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チェット・ベイカー「Sings」~ 神はトランペット奏者に二物を与えたのか

声がムードを醸し出す。

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そういうこともあると思うんですよね。その声が流れているだけで、あたりの風景がとたんに色彩を変えていき、そこにいる人々の感覚もまた、その声にとりこまれて変わっていく。

そんな稀有な声があるのだということをこのアルバムを通して知りました。

チェット•ベイカーとの出会いは大学時代の図書館で読んだ「JAZZ Trumpet」なる書籍から。

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せつない可憐な声で人気を博していたとのこと。しかもトランペッターというではないですか。

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『Sings』というアルバムを買い求め、ステレオのスイッチを押してみると・・

春風のような、さわやかなリズムがテンポよくスピーカーから飛び出してきました。部屋の中が、若々しい木々が生い茂った春一色に染まったかのような・・

この軽やかなメロディーが続いた後に、かぶさってくる切なげな声。まるで春一色の景色に、重なり合う枝の隙間から光がさすような。

これが「That's Old Feeling」という曲

また、「My Funny Valentine」というスタンダード曲の艶やかな歌い方はジョアン•ジルベルトに影響を与え、それがボサノバ誕生に繋がって行ったらしいです。

この声といい、良いタイミングで入ってくるトランペットといい、流れる音の心地よさにはたまらないものがあります。

神は二物を与えたもうたのか!

蒸し暑い夜に。あえて聞いて爽やかな雰囲気を楽しんでます。

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