
MBA Essentials 2021<総合コース>春 第9回 アントレプレナーシップ ~成功確率を高める手法を学ぶ~
「起業?私には関係ないな…」と思ったそこのあなた!きっと参考になるはず!
実際、受講者の半分は新規事業でもベンチャーでもない現業の方でした。
アントレプレナーシップ、すなわち「起業家精神」
会社を辞めてベンチャー企業を起こすことがアントレプレナーシップではありません。
一緒に学びましょう!
第9回 概要
アントレプレナーシップ ~成功確率を高める手法を学ぶ~
長谷川 博和 先生
ベンチャー企業や大企業の新規事業の成功・失敗要因を分析することなどによる「ベンチャーマネジメント」の理論と実務を解説します。
単に創業をするベンチャー企業だけに留まらず、大企業やNPO、NGOにおいても今後、ますます重要性を増してゆく考え方である「アントレプレナーシップ(起業家精神)」について議論してゆきます。
内容は、
❶AIがつくる現実化した未来
❷新しいビジネスモデルの創出
❸ベンチャーエコシステムの重要性
の3本柱でしたが、重点を置いたのは❷でした。一つずつ見ていきましょう。
❶AIがつくる現実化した未来
ガートナーの「ハイプ・サイクル」
こちらの画像、ご存じでしょうか?
テクノロジーのライフサイクルを5つフェーズで表現しています。
(画像からガートナー社の「ハイプ・サイクル」解説サイトにリンク)
で、ここに実際のテクノロジーをマッピングすると、こうなります。
(画像はガートナーのプレスリリースへのリンク)
先生から教わったのは、以下です。
①はじめるなら「黎明期」か「幻滅期」にする
②「ピーク期」ではじめるとロクなことがない
2020年どピークなのが、5Gです。たしかに、「これから5G」って言ってたら耳を疑いますね。(6Gならともなく)
・AIは今後ピークへ到達する(まだまだこれから)
・IoTはがっかり期(幻滅期)まっしぐら😲
・ロボティクスは幻滅期を過ぎたいい時期になっている
など、じっくり見てみるとなかなか楽しめます。😊
AIベンチャー
3つのAIベンチャー動画を見てグループディスカッションをしました。
(↓動画またはサイトへリンクしています)
①マイクロドローンとAI画像認識による潜在兵器
②SNS×AIによるリアルタイムニュース
③安価カメラでのAI画像解析による温泉客状況活用例
私の参加グループで出た内容を一部図解してみました。
ちょっと前まではAIは高い技術力を持った人だけの技術だったかもしれません。でも、今は誰でも使えるようになっています。
実際、今年行ったAIの展示会では「簡単」「誰でも」というキーワードを伴ったブースが多かったです。
その意味では、「AIという手段」ばかりに目を奪われていたのが、「AIで何をするか(目的)」への意識にやっと戻ってきたのかもしれません。
0→1技術だけで勝負しない
テクノロジーは日進月歩です。自分(自社)だけで、新しい技術をゼロから開発するのは難しいし膨大な時間もかかります。
「すでにあるもの」「他の人の強みや技術」と「自分(自社)の強みや技術」を組み合わせていく必要があります。
❷新しいビジネスモデルの創出
先生は新規事業のアドバイスを各方面にされているのですが、なかなか「定着/継続しない」のが現実だそうです。
新しいビジネスモデルを創出する方法を教えていただきました。
と言っても「この通りやれば、新しいビジネスモデルが創出できます!」といううまい話では当然ないです。ただし、「確率はあがる」そうです。
具体的な話の前に「イノベーション」のおさらいです。
『イノベーションのDNA』
『イノベーションのジレンマ』のクリステンセンの別の著書ですが、イノベーターに必要な5つのスキルについて書かれています。
①結びつける(組み合わせる)
②素朴な疑問をもつ
③注意深く観察する
④隅々まで検証する
⑤異文化の人と交流する
「これやってないな」というのが思い当れば是非意識して実践してみてください。ちなみに、この講義の場はまさに⑤でしたね。
シュンペーターのイノベーション
「イノベーション」の元祖と言えばシュンペーターですが、彼も
新結合
という言葉を提唱していました。
『イノベーションのDNA』の「①結びつける」と同じですね。
5つのビジネスアイデアの発見法
さて、ようやく具体的な話に移ります。
①4つの起点
②メガトントレンド
③異業種ベンチマーク
④アイデア調達の確率アップ
⑤社会への付加価値
を教えていただきました。1つずつ見ていきましょう。
✅①4つの起点
「技術」「市場」「社会」「人間」の4つの起点でアイデアを探します。
例えば、「技術」であれば、
1)この基礎技術を使えば、どんな製品が開発できそうか?
2)今後注目される技術は何か?
3)基礎技術の探索、特定技術の展望分析
などです。
ただし、1つだけを見ていると、
技術・・・成功打率が低い
市場・・・アイデアがない
社会・・・社会貢献、ニッチ向きになる
人間・・・事業性が見えづらい
などの問題がでてきやすいです。
なので、「2つ以上を組み合わせる」ことが大事です。例えば、掃除機のルンバは「技術×人間」と言えます。
✅②メガトントレンド
メガじゃないですよ、メガトンです。どうやら先生独自の言い回しのようです。
地球環境、健康、SNS、デジタル化(IT)、などなど、8つの項目があげられました。
その中でも「精神性(こころの問題)」「つながりたい思い」が大事だとおっしゃっていたのが印象的でした。
いずれにしても、「世の中の大きな流れ」に敏感であることは大事です。
✅③異業種ベンチマーク
「他国」や「異業種」で流行っているものをもってくる、いわゆる「タイムマシン経営」です。
ネット社会ですから、他国の流行りはタイムラグなしに手に入ります。ですが、意外と「業種を越えることはなかなかない」と言います。
具体例としては、食べログモデルを採用した「みんなのウェディング」が紹介されました。
「異業種とのつながり」は視野を広げるためにも大事ですね。自分の業界のガチガチの固定観念を壊してもくれると思います。
✅④アイデア調達の確率アップ
確率アップのための施策を13項目あげられていました。
先生のおすすめは「ディスカッションパートナーをもつ」です。「誰」とつきあうか、が重要になります。
また、「いつものメンバーの窓のない会議室ではアイデアは出ない」ともおっしゃっていました。
その他、気になる点としては、以下です。
✅5年先のビジョンをもつ
✅幅広い興味、関心を持ち感度を高める
✅「なぜ」を3回くりかえす(トヨタは5回ですね)
✅「好きなこと」「あったらいいな」をとことん追求する
✅やる前から「できない」と考えない
✅アイデア発想のための日常生活を送る(内省の時間、散歩、旅、など)
よく見ると「あたりまえ」のことです。でも、そのあたりまえができているか?をもう一度考えてみてはいかがでしょうか。
✅⑤社会への付加価値を考える
もう知らない人はほとんどいないだろうSDGsも関連しますね。社会的価値です。具体的にはヤマト運輸が参考になるというお話でした。
1)サービスが先、利益は後(あとからついてくる)
2)お客様の立場で徹底的に考える
3)5分で考えて即実行し、即修正する
4)強みを徹底的に考える
5)マーケティングミックスのバランスを考える
✅おまけ「新しい価値曲線」
「④アイデア調達の確率アップ」の中の話でしたが、別項目にしました。
ブルーオーシャン戦略とも関連します。
ライバルとの差別化のために、どうしても価値を増やすことに目がいきがちですが、あえて減らすことも大事です。
事例としては、カーブスや星野リゾートがあげられました。
カーブスでは「プールやサウナ」「トレーニング時間そのもの」を減らして成功しています。
「新しいビジネスモデル」を考える
というお題でグループディスカッションをしました。アイデア出しのヒントもをもらったからといって、いきなり振られても出てきませんね。😅
別グループの方が言った「3Dプリンタが一家に一台ある時代」の動きは、すでに先生も取り組まれているそうです。富山の薬戦略とも言ってました。😲
❸ベンチャーエコシステムの重要性
オープンイノベーションでエコシステムをつくる
「大企業は自分だけでやる必要はない」。ベンチャー、大学と組めば自社にないものを組み合わせることができます。
そのためには「人脈」「強固なネットワーク」が大事です。そこにいる人とただつながる、だけではなく、
「人自体が、大企業→ベンチャー→ベンチャーキャピタル→大学と、どんどん移動するのがエコシステム」
と先生は考えているそうです。社内やまわりにそういう人がいるでしょうか?
ビジネススクールの役割
起業家精神の浸透が、イノベーションの原動力ともなります。
起業家精神を持つ人材を育てるために、ビジネススクールは十分価値があると先生は言います。(もちろん宣伝も兼ねているのでしょうが)
実際に私も、講義や本音のディスカッションに参加して大きな刺激を受けて、それを社内に持ち帰ることができました。
起業家精神のない環境だったら…
質疑応答の中で「まわりに起業家精神を持っている仲間がいない、どうすればよいか?」という質問がありました。
「答えはない。だけど、同じ悩みは多い。」
と、先生はおっしゃいましたが、同時にいろんなヒントもいただきました。
①自分で主体的に、会社や自分を変える思いを持ちつづける。
②その思いを発信しつづける。かっこ悪くてもいい。
旗をたて、同じチャレンジをしたい人、意欲のある人、目線が同じ人、会社の中の一人、社外の人、を巻き込んで集める。
③自分のなかでの経営理念をつくり、明確にする。
Make a Difference!
先生が好きな言葉だそうです。
「昨日の自分と違う」「前に進んでいる」ことが大事だと言います。
私も「違うことはすばらしい」と思っている方なので、大いに同意します。
まとめ
新しいことをやろうと思ったら、今ないものと「組み合わせる」ことを意識する必要があります。
今ないものは外にたくさんあるのです。外にあるものを持ってきて、組み合わせることで新しいものが生み出せます。
意識すべきなのは「つながり」「日常的に考えること」だと思いました。
本日の学びはここまで。また来てください。👋
先生の著書を紹介します。
こちらは超入門編とのことです。
こちらも入門と書いてありますが、上より上級者向けだそうです。
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