人には、いろいろな時が訪れます。「そんなに情報集めてどうするの/そんなに急いで何をするの」私達は色々なものに倚りかかり生きている。今までも、これからも多分ずっと。倚りかかり楽に生きることに慣れ軟弱きわまりないけど、せめて背筋だけは伸ばしたいと「倚りかからず」の言葉を口にしてみた。
中学生の国語の教科書にも載っている代表作「わたしを束ねないで」より「わたしを束たばねないで あらせいとうの花のように 白い葱ねぎのように 束ねないでください」日常生活において多くの役割を演じつつも、自分らしい豊かさを内に秘めている現代の私たちにとって、深く深く共感できる詩ですね。
「言葉は、たっぷりとある心の、ほんのちょびっと。はしっこのかたち。」「とどいたことばが こもれびのように わらいますように」そのむこうにある言い表せない心。やさしく控えめな声。その場で消えてしまう言葉たちが、掌のなかで色づき、触れることで形となり、どうか美しく心に残りますように。
「どこかへゆくためにでなく、歩くことをたのしむために街を歩く。とても簡単なようなのだが、そうだろうか。どこかへ何かをしにゆくことはできても、歩くことをたのしむために歩くこと。それがなかなかにできない。この世でいちばん難しいのは、いちばん簡単なこと。」言葉を深呼吸することが必要だ。
「自分の住む所には自分の手で表札をかけるに限る。精神の在り場所もハタから表札をかけられてはならない石垣りんそれでよい。」自分は誰でもない自分であり、そこに他人から付けられた尊称は要らない。自分が自分でいられると感じられる場所では、他人からの目線や評価に左右されるべきではないよね。
「すみれの花の砂糖づけをたべると/私はたちまち少女にもどる/だれのものでもなかったあたし」心の奥深くから、ふっと湧き出る瑞々しい言葉達。綺麗で透き通っているけれど、どこか闇がある感じ。ばらばらに散らばった言葉を、綺麗に集めた小瓶を眺めているような。そんな煌めきに満ちた一冊ですね。
「不測で不足の風」に心掻き毟られる日々を言語化するための練習メソッド(その5)余計な考えに惑わされずに物事に真摯に向き合う 【初心不改】『碧巖録』⇒誰がしたかわからぬように日常の細やかなことでも手を抜かない 【脚下照顧】⇒ゆっくりとでもいい自分にしか歩めないこの人生を見つめてみる
「何気なく 言った ことばが 人を どれほど 傷つけていたか 後になって 気がつくことがある そんな時 私はいそいで その人の 心のなかを尋ね ごめんなさいと 言いながら 消しゴムと エンピツで ことばを修正してゆく」気付ければいくつからでも始めるのに遅いということはないんだね。
「子どもたち、詩を読みなさい。とびきり上等のいい詩を読みなさい。いい詩というのは、詩人が自分の思いをどこまでも深く掘りさげて普遍(ほんとうのこと)にまで届いた詩のことです。詩人の仕事は、生きる歓びをうたうことです。いい詩はみな、生きる歓びにあふれています。」(本書まえがきより)
「かかわらなければ/この愛しさを知るすべはなかった・・ああ/何億の人がいようとも/かかわらなければ路傍の人/私の胸の泉に/枯れ葉いちまいも/落としてはくれない」どんなに小さな関りでも心は洗われ磨かれていく。過去の多くの至らなさを心に留めて、縁を頂いてる人へ気持ちを込めて言葉を綴。
「いもくって ぶ くりくって ぼ すかして へ ごめんよ ば おっふろで ぽ こっそり す あわてて ぷ ふたりで ぴょ」思わず声を出して笑ったしまった最強?の詩「おならうた」ぜひ、おはなし会で、ブックトークで、朝の読書の時間で、大人も子どもも一緒になって読んで笑ってみて(^^)
「自分という存在が息をひそめてようやく、辺り一面に詩が溢れている事に気づくのだと考えて、生活や日常の詩集をつくりたいと思った」(三角みづ紀)「はじまりがはじまることをやさしい沈黙のなかで飲みこんでいく」柔らかな光に包まれた様な始まりの中で今日を大切に生きようと思わせてくれる詩集。
「タ テ タ テという音がなったが、人が戻った音でも 雨粒が落ちた音でもなく、参列にきた狐が(意味も分からず)狸の背をたたいているのである。」(柳田國男の死)謎めいた作品が多く見どころの多い詩集。現実と異界・現在と過去を行ったり来たりするような稀有な詩体験ができること間違いなし。
「君は彼等とは違うものを見てるのだから。あの、強い思いだけを、繰り返し思い出して。そのことを忘れないで。」毎日は次に繋げる自身の訓練の場。負の感情で涙することがあったら。そろそろ自分を静寂の中で見つめてみる好機かもしれない。プラスに転じる知恵は、その積み重ねで得ていくように思う。
「人の心には一匹の猫がいて、そのもらい手を絶えず探している。自分で自分を飼いならすのはひどく難しいから、だれもが尻尾を丸め、人のふりして暮らしている。」「ひとりぼっちは嫌なんです」このことが底に流れているのだろう「うまくいかない」ことをやさしくつつみこみながら言葉は紡がれていく。
「息を吹きかければ硝子窓が曇る 生きることは衣服のように白い」心惹かれる魅力的なフレーズがいっぱいある。言葉と言葉の繋ぎ方やイメージの展開の仕方など、現代詩から学べることはたくさんありそうだ。「あの世界はなんだったんだろう」と記憶の中でもう一度、詩を楽しむ楽しさを与えてくれます。
「不測で不足の風」に心掻き毟られる日々を言語化するための練習メソッド(その2)明鏡止水の心で見える風景は、こんなに自由。 【柳緑花紅真面目】(柳は緑花は紅しんめんもく)『東坡禅喜集』⇒窮屈な価値判断を止めて、ありのままの世界をみる。(真っ直ぐに、物事や相手や自分と向き合うこと。)
「不測で不足の風」に心掻き毟られる日々を言語化するための練習メソッド(その3)日常をどう生きるか 【日日是好日】(にちにちこれこうにち)『雲門広録』⇒雨の日も雪の日も嵐の日もよい日と捉える 【麻三斤】(まさんぎん)『碧巌録』⇒自分なりにどう対処すべきか、試行錯誤してやってのけろ。
「意味の為にだけに存在する言葉は、ときどき暴力的に私達を意味づけする。」さみしさの色「かなしくはないけれどさみしい、という感情が、ひとの感情の中で一番透明に近い色をしているということを、知っているのは機械だけで、」読んでいくうちに弱くて脆い僕ら人間がなんだか愛おしく思えてきます。
「もう二度とはじまることがない、と/だれもがほんとに、はじまってしまった」そんな一生を力いっぱい生きて行くしかないとでも言うように、言葉は滑らかに勢いを持って続いていきます。見えないものや力よりも、今、ここにある世界と自分自身を信じている。疲れたときの“心のサプリ”にどうですか?
「何度いのちが絶たれても/ひとの手はなお/花びらを模して/どうしても/やさしく生まれようとする」繊細な比喩が所々使われていて言葉ってこんなに美しいものだっただろうかと溜息が漏れるほど。手放したくないくらい中身の言葉にときめく詩。いつでも取り出せる様に心に大切にしまっておきたいね。
「みえないけれど、そこに在る」というのは、金子みすゞさんが生涯を通してテーマとして据えていたもの。その世界観を感じてみる。同じものを見ていても、視点を転じると、まったく違うかたちに見える。「永遠の詩」は、わたしたちの暮らしにも、新たな視点をくわえるヒントをくれるような一冊です。
「他人の言葉は決して、私の正解にはならいと知っていて、ひとり、夜を未読にする。」「言葉は、人間と同じ。不完全で揺らいでる。あなたと私が、わかりあえないまま、それでも共に生きるために、言葉はあると思います。」(最果タヒ)もしかしたら、短い詩が即効性のあるサプリになるかもしれないね。
「その胸に/いつかしのばせた海が/息絶える時の色を/おぼえていて」とはじまる詩「うたかた」。あの時、伝えるべきだった言葉やするべきだったこと、後悔を滲ませながらも最後は希望を感じさせてくれます。繊細なこころの震えを繊細な言葉で紡いだ詩集。読後、心がしんとなるような余韻を味わえる。
「その静かな裏庭を惑星が沈むような面ざしであなたが見ていた しらじらとやってくる最初の光線に凍えて。」詩集タイトルは、真夜中に失踪する貨物列車から来ているそうです。夜や明け方の香る作品が多い気がします。疲れたときの“心のサプリ”。ことばをいつもより少しだけ深く味わってみませんか?
「不測で不足の風」に心掻き毟られる日々を言語化するための練習メソッド(その4)あらためて、「私」とは何者かを知っておく。 【知足】(足るを知る)『老子』⇒我が身の現状を肯定する。 【平常心是道】(びょうじょうしんこれどう)⇒無理をせず、繕わず、自分のこころを真正面から受け止める。