#シャーンタラクシタ
【大乗仏教】中観派と唯識派の統合
後期中観派のシャーンタラクシタによって、中観派と唯識派の統合が行われ、大乗仏教の修行体系が完成していきます。
○時代背景
八世紀の中頃以後、シャーンタラクシタ、カマラシーラ、ハリバドラの三人が活躍します。十世紀末から十一世紀の初めにラトナーカラシャーンティが登場し、シャーンタラクシタの学統を継いでいます。
ラトナーカラシャーンティの著書はチベット大蔵経では瑜伽部(無形象唯識派)に分類されますが、
【大乗仏教】後期中観派の中核
シャーンタラクシタ、カマラシーラ、ラトナーカラシャーンティの説はいずれも『入楞伽経』の中にある詩頌を中核にしていると言われています。後期中観派の哲学と瞑想の階梯の理論はこの詩頌が根拠となっているわけですね。ただし、シャーンタラクシタ、カマラシーラによるこの詩頌の解釈は、ラトナーカラシャンティによる解釈と異なります。
シャーンタクシタ、カマラシーラによる解釈は次のようになり、()内は『入楞伽経』の
【大乗仏教】後期中観派の中核2
以下の前回の記事の続きになります。
ここで、形象とは唯識思想における主・客(主観・客観)を指します。即ち、主観=末那識+六識、客観=六識内の表象です。そして、照明と光り輝く心は同じものを示しており、阿頼耶識の中心(主客を照らす箇所)となります。阿頼耶識の表層には種子が保存されており、この種子から形象と次刹那の阿頼耶識の表層自体が生起します。
第一の段階では有部や経量部など、アビダルマ哲学の十八
【大乗仏教】後期中観派の中核3
下の記事の続きになります。
後期中観派の中で、より中観派的な立ち位置のシャーンタラクシタらは一般理解の立場において、「外界の存在を否定し、心(内界)のみの存在を肯定」しました。即ち、唯識派の立場を一般理解の立場で認めたものの、最高の真実としてはその心(形象だけでなく照明)の実在性をも否定したのです。真如(真理)とは「心の照明をも超越した絶対的な空」としたのです。
しかし、後期中観派の中で、無形