見出し画像

精神医学「パーソナリティ障害」

精神医学(Psychiatry)は、各種精神障害に関する診断、予防、治療、研究を行う医学の一分野です。

カウンセラーは医師のように病名を診断したり、投薬治療を行うことはできません。

カウンセラーの精神医学的な知識が乏しいと、クライアントの状況を正確に判断することができないため、重篤な症状へと発展させてしまう危険性もあります。

カウンセラーは常にクライアントの利益に繋がる判断をしなければなりません。

病名を告げるなど医師の専門領域を侵したり、クライアントが傷つくような知識の乱用は絶対あってはならないことですよね。

カウンセラーが自身の専門性の限界を知り、クライエントのメリットにつながる関わりをするためには精神医学の基礎知識は非常に大切ですよね。 

あくまで予備知識としての情報ですが、私自身の学びの場としても精神医学の基礎知識をこのnoteに書いておこうと思いました。

また、多くの人が精神医学に触れる機会となったり、理解を深めるきっかけになっていただけたらと思っています。


・パーソナリティ障害

パーソナリティ障害は行動の不適応状態が顕著で、思春期前後の成人期に多く見られます。

一見、性格の偏りにも見えますが、その内容にはある傾向があり、原因は遺伝と環境の相互作用の結果であるとされています。

パーソナリティ障害は様々な種類があるのですが、臨床場面でよく目にされるのが以下の5つです。

【パーソナリティ障害】

①猜疑性パーソナリティ障害
②統合失調型パーソナリティ障害
③反社会性パーソナリティ障害
④境界性パーソナリティ障害
⑤自己愛性パーソナリティ障害

1.猜疑性パーソナリティ障害 

猜疑性パーソナリティ障害の特徴は人を信用せず、挫折体験とか他人から受けた拒絶に過度に反応します。自分の権利を必要以上に主張し、過度に自尊心が高く嫉妬深いのが特徴的です。他人から騙されたと感じると、落ち込んでくよくよ考えたり、時には攻撃的な行動に出る場合もあります。 

2.統合失調型パーソナリティ障害

統合失調型パーソナリティ障害の特徴は、他人との感情的接触を避け、孤立的・空想的・内向的な性格傾向を示すことです。感情表現に乏しく、温かみや優しさが感じられず、他人の賞賛や批判に非常に敏感であることが特徴的です。統合失調症なのかパーソナリティ障害なのか非常にわかりにくいので、統合失調型パーソナリティ障害の特徴が見られた場合には統合失調症も疑うことがあります。 

3.反社会性パーソナリティ障害

反社会性パーソナリティ障害の特徴は、社会的義務・ルールを無視して他人を思いやることをしません。激しい攻撃性を示し冷淡な無関心を示します。その行動は一般的社会通念からは逸脱しているものであり、強制しにくいのが特徴的です。他人を責め、行動異常についてもっともらしい言い訳を述べて、逃れようとする傾向が見られます。反社会性パーソナリティ障害の方は人との信頼関係を築きにくいのも特徴的です。攻撃的な質問をしてきたり、振り回されてしまうことがあります。

4.境界性パーソナリティ障害

境界性パーソナリティ障害の特徴は、感情が不安定で不安怒り焦り抑うつなどが見られます。慢性的な空虚感があり、衝動的な浪費・自傷行為がみられ自己の目的のために他人を利用したりします。孤独に耐えられず常に誰かを引きつけておこうとする傾向もみられます。時には自傷行為などを用いて、他者の関心を引こうとするため、周りの人を巻き込みます。 

5.自己愛性パーソナリティ障害

自己愛性パーソナリティ障害の特徴は、自分の才能・特殊性を強調し、絶えず人の注目や賞賛を求めることです。他者の感情は無視し、自分の失敗に関しては激怒したり、屈辱感を強く感じるなどの、過度の感情が生じやすい傾向もみられます。他人に特別の行為を期待し他者を利用したりすることもあります。

6.パーソナリティー障害3つの対応方法

次にパーソナリティ障害かもしれないと感じた時の3つの対応方法をお話していきますね。

◆パーソナリティー障害かもしれないと思った時の3つの対応方法◆
1.自分を客観的に知る
2.自分の今までの人生を振り返ってみる
3.相談できる環境を作る


パーソナリティ障害の傾向がある人は、自分自身の性格の極端な部分に気づいていないことがあります。

極端な部分はその人のパーソナリティの一部なので、自分も周りも気付けないことが多いのですね。

他者とのギャップに苦しめられ、傷つきやすく、人間関係が上手く築けない。その時いったいどのように対処すればいいのか?

まずは、「自分にそのような傾向があることを理解する」ここから始めることなんですね。

1.自分を客観的に知る
まずは自分をよく観察することなんですね。様々な専門的なアプローチ方法があるので、専門家の診断を受けることも一案です。

ただ、性格の極端な部分に心当たりがあるなら、次のような方法で自らアプローチすることも可能です。自分の気になった点をノートに書き出してみること。

信頼できる親や友人に悩みを打ち明ける。どのようなことで怒りを覚えたのか。寂しさを感じたのか。嬉しかったのか。それを言語化することで自分の性格の傾向や現場が見えてきたりします。

2.自分の今までの人生を振り返ってみる
人間関係で傷つきやすい人は、人生を歩む上で無理をしていることがあります。 社交的な性格じゃないのに無理に人に合わせていないか。

人と関わることが好きなのに、人と距離を置いていないか。自由に振る舞いたいのに気を使いすぎていない。現在からさかのぼり、幼少期までの過去を振り返っていきます。

そうすると自分が無理をするようになった出発点が見えてくるかもしれません。

3.相談できる環境を作る
パーソナリティ障害の傾向がある人はコミュニケーションをとることが苦手で、感情をうまく言葉にできません。

失敗を人に知られたくないため不安なことや失敗したこと、うまくできないことを周囲に伝えられません。

そこで日頃の会話で些細なことを話題にするようにしてみる。自分がうまくできないことを周りに伝えるようにする。

同僚や先輩に相談することを習慣化する。そうするとパーソナリティの極端な部分をカバーしてもらえるかもしれません。

または、心理カウンセラーなど信頼できる人へ相談することも一つの方法です。

まずはこの3つを意識してみると自分の気持ちが楽になるだけではなく、周囲に理解や支援が得られやすくなると思います。

また、パーソナリティー障害と呼べるまでではなくても、グレーゾーンとも呼べる人は多くいて、人間は誰しもが「自分のパーソナリティに極端な部分を持っている」とも言えます。

そうした自分の極端な部分への理解は、人生の生きづらさを克服していくヒントになっていきます。

ただ注意することは、日常生活や仕事に支障が出ていたり、周りに被害を与えてしまっている。そんな場合は専門家の支援が必要です。

あまりに生きづらい状況があったり、そのような家族がいる人は、一人で抱え込まずに専門家の支援を受けるようにまずはすることです。

➡精神医学の基礎知識の記事をマガジンにまとめています

カウンセリングをしています。くわしくはホームページをご覧ください↓

画像1


いいなと思ったら応援しよう!

HSP心理カウンセラー じゅんさん
いつもありがとうございます(^-^)いただいたサポートは記事を更新していく励みとなります。これからも記事を投稿していきますので読んでもらえると嬉しいです◎

この記事が参加している募集