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糸にまつわる豆知識 〜斜行について〜

こんにちは!
東京で靴下を作る仕事をしている 出沼妃那と申します。
このnoteでは、
’’デザイン+職人技=日本の美、文化。これを後世に受け継いでいく’’
をテーマに、これまでわたしが経験してきた、美大生、デザイナー、製造現場の職人として、それぞれ違う立場から見えてきた課題に向き合い、得た解決策やもの作りに役立つ情報を、これからの日本繊維業界を盛り上げていくひと達への一助となる発信をしていきたいと思っています。

皆さんは洗濯した時に、形を整えても、どうしても斜行しまうカットソーやTシャツに出会った事がありませんか?

わたしは、昔、何をしても真っ直ぐなってくれないカットソーを買ってしまい、この不思議な現象に戸惑った経験があります。

繊維の製造現場で働くようになり、その答えが糸にあったのだと知りました。
今回は、そんな斜行の原因について書きたいと思います。

糸の紡績工程で、「撚糸」といって、糸によりをかける工程があります。

撚糸は、短い繊維をまとめる大切な役目があります。更に、糸の強度を増す効果や、独特な光沢や風合いを出したり、毛羽立ちを少なくする事ができるので、省く事のできない工程の一つです。

撚糸の方向は、S撚り(右撚り)とZ撚り(左撚り)があり、この時の回数やバランスで、編んだ時に生地の斜行(ねじれ)が生じます。

そして、糸には、単糸(たんし)と双糸(そうし)があり、単糸(たんし)は、どちらか一方に撚った糸1本の事を呼び、単糸で作った製品は、斜行が大きく、製品になった時にねじれてしまいます。
悲しい事に製品になった状態で斜行を直すのは不可能です。

双糸(そうし)は、単糸を2本撚った糸のこといい、
例えば、Z撚りの糸2本を使い、今度は、その2本をS撚り撚る事とで、斜行を相殺する工夫がなされています。それでも、撚糸のバランスが不均一だったり、
気温や湿度によっても、斜行に影響が出るそうです。

靴下は表面積が小さいので、あまり斜行が気になりませんが、それでも、ハイソックスくらいの長さの物になると、地の目を揃える作業をします。

ここまでくると、斜行に対してちょっと厄介な雰囲気がでしまいましたが、、、
S撚り単糸とZ撚り単糸を交互で編んで、ギザギザした表面や凹凸のあるニットにしたり、斜行を活かしたデザインも多く世の中にはあります。

マニアックな話をここまで呼んでくれてありがとうございます。
少しでも何か役に立てたら幸いです♪


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