出沼 妃那

靴下職人 いでぬまひな

出沼 妃那

靴下職人 いでぬまひな

最近の記事

靴下製造の裏話

靴下を作る時は、実際に店頭に並ぶ時よりも大きめに編みます。何故なら、靴下はニット生地なので、糸のループが上下左右に伸縮性があり、編んだ直後は伸びている状態になっています。それを、タンブラー(乾燥機)で熱を入れて縮めています。あらかじめ縮めておく事で、ご家庭での洗濯の際の縮みを軽減しています。 靴下工場によっては、タンブラーではなく、真空の状態にして圧をかけて縮ませたり、水通しをするところもあるそうです。 また、表の糸と一緒に極細のゴムを一緒に編んでいるので、より足にフィッ

    • naimaze はじめました!

      オリジナル靴下ブランド立ち上げの宣言をして約1ヶ月、ついにECサイトをオープンしました! わたしは、イギリスの美大生時代にインターンシップ先のニットデザイナーさんから家庭用編み機を使った靴下作りを学びました。作り方を教えてもらってからは、ただただ楽しくて夢中になって編みました。 大学のプロジェクトでも靴下を作り、クラスで1番の評価を貰うことができました。その時の作品を見返すと、正直、商品化するには難しいなぁと苦笑いが出ますが、以前書いたように、学生時代に思う存分自分の作り

      • 美大生時代にやっておいてよかったこと

        前々回の「美大生時代に知りたかったこと」と言う記事に、ポチポチといいね!をいただいているので、今回も美大生時代の話を書きたいと思います。 今回は、今だから思う、経験しておいてよかった事を書きます。 ①自分の作りたいモノ、好きモノを徹底的に追求する 社会に出てデザイナーになったら、自分の作りたいものはまず横に置いておいて、世の中が求めている事だったり、クライアントさんの要望に応える事が最優先になってきます。 自分の不得意なデザインをしなければならない時もありますし、全然違

        • naimaze(ないまぜ) はじめます!

          「冷やし中華始めました!」的なノリでスタートしましたが(笑)、何かと言いますと、naimaze(ないまぜ)という靴下ブランドを立ち上げまーす! ブランド名 naimaze(ないまぜ)に込めた想い”ないまぜ”とは、歌舞伎の作劇法で,二つ以上の異なる〈世界〉の筋をからみ合わせて一つの狂言を作ることをいいます。また、「種々の色糸をまぜて紐をなう」 「二つ以上のものを一つのものとしてまぜ合わせる」という意味にも使われる言葉です。 伝統を引き継ぐ職人の後継者不足が問題となっている昨

          美大生時代に知りたかった事

          前回はデザイナー時代の事を書きましたが、今回は美大生時代の事を思い出しながら、その時に知っておきたかったなぁと思う事を書きたいと思います。昔の自分へのメッセージ的な話になりますが、お付き合い頂けると嬉しいです。 ①人間関係において、まずは相手を知ることからスタートする これは、全ての人間関係においてとても重要な事だと思っています。特に初めての方には、自分自信を理解してもらおうと沢山話してしまいがちですが、まずは相手の話をよく聞く。そして、質問をしてその人がどんな事に興味関

          美大生時代に知りたかった事

          ”デザイナー”という肩書きにしがみついていたわたしの話

          今回は、わたしが”デザイナー”に憧れ続けた過去について書きたいと思います。 わたしは、大学でニットを専攻し、デザインだけでなく、実際に自分の手を使ってもの作りをすることに喜びを感じていました。 大学を卒業して日本に帰国後は、テキスタイルデザイン事務所で働き、その後、生地販売会社にデザイナーとして勤務しました。 生地のデザインをパソコンで描く 糸帳で糸の色を選ぶ 指示書を書く 工場に作ってもらう でき上がってきた物の修正をする これが一連のデザイナーとしての仕事でしたが

          ”デザイナー”という肩書きにしがみついていたわたしの話

          好きな靴下の丈ってありますか?

          世の中には様々な靴下がありますが、皆さんはどんな丈の靴下が好きですか?季節や用途によって使い分けている方もいらっしゃると思いますが、最近では”靴下の丈論争”となるものが勃発しているようです。 一応、わたしもギリギリ ミレニアル世代ですが、 やっぱりアンクルソックス(スニーカーソックス)が好きです。しかも、靴から少し靴下の色が見えるくらいの、くるぶしが隠れない丈にこだわりがあります。 基本パンツスタイルが多いので、足首が見えるくらいがバランスがよく、活動的で元気な感じするの

          好きな靴下の丈ってありますか?

          糸にまつわる豆知識 〜斜行について〜

          皆さんは洗濯した時に、形を整えても、どうしても斜行しまうカットソーやTシャツに出会った事がありませんか? わたしは、昔、何をしても真っ直ぐなってくれないカットソーを買ってしまい、この不思議な現象に戸惑った経験があります。 繊維の製造現場で働くようになり、その答えが糸にあったのだと知りました。 今回は、そんな斜行の原因について書きたいと思います。 糸の紡績工程で、「撚糸」といって、糸によりをかける工程があります。 撚糸は、短い繊維をまとめる大切な役目があります。更に、糸

          糸にまつわる豆知識 〜斜行について〜

          おすすめ靴下ブランド

          職業柄、可愛い靴下を見つけると、裏返して製造方法を想像したり、 どんな糸使いをしているのかな、とまじまじと観察してしまいます。 そんな中見つけた、おすすめの靴下ブランドをご紹介します! COQCOQ(こきゅう)は、わたしの恩師 梶原加奈子さんのブランドです。 梶原さんは、日本各地の繊維産地と繋がり、直接工場とやりとりしながら生地開発をしています。そして、世界のハイブランドにmade in JAPANの生地をプレゼンしています。そんな世界が認める梶原さんのテキスタイルの世界を

          おすすめ靴下ブランド

          靴下産地の話

          野菜や果物のように、繊維素材にも産地あるのをご存知でしょうか。 今治のタオルや岡山のデニムなどはとても有名ですよね。 ニットの話をすると、ニットウエアー(セーター)は新潟県、カットソーは和歌山県での製造が盛んです。 さて、靴下の産地は何処だと思いますか? 答えは、、、 奈良県、兵庫県、長野県、そして意外にも東京都でも多く製造されています。 農家さんが副業として綿花栽培を始め、品質の良い綿が取れたことで、そこから派 生して靴下製造を始めたと言われています。そして、靴下を

          靴下産地の話

          ファッショントレンドってどうやってできるの?

          残暑厳しい日々ですが、靴下業界は秋冬物の製造真っ只中です💦 靴下のトレンドってあまり無いようにも感じますが、少し意識して糸の種類を観察してみると、レディースは去年に引き続きラメ糸が目立つので、今年の冬もキラキラしている靴下が店頭に並ぶのかな、と予想しています。 そもそもファッショントレンドってどうやって生まれるの? 「プルミエール・ヴィジョン・パリ」https://www.premierevision.com/en/ という見本市をご存知でしょうか。年に2回パリで開催され

          ファッショントレンドってどうやってできるの?

          靴下の作り方 その3

          編み機の種類靴下編み機には、大きく分けて2種類あります。 シングルシリンダー編み機とダブルシリンダー編み機です。 シリンダーとは、編み機の内部にある金属の筒の事を言います。 このシリンダーの溝に編み針がはめ込まれ、針が上下することで編み地ができます。 ①シングルシリンダー シングルシリンダーは、平編み(天竺)で編み地を構成し、 多色の柄物の靴下を作る事ができます。 ②ダブルシリンダー ダブルシリンダー編み機は、上下にシリンダーがついていて、裏編みと表編みで編み地を

          靴下の作り方 その3

          靴下の作り方 その2

          今回は、デザインデータを作る上での注意点を説明したいと思います。 ①柄を正面に入れたい場合 ②柄を後ろに入れたい場合 基本的な作り方を簡単に説明しましたが、 イラストレーターやフォトショップが使える方でしたら、 すぐにデザインできると思います。 他にこんな事教えて欲しい!って方は、メッセージください!

          靴下の作り方 その2

          靴下の作り方 その1

          次回は、デザインする上での注意点をご紹介します。

          靴下の作り方 その1

          製造業のすゝめ

          特にここ数年、日本国内において もの作りができなくなってきているとよく聞きます。私が働く靴下工場では、電気代や糸の高騰問題はありますが、毎シーズンきてくれるお客様に加え、新規のお客様も増えてきているので、そこまで問題意識を持っていなかったのですが、先日 大手アパレルの部長さんから、後継者問題などの現状を聞き、かなり工場が少なくなってきている事を知りました。 難しい問題なので、正直、私一人の力ではできることは少ないと思っているのですが、この状況をどうにかしたい!と強く感じまし

          製造業のすゝめ

          若いデザイナーさんへの想い

          最近、お客様が年下のデザイナーさんが多い事もあり、 私は密かに彼らに熱い想いを持ちながら接しています。 それは、あなた達は日本のものづくりを支える力があるんだよ!という想いです。 特に若いデザイナーさん達やインターンシップにこられる学生さん達からは、 デザインが好き!もの作りが大好き!という強い気持ちを感じます。 そんな想いは、彼ら自身の人生を動かす原動力にもなると同時に、近くにいる人にも大きな影響をもたらす事があります。 一生懸命な姿に、こんな技術も教えてあげよう!と

          若いデザイナーさんへの想い