源氏物語の六条御息所を主人公とする二曲の能(12/1国立能楽堂、2本ともシテは佐久間二郎)。「野宮」では賀茂の祭りでの車争いを回想し死後も悩み続ける亡霊の哀れさ、「葵上」では怒りの鬼と化した生霊と祈祷師との対決の激しさ。気高い女性の葛藤と情念を描いたこうした舞台は何度でも観たい。