『心時代の夜明け』
心理学、カウンセリングの本です。
「カウンセラーは何をするのか?/心理学/人間関係/生き方/今後の社会のあり方」など、広い範囲について学べました。
「心理学が学びたい!」
と思って、知り合いに「ざっくり学べる心理学の本を紹介して!」と無茶ぶりをして紹介してもらった本です。
(紹介してくれた人はコーチング/カウンセリング方面に強い)
私なりの要点
❶悩みや気づきは成長の種である。カウンセラーは、答えを与えず、悩んでいる本人に気づかせて成長させる。
❷自己主張ではなく、自己開示をして人を動かす。
❸世界を変えるために最初に変わるのは私である。小さな行動を起こそう。
❶カウンセリングとは
①悩み
「悩み」って、何か出来事があって、その出来事そのものに悩みの原因があるのではないのです。その人の受け取り方が悩みを創るんです。
コンプレックスとかそうですよね。本人はすんごい気にしているけど、他人からしたら「別に気にならないよ」ということありますよね。
カウンセリングをするとき、一番怖いのは先入観です。先入観は「悩みの解決」を邪魔します。
②ABC理論
ここでABC理論という言葉を勉強しましょう。
A(出来事) → B(受け取り方) → C(感情)
Aは事実なので、変えることはできません。
B(受け取り方)次第でC(感情)が変わります。
なので、カウンセラーはB(受け取り方)にアプローチします。固定化した「思い込み」のパターンを改善するわけですね。
これって「こう捉えてみたらどうだろう?」と自分ひとりでも使えます。
思い込みの排除は自分だけではなかなか難しいかもしれませんが、「思い込みがあるかも」と常日頃頭に入れておきましょう。
③悩みや気づきは成長の種
そんな「悩み」に対してカウンセラーは何をするのかというと、答えは与えないのです。
与えることは気づきのきっかけを奪うこと。気づきのきっかけを奪われては成長できません。悩んでいる本人が抱える問題は、あくまで自分自身で解決しなければ意味がないのです。
つまり、
カウンセラーは、答えを与えず、悩んでいる本人に気づかせて成長させる
という仕事なのです。素晴らしいですね。
④カウンセリングとコーチング
この2つ、やっていることは似ています。カウンセリングは「悩みを解消」させている点に注目すると、
カウンセリング:マイナスから通常の状態へ
コーチング:通常からプラスの状態へ
と言えます。
❷大人の仮面をかぶった子供たち
①離別感
「大人になる」ってことは、
「他人は自分の都合で動く存在ではない」ことを知ること。
これを「離別感」と呼びます。
会社の中で言うと、決めつけ傾向の強い上司は、できて当然と過剰に期待ばかり相手に押し付け、指示・伝達がおろそかになりがちです。
他者を責めることのみにエネルギーを注ぐ。これは子供の「甘えの心理」が抜けていないからです。「相手は、自分ではない」という柔軟で現実的な感覚がないのです。
②弱さを知る vs 完璧を求める
自分の弱さを知り、受け入れている人は、周囲の他人にも完璧を求めません。
一方で、
完璧を求める人は、青い鳥を探す永遠の旅人のようです。このような人は、足らない世界を楽しめない、楽しむ能力がないのです。
不完全を受け入れることが大事なのです。
著者の衛藤さんは、こんなことを伝え続けたいと言っています。
この世にThe best(完璧)はない。
あるのはMy best(自分の歩幅)だ。
いいですね。
③本当の成功
人生の「成功」とは何でしょう?
本当の成功は意外と単純で、誰にでも実現できるのです。
あと3日しか生きられないとしたら、
権力やお金がある「生活の成功者」にこれからなりたいですか?
残りの3日間でやりたいことは、実は今やろうと思えばできるのではないでしょうか?
「人生の成功者」になるには、普通の生活の中に、楽しみや生きがいを発見する心の能力を身につけることが大切なのです。
❸柔軟に生きる知恵
①近くにいる人を「選ぶ」
人生を楽しんでいる人のそばにいましょう。
楽しくなる考え方・行動をマネでき、成功するヒントが自然と学べます。
逆に、人生に不平不満を言う人の周りには同じような人が集まってしまいます。このような場に学びはありません。
②みんな「何者にもなれる」
人間は他の動物とは違い、未完成な白紙の状態で生まれます。
白紙ということは、「何者にもなれる」ということです。しかも、その可能性は一生続くのです。
最初から魅力のある人間として生まれるのではなく、育つ中で魅力ある人間になっていくのです。
③「学ぶ」とは
「学」は「まなぶ」と読みますが、これは「まねる」が変化したもの
というのはよく聞く話です。
マネをすることは学ぶことなのです。
そして、マネてるうちに「問い」が生じます。
問いは自発的です。
つまり、「学問」の「問い」は「自分らしさ」の表れなのです。
❹すべては「聞く」ことからはじめる
①カウンセラーは、相手の悩みを「心から聞く」
悩んでいる相手には、相手の心の世界があります。
その世界は、自分の心の世界とは違います(「離別感」)。
ダメなカウンセラーは「離別感」を理解していません。
したがって、相談者に質問や探りを入れたり、相手の問題を解決してやろうという傲慢さが出ます。
また、同意や同情は問題解決を遠ざけるので、よいカウンセラーはやりません。でも、同意もしないでどうやって話を聞くの?と思いますよね。
代わりに「あなたの気持ちをこのように受け取りましたが、間違いないですか?」「あなたの言うことは、こういうことですね」という「確認」をするのです。
②聞く技術
聞き方の達人は人生の達人とよく聞きます。
聞くにも技術が必要です。
(1)くり返す(オウム返し/バックトラック)
(2)沈黙は待つ
(3)要約する
(4)心をくみとる
細かく説明しなくても、なんとなく理解できるかと思います。
ですが、実際やってみると難しいです。
私もコーチングのセミナーでちょっとやってみたのですが、普段の聞き方と違うので違和感がすごかったです。
意外と難しいのが、相手が沈黙してしまったときにこちらから話しかけてしまうことです。これは相手の「気づき」のチャンスを奪うことになります。
普段の会話の中で、これらの技術をほんの少し意識して使ってみるのがよいでしょう。
③子どもが悩んでいそうなとき
子どもが悩んでいるサインを見つけたとき、
「学校で楽しくないことがあったの?」
と聞きますよね。
逆に子どもから「お父さん(お母さん)は学校が楽しかった?」と聞かれたら何と答えますか?
「当然じゃないか」と発展のない答えを返すのはNGです。
「学校で何か楽しくないことがあったのかな?」と聞き返すのがカウンセラー的発想を持つ親です。
④「技術を学ぶな、心を学べ」
と、アメリカのカウンセリングの先生はよく言うそうです。
技術を紹介しておいて、なんじゃそらという感じですが、テクニックを磨くのも大事だけど、「相手の心を知ろうとすることが一番大事」であることを忘れてはいけないということですね。
❺自己主張から自己開示へ
①自己主張
と、言うと「相手との対立」が発生するイメージです。
著者はこの理解は正しくなく、やり方次第だと説いています。
そのうまい自己主張のやり方が「自己開示」です。
②自己開示
心理学用語です。
相手を責めないで、自分の価値観や今の状況を知ってもらう
これであれば、相手を責めないのだから対立にはなりません。
自分を知ってもらうには自分自身をよく知る必要があります。
③「責める」「批判する」のをやめる
相手を責めたくなったとき、心を落ち着かせて考えてみてください。
「相手は悪気があってわざとそうしているわけではない」
ということをです。
仮に責めたところで、相手は反発するので決して良くなることはありません。
※この辺は『人を動かす』を代表とした人間関係の本ではよく出てくる話ですね。
責めないとしたらどうすればよいか?というと、さきほどの「自己開示」です。「自分は相手に何を期待していたのか」「どうあることを望んでいたのか」を相手に伝えるのです。
これは、子どもに対しても同じです。
私もすぐに子どもに怒ってしまうので注意せねばと思います。はい。
❻仮面の下の自分と出会う
①「弱さ」も認めよう
職場でも夫婦でも「自分をさらけ出したら負け」という人たちが多い。
私たちは心から触れ合うべき人たちと、いつから戦うことになったのでしょう?
まったくです。
自分の弱いところも認めてもらえる人が周りにいないと苦しくないでしょうか?
私は割と弱いところも見せびらかしてしまう方です。たまに愚痴っぽいのがよくないのですが。
②自己開示の具体的エピソード
この弱い部分を「仮面」で隠していた人たちがカウンセリングを経て自己開示をするエピソードが、うるっとくる感じの話で好きです。
(エピソード1)絶対に子ども達に弱みを見せたくない、固定観念の塊のような決めつけ&思い込み先生が、正直な気持ちを子ども達に伝えたら・・・
(エピソード2)仕事人間だった父親が、小4の娘に怒鳴りつけてしまったことをずっと後悔していて、17年越しに自己開示をしたら・・・
人の愛情に手遅れということはない
この言葉は心にとどめておきたいです。
③愛される上司
愛される上司は、部下の良いところに意識が向きます。
人にはみな、強いところと弱いところがあります。
ダメなところは認めつつみんなで補って、強いところをさらに伸ばしてあげられる上司になりたいですね。
❼すべてを胸一杯に受け入れるために
①安心できる社会
自分は上司・先生・親である前に、
傷つき、孤独になり、不安になり、助けてくれる協力者を求めたくなる一人の普通の人間だと、安心して語れる社会でありたいですね。
→ 理想はカウンセラー不要の社会
②分離から統合へ
分離や排除の社会が今までのやり方ならば、これからはバラバラになっている物事を調和し統合する能力を、私たちは学ばなくてはなりません。
そのための、全体の関係性を理解する能力が今、求められています。
③「変わる」
何もしないで祈っていても運命は変化しません。
最初に変わるのは、社会でも他者でもない。まさに、私なのだと自覚を持つ必要があります。
人は、自分の行動を通して運命や世界を変えてゆける力を持っています。
変わることを信じて小さな行動を起こそう。
そう、最初は小さな行動でよいのです。
わたしが実践すること(◉済み、○今後)
◉近くにいる人を選ぶ。
○「責める」「批判する」のをやめる。
○自己開示で人を動かす。
○人の良いところを見つけて伝える。
○世界を変えるために小さな行動を起こす。
本書の一部は分けて投稿しました。
↓ ゲシュタルト療法の「ゲシュタルトの祈り」について。
↓ 日本の教育と組織の問題について。
読書期間 2021/01/02-2021/01/31
初版発行 1998/02/26
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