ヘルシンキの老婆、少女の面影
ヘルシンキの小さな路面電車を降りた先には、異様な光景が広がっていた。
鼻息まで白く、指先がかじかむ寒空の下を談笑しながら闊歩する水着の老婆たち。大粒の汗を全身に光らせ、もうもうと真っ白い煙をまとった彼女らは、たった今100度のサウナ室から解放され、その足でバルト海へとジャンプする。まるで少女たちのプール教室のように和気あいあいと寒中水泳を楽しむマダムたちは、その後ピンク色に肌を染めて陸に舞い戻り「ロンケロ」なる愛称で呼ばれる、ジンをグレープフルーツソーダで割った、いわばフィ