたらす悲劇

大企業だと採用は基本的に新卒一括であるため、就職活動の年の景気によって、採用人数の多寡がどうしても発生します。

インフラ関係ですと、年度ごとの人数の差は少ないです。
景気に左右されがちな業種ですと、差は激しいです。メーカー、銀行、商社などが代表的です。

景気が良いと、大企業は社員数が多いほど大量採用に走ります。
戦前や戦後すぐに創業した企業ですと、
バブル期やリーマンショック前の採用人数は、多い傾向です。(特にバブル期)

長期的な採用計画が上手くいかないと、年齢ごとの人数が極端になり、バランスが悪くなります。
最近ですと、氷河期世代の40代が異常に少ない企業が多いのではないでしょうか。

私が勤める会社でもバランスの悪さが伺えます。
私の会社では、バブル世代(89年〜93年入社)が異常に多いです。
彼らの採用人数(総合職のみ)を「100」とすると、他の世代の人数は下記の通りです。
※就職四季報で調査した結果です。

82年〜88年入社(安定成長期):55
89年〜93年入社(バブル):100
94年〜98年入社(氷河期):50
99年〜05年入社(超氷河期):30
06年〜09年入社(リーマンショック前):37.5
10年〜14年入社(リーマン後):20
15年〜24年入社(アベノミクス期):25

私は一番下のアベノミクス期の入社です。
一般的な傾向とは異なり、氷河期世代が少ないわけではありません。
むしろ、私の世代よりも人数は多いです。
データを見ると、50歳以上(特に50代中盤〜後半)が多い、逆ピラミッドの構成をしています。

あくまでも、採用人数なので、現在どれほど定着しているか分かりません。
ただ、一般的に大企業での定着率は入社10〜15年で50%で、それ以降は60歳まで変わらないと言われています。
けれども、定着率をベースに考えても、50歳以上の社員の多さは異常です。

これだけ、年齢構成のバランスが悪いと下記のような悲劇が起こったり、これから起こり得るんですよ。
※あくまでも私の会社でのケースです。多かれ少なかれ、多くの大企業が直面している問題だと考えています。

悲劇①:管理職なれない社員とモチベーションの低い社員の増加(現在進行形)
⇒バブル世代においては、入社後数年で不景気となりました。景気が良くないと、採用人数に合わせて、管理職ポストを用意できません。
したがって、バブル以前の世代と比べると、
課長・次長・部長、それぞれの立場まで出世できた人の割合は少ないです。(そもそも、大量採用なので、世代全体の平均レベルが低いというのも理由の1つでしょう。)
そして、満足に出世できなかった社員は、定年までしがみつくことばかり考えたり、積極的のカケラも無かったり、残念な人が多いです。

悲劇②:人件費・退職金の一時的な増大(現在進行形〜2035年)
⇒バブル世代は、現在50代中盤〜後半を迎えており、賃金のピークの年代です。
出世できず賃金が高くない社員が多いとはいえ、人数自体が多いため、人件費がとにかくかかります。おかげで、定年は65歳に延長しても、役職定年の延長はしばらく据え置きです。
そして、退職金も大きなコストです。彼らが65歳になる2031年〜2035年は、支出が一時的に30%ほど増えます。

悲劇③:退職後の人手不足(2030年〜)
⇒現在、現場の最前線で安い給料で働く職種は、人手不足です。5年後はもっと状況が悪くなるでしょう。そうなると、大量採用世代の定年退職で現場の人手不足が悪化する可能性が大きいです。
一気に社員が減るのも困るので、65歳定年後の希望者には最低賃金レベルで現場仕事に従事させる取り組みは有り得そうです。

以上、バブル世代を例に挙げました。
ただ、上記の悲劇はリーマンショック前就職世代(06年〜09年入社)にも起こり得ると考えています。彼らは直近での大量採用世代です。悲劇は、5年〜25年後に起こるでしょう。

既に悲劇①(管理職になれない)は前兆が見えています。
リーマン前世代は主任や係長になれない・なるのが遅い社員が激増しています。
会社ではバブル崩壊後の30年で、徐々に国内の拠点を減らし、今後もますます減っていきます。
結果、管理職ポストもますます減ります。
採用人数を減らし、社員数が減っていく中でも、大量採用世代の問題はどうしても発生します。

原因は、新卒一括採用&強い解雇規制と言っても過言ではありません。完全な弊害です。
最近になって、ようやく見直されたため、私が50代になる頃は、上記の悲劇は現在ほど大きな問題とはならないでしょう。

変革を怠ったツケが将来へ先延ばしされて、
今後の現役世代は、返済も視野に入れなければなりません。

新卒採用や解雇規制は、今すぐ止められないけど、徐々に緩和して、柔軟な人事労務管理体制へシフトしていくことが大事になります。

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