雨が降ると、私はいつもあの人を想う。 「好きなだけ、濡れたらいいんだよ」 彼はそう言って傘を投げ出し、私の手を掴んだ。 私の中の「こうしなきゃ」「ああしなきゃ」そうしたものが、全て雨と一緒に流れていった。 雨が降ると、私はいつもあの人を想う。私を自由にした、あの人を。
子供のころ姉がいった。 『ナイル川には白い水と黒い水がある。 白と黒はどこかでひとつになり、まじりあうの』 私の目の前で白くて黒、黒で白の水がとけあいゆるやかに流れた。美しい光景。 最後に姉は 『でね、ナイル川はだいたい新潟県にある』 アホ姉貴。ヒスイ10歳まで信じてた(笑)