糸にまつわる豆知識 〜斜行について〜
皆さんは洗濯した時に、形を整えても、どうしても斜行しまうカットソーやTシャツに出会った事がありませんか?
わたしは、昔、何をしても真っ直ぐなってくれないカットソーを買ってしまい、この不思議な現象に戸惑った経験があります。
繊維の製造現場で働くようになり、その答えが糸にあったのだと知りました。
今回は、そんな斜行の原因について書きたいと思います。
糸の紡績工程で、「撚糸」といって、糸によりをかける工程があります。
撚糸は、短い繊維をまとめる大切な役目があります。更に、糸の強度を増す効果や、独特な光沢や風合いを出したり、毛羽立ちを少なくする事ができるので、省く事のできない工程の一つです。
撚糸の方向は、S撚り(右撚り)とZ撚り(左撚り)があり、この時の回数やバランスで、編んだ時に生地の斜行(ねじれ)が生じます。
そして、糸には、単糸(たんし)と双糸(そうし)があり、単糸(たんし)は、どちらか一方に撚った糸1本の事を呼び、単糸で作った製品は、斜行が大きく、製品になった時にねじれてしまいます。
悲しい事に製品になった状態で斜行を直すのは不可能です。
双糸(そうし)は、単糸を2本撚った糸のこといい、
例えば、Z撚りの糸2本を使い、今度は、その2本をS撚り撚る事とで、斜行を相殺する工夫がなされています。それでも、撚糸のバランスが不均一だったり、
気温や湿度によっても、斜行に影響が出るそうです。
靴下は表面積が小さいので、あまり斜行が気になりませんが、それでも、ハイソックスくらいの長さの物になると、地の目を揃える作業をします。
ここまでくると、斜行に対してちょっと厄介な雰囲気がでしまいましたが、、、
S撚り単糸とZ撚り単糸を交互で編んで、ギザギザした表面や凹凸のあるニットにしたり、斜行を活かしたデザインも多く世の中にはあります。
マニアックな話をここまで呼んでくれてありがとうございます。
少しでも何か役に立てたら幸いです♪